ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ツレがうつになりまして。」 カップルで癒されたい時に〔21〕 

ツレがうつになりまして。」 
うつ認識の入門篇になればいい。




【原題】
【英題】  
【公開年】2011年  【制作国】日本国  【時間】121分  
【監督】佐々部清
【制作】
【原作】細川貂々
【音楽】加羽沢美濃
【脚本】青島武
【言語】日本語
【出演】宮﨑あおい(髙崎晴子・ハルさん)  堺雅人(髙崎幹夫・ツレ)  津田寛治(髙崎和夫)  大杉漣(栗田保男)  余貴美子(栗田里子)  田村三郎(津田部長)  中野裕太(小畑)  梅沢富美男(三上隆)  田山涼成(加茂クリニック加茂院長)  吹越満(杉浦)  犬塚弘(乾坤堂の川路)  山本浩司(君塚編集者)  伊嵜充則(書店の次男坊)        

【成分】コミカル 切ない 泣ける 鬱 気分障害 夫婦愛 気分障害

【特徴】大河ドラマ「篤姫」で夫婦役を演じた宮崎あおい氏と堺雅人氏が再びコンビを組む。今回も病んだ夫をシッカリ者の妻が支える構図である。

 今や現代病として認知され、多くの企業が従業員の鬱発症に頭を悩ませている鬱病を初めて主題として取り上げ前面に打ち出したメジャー邦画として画期的である。
 ただ、メジャーであるゆえに内容は悲観色を薄めハートフルなものにしているので、鬱を理解する入門編としてとらえるべきだろう。

【効能】鬱病を理解する一助になる。

【副作用】一部鬱罹患者および関係者にとっては自分たちの体験から乖離しているように見え不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
大河ドラマ「篤姫」のコンビ復活!

 予告編やフォトギャラリーにも紹介された場面に、堺雅人氏がうつ伏せになり、宮崎あおい氏が覆いかぶさるように堺雅人氏の背中の上にうつ伏せ、微笑ましい可愛らしい夫婦の図がある。
 実は私たち夫婦も同じ事をよくやったので親近感がある。そして私も鬱罹患経験者で、病気が直接原因で2回会社を変わらざるを得なかった。しかも30代後半の頃だったから、厳しい転職活動を余儀なくされた。わざわざ「直接原因」と書いたのは、間接原因も入れると転職回数はもう少し増える。
 
 私の連れ合いは、作中の宮崎あおい氏の「会社辞めなければ離婚する」といった踏み込んだ発言はしなかったが、職を転々とする羽目になっても批難せず静かに見守ってくれた。逆にあれこれ執拗に「善意の説教」をしてくれたのは、職場の先輩や上司、市民運動関係の友人たちだった。残念ながら罹患者にとって「善意の説教」はレッドカードである。(余談1)
 
 宮崎あおい氏と堺雅人氏は、NHK大河ドラマ「篤姫」以来の夫婦役、息が合っている。また堺雅人氏は神経を病んだ役が非常に上手い。「篤姫」で演じた徳川家定も病弱でデリケートなキャラである。宮崎あおい氏が演じた篤姫はかなりシッカリした女性。つまり、舞台を現代に移して今回も病んだ夫を堺雅人氏が演じ、それを精一杯支える妻を宮崎あおい氏が演じた。
 
 作品内容は罹患経験者から観ても賛否分かれると思う。身に憶えのある場面と好意的に観る方もいれば、「こんなもんじゃない」と思う方もいるだろう。
 しかし、闘病の暗さを前面に出し過ぎると息が詰まる。ある程度は未来が見える明るさが必要だし、特に災害や放射能や不景気にまみれた世の中では、ハートフルかつほのぼの色も商業的に必要だ。それでもって、罹患者がおかれている状況を正確描写しなければならない。
 私はバランスがとれた佳作と思う。「篤姫」を参考にしたのか、制作者側のキャスティング判断も良かった。
 
 他の方々にも観て欲しいと思いたくなる作品だ。

(余談1)「善意の説教」は罹患者にとって死に追い込む暴力と言い切っても過言ではない。別の病気に例えたら、重篤の肺炎患者にマラソンを強いるようなもの。当然の事ながら、愛の鞭なんかは傷害罪として立件の可能性も生じる。
 
 難儀なのは、一口に鬱といっても症状の細かい部分は十人十色、自分が鬱の経験があるから罹患者のことが理解できると思ってしまうのは危険であり、経験の無い人は脊髄反射的に説教や苦言を吐いてはならない。
 共通するのは、罹患者はストレスに極めて弱い。それが栄転や結婚といった良い事であってもだ。
 誰が最初に言ったか知らないが、「心の風邪」とはトンデモないデマである。風邪で人は死なないが鬱で人が死ぬ場合がある。少し落ち込んだりショボンとなる程度に考えている人がいまだに多いが、物忘れがひどくなったり動きが緩慢になったりと様々な症状が出てくる。物理的に仕事できる状態ではなくなるのだ。
 

 私を陥れた「善意の言葉」を参考のために列挙する。今でこそ憤りを感じているが、当時は孤独感と絶望感に襲われた。

「お前は精神的に弱いんじゃ」
 私はむしろタフだったので鬱で済んだ。自律神経を痛める昼夜逆転長時間労働の生活を長年おくり、その上で市民運動にも冷やかしの一兵卒程度ではなく責任者として関わった。
 ひどい時は職場の上司や同僚からのパワハラを受け続け、傷ついた心を癒す機会でならないプライベートでも運動関係者からの執拗な「抗議」や「批判」に晒され、まとまった睡眠時間は多くて3時間とるのがやっと、今にして思えば心筋梗塞になってもおかしくない生活だった。
 だから少なくとも私は人並みの精神力はあったと堂々と言える。これで偉そうに「弱い」というのなら、全く同じ生活を10年単位でやってみろと言いたい。鬱は誰にでも発症する。
 
「こんな症状をいちいち鬱といったら、みんな鬱になる」
 自己診断ではなく、医者に診断され通院治療を受けていると何度も言ったはずだ。また鬱と判るまでに様々な苦しい経緯もあった。それを素人の分際が否定するとは気でも違うたか!
 
 字数が限られているので代表的な2件をやや感情を込めてあげたが、他にも無数にある。とにかくストレスに極めて弱い、周囲の人はよく言葉を選んであげるべきである。前後左右上下の相関を考え、二歩三歩先を考えてモノを言え。
 
 現在の私は一応「治った」状態にある。しかしこの病は再発しやすいので一生の付き合いだと思っている。
 治した方法は少し荒療治で、誰にでも使える方法ではない。私はストレスの元を断つ方法をとった。仕事や運動を辞めただけでなく「善意の説教」をする人々との縁も切った。それまで3百通(多い年は600通)ほど年賀状を出していたが、これを境に近しい親戚や友人のみ5通程度にした。
 昼夜逆転生活から早起きの生活に切り替え、自分の手に負えないモノには一切関わらぬようにした。症状が治まってくると、勧められてリハビリがてらに書評などを書き始めた。映画レビューを書くようになったのもこの流れだった。
 この方法が取れたのも、幸い連れ合いがシッカリしていたからだ。連れ合いまで「善意の説教」をする人間だったら、たぶん自殺に追い込まれただろう。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


【受賞】金鶏百花映画祭外国語最優秀作品賞受賞
第24回日刊スポーツ映画大賞主演女優賞 第35回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞

晴雨堂関連作品案内
NHKドラマ ツレがうつになりまして。 [DVD] 藤原紀香版

晴雨堂関連書籍案内
ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫) 細川貂々
7年目のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫) 細川貂々
その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫) 細川貂々




 
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