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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「銀の盃」 ストレス解消活劇 

銀の盃」-ポール・ニューマン、デビュー作。

(未ビデオ・DVD化)  子供の頃に観たきりなので、内容はずいぶん忘れてしまった。おまけに当時の私はチャルトン=ヘストン氏とポール・ニューマン氏との区別がつかず、高校生の頃に、ニューマンのファンを自負する友人から指摘を受けるまでヘストン主演の映画だと思い込んでいた。(余談1)
 
 さて、ハリウッドは50年代から60年代にかけてローマ史劇を数多く制作してきたが、これもその1つである。舞台は悪名高いネロ帝が治めるローマ帝国、ハリウッドの定番である悪徳ローマ史観にまかせた内容だ。ポール・ニューマン氏は腕の良い銀細工職人の若者に扮している。一応は主役だが、主要人物が多過ぎて訳がわからない印象を持った。ヒロインも初恋の人と妻と2人いる。
 
 イエスが磔刑に処せられてから四半世紀、「生前」のイエスの顔を知る十二使徒も老齢になった。その中の一人が最後の晩餐で使った盃に取り付ける十二使徒の顔の浮き彫りをニューマン氏に依頼する。ニューマン氏は浮き彫りを作るため、各地に散らばった十二使徒たちを取材しにいくのだが。
 
 物語はとにかく波乱万丈である。主人公は強欲な親戚によって奴隷商人に売り飛ばされたり、殺されかけたり。初恋の女性が著名な奇術師の右腕になったり、ユダヤでは反ローマ勢力が蜂起の機会を窺い、奇術師もそれに一枚噛んでいたり。
 主人公は十二使徒の一人と懇意になり、孫娘と所帯をもち、銀細工も無事に完成させる。ところがネロ帝のキリスト教弾圧が始まり、聖なる銀の盃は騒乱のさなかに行方知らずとなる。
 
 「ベン・ハー」に比べて銭をかけいなさそうな映画だった。まだ小さな子供だった私には話の展開がシンプルでなく、登場人物も多過ぎた。
 ビデオかDVDが出ていたら改めて鑑賞できるのだが、現状ではTV放映を待つしかない。いま観る事ができたら、かなり印象が違って観えるだろうと思う。
 
(余談1)子供の目には「外人」はみな同じ人に見えてしまう。聞くところによれば「ベン・ハー」の主演候補にポール=ニューマン氏があがっていたようだ。ということは、制作者はヘストン氏もニューマン氏も似通ったキャラとして捉えていた可能性があるわけだから、子供の私が間違えてもやむを得ないのである。
 
 歳恰好が近いヘストン氏とニューマン氏。夫婦仲が半世紀以上にわたって長続きしている点でも共通している。(もっとも、ニューマン氏は最初の結婚に失敗し離婚経験があるが)
 ただ、晩年のヘストン氏はアメリカ保守派の大御所へと変貌していったのに対し、ニューマン氏は「革新」的志向を貫いている。ベトナム戦争時では反戦運動を展開して時の大統領ニクソンを怒らせている。最近でも反核運動に熱心だった。
 
 むかしクイズ番組だったか、笑顔のニューマン似顔絵がラベルにプリントされたパスタソースが紹介された。ニューマン氏ほどの俳優が何故?
 映画ファンなら御存知の方も多いと思うが、ハリウッドのメジャー俳優は企業CMには出ない。メジャーになるほどCM料金が高額になる日本とは全く逆で、アメリカでは駆け出しや売れない俳優がCMに出る。大物俳優が日本のCMに出演する際は、アメリカでは放送しない旨の契約がなされているという。
 で、件のパスタソースだが、なんとニューマン氏本人が経営する会社だという。自家製サラダドレッシングが自慢で、高じて会社設立にまで発展したそうだ。しかも、利益は貧困の子供たちへの学業支援にあてられているとか。
 
 ヘストン氏とはまた違った魅力の「大御所」でした。御冥福を祈ります。

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