ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「セッション」の是非めぐり議論白熱。昨今のネット事情では「炎上」と呼ぶべきか。 近頃の現象[一〇九二] 

映画「セッション」の是非めぐりネット炎上中

 名門音楽学校を舞台に世界的なジャズ・ドラマーを夢見る学生と鬼教師による狂気のレッスンを描いた映画「セッション」(公開中)をめぐりネット上でバトルが勃発している。(夕刊フジ)

【雑感】ことの発端は、この映画についてジャズ・ミュージシャンの菊地成孔氏が根拠を上げながら酷評し、それについて映画評論家の町山智浩氏が反論した事を軸に、ミュージシャン派と映画派に分かれネット利用者の間で反論や憤懣の応酬が繰り広げられているらしい。

 私は映画ブログを運営している立場ゆえ町山氏の側の視点になってしまうが、菊地氏が酷評したくなる気持ちも解らなくはない。


 私が保育園や小学校に通っていた頃、実写版「仮面の忍者赤影」が大好きでワクワクして観たものだ。ところが小学校5年生あたりになってから「赤影」を小馬鹿にして再放送があっても観なくなったし、観ても変な突っ込みを入れないと気が済まなくなった。
 例えば「篭手がバズーカ砲になる?アホか」「仮面の宝石からウルトラセブンみたいにレーザー光線?」「生身の人間がこんな跳び上がれない」「空飛ぶ凧は揚力を無視している」「16世紀に空飛ぶ円盤にガスマスク?」などなど。要するに考証にこだわりだしたのだ。
 中学生時代になると千葉真一氏らが活躍した「柳生一族の陰謀」や「忍者武芸帖 百地三太夫」に注目した。何しろ主役たちがスタントなしで危険かつ迫力ある演技をしているのだ。一種のホンモノ志向に目覚めた。

 しかし大学に入ってからは再び「赤影」を再評価するようになった。懐かしさもあったが、考証に詳しくなり過ぎて逆にこだわるのが馬鹿らしくなってきたのだ。なにしろSF映画や戦争映画の殆どは何かしらの考証無視がある。考証の問題だけではない。学園ドラマの金字塔「金八先生」なんかは実際に教壇の現場に立つ教師らから見れば現実離れしたスーパーマン。医学の博士号を持っている手塚治虫氏が描いた「ブラック・ジャック」では医療界からクレームがあった。今日では「言葉狩り」の風潮で幾つかのエピソードが事実上発禁状態となっている。(余談1)
 だからである。考証に沿ったリアルな絵ができればそれに越した事はないが、出鱈目があっても物語として優れていれば別に良いではないか、存在価値まで否定するのはおこがましいのではないか、そう思うようになったのである。

 菊地氏の酷評は尤もであり心情は理解できる。許容力を持てるようになった今でも考証無視はやはり不快になる事は多々ある。
 ただ、映画というものは2時間前後の物語にまとめるため敢えて事実と乖離させる事は日常茶飯事なので、ある程度の割り切りは必要である。酷評しても構わないのだが、公開前は拙かった。せめて公開当日の第一回目の上映が終わるお昼前に発表してもらいたかった。公開前の酷評はあからさまな作品否定であり、ある種の業務妨害である。


(余談1)他にも私の世代で金字塔といえば「宇宙戦艦ヤマト」があるが、あれは完全に第二次世界大戦のパロディである。
 未来の22世紀末を舞台にしているのに、宇宙船にゴテゴテと大砲があるのはあり得ないし、艦載機のブラックタイガーはなんと真っ暗な宇宙空間で第一次世界大戦で使われた〇に十文字の単純な照準器を使ってドックファイトをやっている。ゼロ戦が活躍した第二次大戦でもあんな原始的照準器は使っていない。
 第二次大戦いの照準器になると、一眼レフのファインダーと似たような複雑な構造になり、操縦席前に取り付けられたガラス板に照準環が映し出され、機体やパイロトが激しく左右上下にブレても照準を合わせやすいよう工夫されている。(電球が切れた時の補助照門に以前の照準器が使われていたが)
 私たちの世代が感涙した「ヤマト」だったが、観る人が観たら爆笑物であり、実際に土木技師で工学に明るい父は「なんじゃこりゃ」という反応だった。

 ハードSF映画として現在も高く評価されている「2001年宇宙の旅」に登場する宇宙船ディスカバリー号も、本来は太陽電池パネルなどの関係から翼のようなものがあっても良かったのだが、宇宙空間に飛行機型は観客にリアリティを感じさせられないとして精子型になった。
 同じキューブリック監督の作品で戦争映画「フルメタル・ジャケット」では、画面構図の都合でアサルトライフルの薬莢排出が実際とは逆側になった。
 このように物語の進行都合で事実が歪曲されたり省略されたり肥大させられることは多々ある。


 
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[ 2015/04/26 14:28 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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