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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

大塚家具、叩き上げの創業者と鋭才エリートの2代目の対立と見られているが、それはステレオタイプで不正確な見方だ。 近頃の現象[一〇八一]

大塚家具 
久美子社長、父母から非難受け 
笑みなき勝利


 創業者で会長の父と、現社長の娘が対立し、委任状争奪戦という異常事態となった大塚家具の定時株主総会。株主からは和解を求める声が上がったものの、大塚久美子社長と大塚勝久会長は、ともに厳しく相手を非難し、対立の溝の深さばかりが目立った。(産経新聞)

【雑感】株主にとっては非常に迷惑な話である。基本、自分が儲かるために儲けてくれるだろうと思われる会社に投資しているわけで、利益減に直結する企業イメージ悪化以外に何者でもない経営責任者同士の内輪もめは、株主への背信行為ですらある。
 経営者の信念も大事だろうが、信念以前にお客様や出資者様(株主)への迷惑を本当に自覚しているのか? 対立自体は悪くない、経営方針について議論するのも大いに結構、しかしお客様や出資者様が見ている前での中傷合戦は見苦しいだけでなく、「こいつら、ほんまに大丈夫か?」と不安にさせる。その時点でもはや勝久氏も久美子氏も経営者失格なのである。
 私がTwitterで何度か呟いた。「創業者一族は経営陣から総退陣し、社員だけに任せろ」と。

 さて、状況が明らかになるにつれて両経営者の考え方の違いは必ずしも「叩き上げの創業者」VS「高学歴エリート俊才の二代目」では括れない事が判ってきた。

 一つは久美子氏の大塚家具におけるキャリア。当初はどうも家業を継ぐつもりはなく研究者の道に進むつもりだったようだ。ただ女性の就職の幅は現在でも男性に比して狭い。彼女は学年でいうと私より2級下になるだろうか、ほぼ同世代だ。つまりバブル景気の頃に20代を過ごしている。
 研究者は断念して景気の良いうちに条件の良いところへ就職と考え富士銀行(現みずほ)へ入った。大塚家具に中途入社したのは急速に業務が拡大していく大塚家具の人手不足を補うためとなっている。

 彼女は入社して2・3年で役員になる。親族が役員になるのは個人商店から出発した中小企業によくある事だが、経営企画部長・営業管理部長・商品本部長などを歴任、会社によっては事情が違うので大塚家具はどうなのかは判らないが、通常これらの役職は経営戦術を決定し工場や店舗に指示を出すポジション、このポジションに身を置きながら時折広報や経理も兼任していた。
 彼女が会社経営の心臓部といってもよいポジションを担っていた時機と大塚家具の躍進期と被っている。つまり現行のビジネスモデルで邁進する創業者勝久氏の実務を積極的に支えていたと見ていいだろう。

 その後、彼女はどういう経緯か大塚家具の取締役を退任し顧問の肩書で籍は置くものの一線から退く。さらに顧問も辞めて完全に外に出て自分の会社を立ち上げていく。
 一方、大塚家具は急速に業績が悪化、彼女が抜けたから悪化したのか、悪化してきたから彼女は抜けたのか、それは判らない。が、低迷状態を立て直すべく大塚家具に復帰し代表取締役社長として全権を握る。
 久美子氏は業績を黒字に戻したようだが、ここで勝久氏との対立が表面化、一昨年に社長を解任され勝久氏が社長に返り咲き、昨年は再び久美子氏が経営権を奪還、そして今年の総会で久美子氏の再任と勝久氏の退陣が決まった。

 これらの情報はたぶん久美子氏側から発したものだろうと思う。経過を見るだけなら、勝久氏は典型的な老害である。では勝久氏は晩節を汚した創業者なのかというと、たしかに一連の行動は見苦しく見えるが、経営者としては今時珍しい誠実さである。
 というのも、多くの会社は正規雇用従業員の比率を下げて非正規雇用を多くしてコストダウンをはかっている。特に顧客対応はパートや期間社員に任せるのが当たり前、社員は店長だけでその他のスタッフは期間社員やアルバイトというのも常態化している。ところが大塚家具では殆どが正社員らしい。しかも業績低迷時でも社員数をあまり減らしていない。これは従業員の立場としては非常に有り難いし頼もしく感じてしまうだろう。
 扱う商品の質は下げない、従業員の生活と誇りは守る、私が従業員なら美人の久美子氏よりも勝久氏になびく。勝久氏が久美子批判の記者会見に臨み後に幹部社員を大勢従わせたのが評判になったが、私は強制されて勝久氏の後に立ったのではないと思う。もし私が幹部社員なら、たぶん久美子氏のやり方をデフォルメして勝久氏に直訴したかもしれない。

 どうしてそう思ったのかというと、久美子社長の改革の余波で従業員数を若干名減らしているのである。1800人弱から1700人弱へおよそ100人程度。求人を減らすとともに早期退職者を募っただろうと思うが、たとえ一部マスコミが報じているようなパワハラが無かったとしても、久美子社長に不満や怒りを抱き、勝久氏を懐かしむ者が出てきてもおかしくない。
 記者会見や株主総会で、やたら勝久氏側は感情的とも思える久美子批判を行っている。「自慢の社員が辞めていく」とか「社員を苛めないで」という趣旨の発言があった。さらに勝久氏は今回の動議を「やむを得ず立った」事と強調している。
 もし社員からの直訴で立ち上がったのなら、社員思いの勝久氏が感情論にまかせての批難をしたくなる気持ちは理解できなくも無いが、しかし株主総会という公の場で抑えるべきだった。そこのところは久美子社長の方が辛抱していたように思う。経営思想や戦術で対立するならいいが、公の場での感情に任せた主観的表現による批難は久美子氏への醜いネガティブキャンペーンにしか見えない。勝久氏も頭を冷やせば発言が不穏当でかえって「利敵行為」になったことは判るはずだ。
 だから私は久美子体制の不満分子が勝久氏を担ぎ上げようとした可能性を疑っている。

 久美子氏の戦いはまだまだ続く。勝久氏が仮に大株主から退いても、従業員の中に勝久シンパがいるはず。まさにお家騒動である。結果を出せなければ再び反転攻勢が始まるかもしれない。
 私が久美子氏の立場なら、他に会社を持っている訳だし生活には困らん。だから「好きにしたら!もう私は知らん!」と出ていく。そのほうがスカッと爽やか、大塚家具が倒産でもすれば「ざまぁ見さらせ!」と思うだろう。私は性根が卑しいので。
 ところが久美子氏は堂々と茨の道を行こうとしている。美人才女風だから贔屓しているのではない。ここまで企業イメージが悪くなった会社を再び立て直さなければならないのだ。しかも実の父親が積極的にイメージ悪化を促進させてしまった。ある種の背信行為だろう。

 最後に勝久氏に言いたい。娘は思い通りには育たなかったが、責任感のある一角の経営者に育ったことは誇りに思うべきだ。世間では久美子氏の事をエリート才女とか言われているが、実は最も御自分の資質を受け継いだのが久美子氏ではないのか、と。今の久美子氏の姿は、かつて会社を興して奮闘していたころのご自分の姿ではないのか、と。
 だから、久美子氏に「重荷を背負わせて済まなかった」と顔を立てながら「俺も引く、お前も引け、身内は全員引いて、ワシら自慢の社員だけで会社の未来を任せよう」とすべきだった。


 
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コメント

これほどの注目されたのは

これほどの注目されたのは女社長だったからでしょう。

息子だったらここまでメディアもヒートアップしなかったと思います。

Re: これほどの注目されたのは

うろぱす氏へ

 マスコミにとっては恰好の絵ですね。職人あがりの叩き上げ創業者と容姿端麗の才女という構図にしやすい。

 おそらく創業者についた社員たちは、久美子社長の端正な容姿を逆手にとって冷酷なパワハラ上司であるかのようなネガティブキャンペーンをはったと思いますが、それが逆に株主から嫌われたようですね。久美子を追い落とすつもりが逆に自分の首を絞めた。

 創業者は見苦しい老害の体を露わにしてしまったが、非正規雇用で人件費を下げる事はせず、赤字になっても社員数は減らさないなど社員からみれば非常に誠実な経営者です。一方、久美子社長も販売戦術は弄ったものの雇用環境は現状厳守でした。勝久社長は偉大な創業者ですが、久美子社長も一角の立派な経営者です。

 私の推測ですが、久美子体制に反発と不安を感じた一部の勝久信奉者が勝久氏らに直訴して担ぎ上げたのではないかと思います。

> これほどの注目されたのは女社長だったからでしょう。
>
> 息子だったらここまでメディアもヒートアップしなかったと思います。

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