内閣支持上昇58%、
人質対応を評価…読売調査 読売新聞社は6~7日、全国世論調査を実施した。
安倍内閣の支持率は58%で、前回調査(1月9~11日)の53%から5ポイント上昇した。不支持率は34%(前回38%)だった。
イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件を巡る政府の対応が「適切だった」と思う人は55%で、「そうは思わない」の32%を上回った。イスラム国対策として中東諸国への人道支援をさらに拡充するという安倍首相の方針についても「賛成」が63%で、「反対」は26%にとどまった。人質事件への対応が評価されたことが、内閣支持率を押し上げたとみられる。(読売新聞)【雑感】読売新聞は産経に次ぐ保守系大手なので、安倍内閣支持者が多い。おそらく朝日・毎日・東京で世論調査を実施すると逆の結果になるだろう。
れいの黒覆面のナイフ男の前に引き立てられた映像が全世界に公開された以降の政府対応は、適切というよりも、ISILに振り回されてあれ以外にやりようが無かったと私も思っている。安倍総理をはじめ関係省庁のスタッフたちは蜂の巣を突いた様な騒ぎで寝ずの日々だったろう。
とはいえ、今後のためにも果たして万策尽きたのか、他にもっとやりようがあったのかを検証する必要があり、その事について追究するのは野党の仕事である。ただ、安倍氏を追い落とす事に気を取られて「追及」のみになってしまうと頓珍漢な事になる。
最も多い批判は「安倍氏の中東外遊先がISILの敵対国だったから口実にされた」「イスラエルで支援を表明した事が口実となった」である。
因みに、イスラエル訪問時は対立するパレスチナ自治政府にも訪問し、PLО議長だったアラファト氏の墓前に献花もしているので、私には些か不当な批難に見えてしまう。
最も引っかかるのは、「口実を与えた」という批難である。安倍総理はそれに対して「まるでISILを批判してはならない印象を受ける」という趣旨の反論をし、その当時質問に立っていた共産党の
小池晃議員らは論のすり替えと言わんばかりに怒った。
実際に一連の安倍批判はISIL擁護に聞こえるのである。何故なら、安倍氏の一挙手一投足を深読みして「憲法改正に踏み切る気だ」「集団的自衛権を促進させる気だ」といった事柄に結び付ける。私ももちろん安倍氏にはそういう策略はあると思うが、なぜそれと同じくらいにISILの言動も警戒して深読みしないのか?
「口実を与えた」というが、では口実を与えさえしなければISILは日本人を殺さなかったとでもいうのか? なぜISILをそこまで信用できる? 銃を持たず丸腰で取材に入った後藤健二氏を拘束監禁し人質にとった連中よりも安倍総理の方が信用できないというふうに見えるのである。
だから安倍総理の立場だけでなく、保守系市民からすれば、まるでISILを批判してはならない印象を受けても仕方が無いのである。
中には「安倍氏が総理を辞めたら良い」という発言すらある。たしかにこれは人質を助ける意味だけで考えれば若干の効果はあるかもしれないが、その結果ISIL側に日本政府の「人事権」を与えてしまう事になるのだ。一国の総理の罷免権や政策決定権をISILに与えた格好になる事をなぜ恐ろしいと思えないのか?
政府や与党の政策に対して平素から「悪しき前例をつくった」と頻繁に批難するくせに、なぜISILに前例を与える事には無頓着なのか? 残念ながら結果的に「ISIL寄り」のポジションに立ってしまっているのは事実なのである。 野党の追及の中で最もマシな質問をされたのは、どちらかといえば私の嫌いな部類の政治家
辻元清美氏である。彼女の質問の仕方は正しい。
さすが早稲田大学在学中に人脈をフルに活用してピースボートを立ち上げ運営してきただけあって、交渉事には明るい。
彼女は「水面下での交渉が勝負なんですよ」と事件が表沙汰になる前段階での政府対応を正した。尤もである。実際にISILは身代金を得るため非公開で脅迫をし、獲れないと判断するとネット上に公開、特に英語を話す黒覆面のナイフ男の前に跪かされたら全員殺されているので、殺す予定が決まった人質を公開していると見ていいだろう。彼女もそれを踏まえての事だ。
これはどの仕事でも言えることだが、再発防止には問題の抽出が不可欠である。安倍総理は「その批判は当たらない」と反論しているが、仕事というものはおうおうにして「一生懸命やった
つもり」が多く、実際に行動を検証してみればけっこう無駄な動きや的外れな動きがあるものである。
安倍総理らの行動や方法を検証し、何がいけなかったのか、何を省けて何を行うべきだったのか、果たして限られた条件下で最良の方法だったのか、その検証と対策をとらないと同じ局面に立たされたらまた同じ結果になる。(余談1)
たとえ憲法9条を弄って自衛隊を自由に国外へ動かせられるようにしても、運用者が反省も検証もしなかったら同じ事だ。軍隊を議会の承認を待たずに大統領の命令で動かせるアメリカでさえもISILからの人質奪還作戦は不発に終わっている。
(余談1)若いころ、私はQC活動の社内研修で講師役の上司から以下の例文を渡された。
「私どもは不良品を出さないため2重3重のチェックを行っていますので、御社に不良が納品される事は無いと思うのですが。今後、再発させないよう一層の努力をいたします。申し訳ありませんでした」
上司は「この謝罪文を読んで、もうこの会社とはもう取引をしない方向で段取りをくむ。何故かわかるか?」と質問してきた。私も含め受講する新人は誰も即答できなかった。
的確な答えが出ないことを確認してから上司は以下の問題点をあげた。
・文面の前半で、不良が発生しそれがチェックを通り抜けてユーザーに渡ってしまった原因の特定がなされていない事が暴露されている。
・さらに「御社に不良が納品される事は無いと思うのですが」から、自分たちに責任がある事を未だ認めていないため、具体的に原因の抽出と対策がとる意志が感じられない。抽出作業と対策がとられる事はおそらく無い。
・「再発させないよう一層の努力をいたします」と漠然と言われても、従来のやり方のまま努力しても再発のリスクは消えないまま。
・最後に陳謝しているが以上の事から口だけの謝罪で事実上謝っていない。
私がこの講習を受けたのは20歳代。今の製造業の現場ではさらに徹底した活動がなされているので、上記はまだ基本中の基本である。ところが、陳謝文と同レベルの環境がまかり通っている所がある。それは政治や医療など、綺麗事が前面に立ちやすい業界だ。
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