ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

2015年統一地方選挙たけなわに思う。(後編) 近頃の現象[一〇八五]  

統一地方選の前半戦、12日投開票 
候補者ら最後の訴え


 統一地方選の前半戦が12日に投開票される。選挙戦最終日の11日、候補者や政党幹部は各地で最後の訴えに声をからした。(朝日新聞)

【雑感】私は団地に住んでいる。選挙戦最終日となると、最後のひと押しとばかり各候補者は人口密度が高い団地に集中して街宣車をくりだす。団地と団地の谷間が渓谷のような効果を生むので、「最後のお願いに参りました!」「あと一歩、あと一歩でございます!」「市会候補○○を、○○をどうぞよろしくお願いします!」といったスピーカー音がこだまする。しかも複数の街宣車が咆哮するので良く言えば賑やか、悪意でいえば五月蠅い。
 試験前日の一夜漬けみたいな事しても仕方が無いだろう、と思う者は選挙の経験が無い人だ。当落ラインにいる候補者にとっては一票で無く場合がある。

 さて、前記事の続きを述べる。

 投票率が低水準を嘆くのもいいが、それでは視点を変えて少数派となった「投票権を行使する人々」とはどんな顔ぶれかを考えてみよう。

 社会の義務を生真面目に果たすお年寄りばかりか? そういう人達ばかりではないだろう。
 組合や某学会など政党を積極的に支持する団体の構成員? それは多いだろう。
 候補者本人やその関係者や支持者たち? そういう人々が棄権する事はまず無い。


 主権者の義務を果たそうと頑張って投票所へ出張る今時奇特な方々を除くと、候補者と何らかの利害関係で結ばれている人々は積極的に投票する。
 利害と聞くと反射的に「いかがわしいもの」と思ってしまう愚か者が多いが、人間関係は利害関係であると言い切っても過言ではない。愚か者たちは利害と聞くと金銭的なものを脊髄反射で連想するが、それは正確ではない。精神的な利害も多々ある。
 たとえばある男性がある女性に「無償の愛」を捧げているとする。しかしこれは価値基準を金銭的な報酬や性的関係に置いていないだけの事で、女性が金銭的に豊かになったり笑顔が多くなることで男性も得した気分になる、女性が何らかの形で危害を加えられたら男性は自分が危害を加えられたかのように憤る。つまり「利害」という言葉で括るれるのだ。
 引いては、地球の生物界が「食物連鎖」で循環しているように、人間界も「利害の連鎖」で社会や経済が成り立っている。

 話を戻そう。
 かつて、知り合いに弁護士がいると言ったら、職場の同僚たちは驚いた。私のような低所得労働者が何故?という具合だ。日常生活で弁護士の世話になる事はまず無い。弁護士の世話にならないまま天寿を全うする者も少なくないだろう。離婚で揉めたり交通事故で揉めたり、あるいは犯罪に手を染めたりなどして裁判にまで発展した場合でもないかぎりは弁護士と知り合う機会はあまり無い。
 ところが近頃は法曹界も垣根が低くなり身近になりつつある。というのも借金問題の調停を主に取り組む法律事務所が盛んにテレビCMを流しているからだ。不景気で負債に苦しむ人々が増えた事と、そうした人々の需要に応えるために弁護士や行政書士は敷居を低くする必要に迫られたからでもある。

 このことは投票率のアップに若干関係がある。
 ここでなぜ低所得労働者の私に弁護士を務めている知人がいるのか、という話に戻るのだが、私は今のところ紛争に巻き込まれた訳でも犯罪に巻き込まれた訳でもないのに弁護士の知人がいるのは、政治活動や市民運動に関わった経験があるからなのだ。
 運動に関わると人脈は飛躍的に広がってしまう。一介の工員では知人の輪はせいぜい職場関係者に限られる。近頃はLine・Twitter・Facebookなどのネットで交友の輪を広げる人が多いが、大概の場合は同様の趣味を持った者同士、つまり似た者同士の狭い村社会に終わる。
 政治や市民運動の世界もある種の村社会ではあるが、集まる人々の顔ぶれの中にはスペシャリストが多い。弁護士もそうだし、他にはジャーナリストや教育関係者などなど。旧革新系ならこれに組合活動家などが入るだろうし、保守系なら財界人が加わる。
 元来社交的性格ではない私だったが、選対に加わったり懇親会に顔を出すなど交流に努めた。郷里の宴会は酒の返杯等やって一所に落ち着かない習慣なので、社交的ではなくても自然に身体は動き、集まった様々な人と挨拶をして知遇を得ていった。かくして国会議員をはじめ大勢のスペシャリストと名刺交換をした。

 これらの人脈は結構役に立つ事がある。議員の場合は自分のグループが主催する集会に招いて本格的なシンポジウムを開く事ができたり、自分のグループの賛同人に加わってもらって運動の箔をつけたりなど利用価値があった。議員たちが発行する議会ニュースなどは市政の動静を把握するのに便利。ジャーナリストの場合は記事に取り上げてもらうよう根回しをした。弁護士の場合は何か紛争やトラブルが発生したとき相談にのってもらった。

 おっとここまで言うと、ネトウヨから「プロ市民」と侮蔑されるな。

 業界団体などは自分たちの利権のため、もっと平たく言えば生活のために議員を取り込んだり、自分たちの代表を議会に送り込んだりする。業界団体とは、自民党系議員を評するときに「農政族」とか「郵政族」などの「族議員」が取り上げられるように、その「族」といっても良い。
 自民党などの保守だけではない。左翼のベースは「労働組合」である。旧社会党やそれを引き継いでいる民主党や社民党、そして戦前から一貫して同じ看板を掲げ続けている共産党の基本ベースは労組だ。労働者の利益のために動く族だ。

 議員は利益集団を代弁するために存在していると言い切っても過言ではない。その厳然たる構図からいえば、今の低投票率の状態が続けば続くほど私のような働き盛りの低所得者層はますます住みにくい国へ変わっていく。何故なら、私や私より若い「主権者」は投票に行かないからだ。その結果もあって、労組の組織率が低くなっているし、労働者の利益を代弁する党派は国会の半数を大きく割り込んでいる。
 議員にとって「落選」は「失業」である。選挙は就活である。議員の身分を保障してくれる「主権者」のいう事は自民の族議員を見れば良く判る。支持者のためには命がけで仕事をする。しかし支持しない人達、これも平たく言えば投票に行かない人達の不平や不満なんかは聞く耳もたないだろう。

 不満や憤懣を言いながらも結果的に現状で「満足」してしまっている人間にとっては、政治は無関係だ。そうでない人間は議員もアイテムとして利用する。
 例えば、嫌煙族は長らく喫煙族の無神経な迫害に苦しめられてきた。喫煙者に直接「煙草、控えてくれませんか」とお願いしようものなら、変人異常者さもなくば我儘・自己中の烙印を押された。泣き寝入りする嫌煙派の中から議員を利用する事を思いつく。独りでロビー活動をしたのでは「個人的好みの問題」と一蹴される。そこで同志を募って市民団体を結成し団体を代表して自治体の議会や国の国会でロビー活動を展開、その甲斐もあって禁煙エリアは拡大、自治体によっては禁煙に関する条例まででき、少なくとも全国の公共施設内から煙草を駆逐するのに成功した。

 といった具合に、「議員」というものには今の生活環境をどうにかしたいと思っている人々にとっては利用価値がある。また、私の人脈が一時期広がったように、議員が直接動かずとも議員の人脈と誼を通じて働きかけることも不可能ではない。
 今の世の中、いつ何時、自己や紛争などに巻き込まれるか判らない。今まで平穏だった生活が一変する事は多々ある。他人事だと思っていたら自分が当事者になってしまう事も多々ある。そういう時のセーフティネットに議員をアイテムとして利用する。議員と誼を結んで議員の人脈を利用する。

 そういった方向に考えていくべきではないかなと思う。実際に議員を支えている人々の多くは死活問題から支持者となっている。議員も支持者たちの利益を守るために政治闘争を行っている。


 
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[ 2015/04/11 22:44 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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