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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「マザー・テレサ」 絶望から脱出しよう〔18〕 

マザー・テレサ
オリビア・ハッセー老け役好演。

 


【原題】MADRE TERESA
【公開年】2003年  【制作国】伊太利 英吉利  【時間】116分  
【監督】ファブリツィオ・コスタ
【原作】
【音楽】ガイ・ファーレイ
【脚本】フランチェスコ・スカルダマーリャ マッシモ・チェロフォリーニ
【言語】イングランド語
【出演】オリヴィア・ハッセーマザー・テレサ)  ミハエル・メンドル(エクセム神父)  エミリー・ハミルトン(アンナ)  セバスチャーノ・ソマ(セラーノ神父)  ラウラ・モランテ(マザー・ドゥ・スナークル)  イングリッド・ルビオ(ヴァージニア/シスター・アグネス)

【成分】泣ける 悲しい 勇敢 切ない キリスト教 修道女 1940年代~1990年代 インド

【特徴】残念ながら伝記映画にありがちな偉人の半生のダイジェストになってしまったが、オリヴィア・ハッセー氏の演技には好感がもてる。特に晩年のマザーの歩き方は良い。

【効能】日常の忙しさに忘れかけていたヒューマンな価値観を思い出させる。

【副作用】マザー・テレサのダイジェスト版であると同時に映画作品としては長い。双方の悪い面が出てマザー・テレサ本来のバイタリティが描写不足で誤解される恐れがある。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
やはり、ダイジェストになったのは残念。

 伝記映画を観るたびに残念に思うのは、偉人の長い人生を1時間半から3時間程度の映画枠に収めなければならないので、どうしてもダイジェスト版になってしまうことである。
 もっと困難な状況だったはずなのにトントン拍子に事が運んでいるかのように見えてしまったり、もっと人間関係の軋轢や様々な葛藤があったはずなのに波風があまりたたず主人公の意志の力で簡単にくぐり抜けているかのように見えてしまうこと多々ある。さらに質の悪い伝記映画は、作品を盛り上げるため余計な演出や創作エピソード加えて陳腐なものにしてしまう。

 この映画の制作者たちは、そういったことを意識しているのか、またはマザーへの敬意からか、概ね史実どおりに物語を組み立てているし構成に苦労の痕が見られるが、やはりダイジェスト版的になっているのは否めない。主役のオリヴィア・ハッセー氏はマザー・テレサ役に相当な入れ込みを持っているらしく、個々の場面の演技は記録映像で観るマザー・テレサそのものだった。いくらマザーに似るために付け鼻してもハッセー氏の容姿はまるで違うのに、まさに渾身の演技だ。しかしダイジェスト版的内容が災いして、些か芝居じみて見えてしまった。もちろん、マザーへシンパシーは感じているが予備知識はあまり無い観客には気にならないと思う。他のレビューがそれを証明している。

 マザー・テレサの長い生涯と長い運動には、当然のことながら膨大なエピソードがある。どのエピソードを映画に盛り込むか、どのマザー・テレサ像を強調するか、観客にマザーのどの部分を知ってもらいたいのか、制作者側は随分悩んだことだろう。
 結局、マザーの頑なまでの慈悲深さ・博愛精神・人間や信仰への全幅の信頼などを強調して、バイタリティーはさりげなく表現するに留めている。というのも、マザーはビジネスマンとしても極めて有能との評判があるからだ。もっとも、お金を儲けて優雅な生活をするためではなく、貧者のための商売や資金繰りを展開している。
 作中では、参謀役の神父から戦略と戦術を説かれても拒絶するマザーだが、実際は様々なアイディアを出して商売をしているのである。(余談1)単なる浮世離れした聖者ではない、現実社会に根をおろした偉人である。映画ではその側面が割愛されていた。たぶん、観客が期待したり抱いているマザー・テレサ像を混乱させないため、あるいは金勘定するマザーを表現しすぎて誤解されることを嫌ったのだろうか?(余談2)

 最後に、マザー・テレサの生き方に何を学ぶか、各々の立場で微妙に異なってくるだろうが、せめて解ってほしい事がある。
 銭は目的を完遂するための道具であり手段であり、組織もまた然りである。目的達成への執着はあるが、銭や組織に執着はしない。手段や道具が目的に成り下がったとき、腐敗が始まる。作中のマザー・テレサはそのことを熟知し、抜群の自制心で初心を貫徹している。

(余談1)通常、市民運動とは概ね余暇を利用してが大半である。自由時間と小遣いで行うもので、生活を犠牲にすれば家族との軋轢は避けられない。だから、運動に参加する人々の大半は学生・主婦・公務員・年金生活者だ。30代から40代の働き盛りの労働者は殆どいない。
 しかし、知人の中には、第一に運動ありきで、運動を支えるために金を儲けるという逆の発想の人間がいる。そういう人はもはやプロだ。
 因みに、私は余裕が全く無いのに運動に関わったために身体こわした。

(余談2)実際、運動の現場でも、銭は重要な要素である。運動を立ち上げるのは簡単だが維持は大変である。だから銭の話になるのは当然なのだが、「銭=汚い」の固定観念をもつ人間は少なくなく、銭の話をすると早合点して守銭奴扱いする大馬鹿者がいる。で、その大馬鹿者の多くはイニシアチブを奪おうとするが責任は負おうとしない。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


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もともとがTVシリーズだったようですね。
それを映画向きに編集しなおして、あの時間に収めたのだとか。
なので、一層ダイジェスト版みたいに見えるのかもですね。
同じような作りに「マリア・カラス」もありました。
ダイジェスト版でも、じっくり見せてもらって、彼女の人となりの一端を覗いた気分にはさせてもらいました。
[ 2009/10/21 22:50 ] [ 編集 ]
sakurai氏へ
 
 TVシリーズを観てみたいですね。もっと人間臭くバイタリティ溢れるマザー・テレサが描写されているかもしれません。

> もともとがTVシリーズだったようですね。
> それを映画向きに編集しなおして、あの時間に収めたのだとか。
> なので、一層ダイジェスト版みたいに見えるのかもですね。
> 同じような作りに「マリア・カラス」もありました。
> ダイジェスト版でも、じっくり見せてもらって、彼女の人となりの一端を覗いた気分にはさせてもらいました。
[ 2009/10/22 22:18 ] [ 編集 ]
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