ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

渡航の自由を無制限に認め邦人はいかなる事情であれ必ず救助する、これは無いものねだりだ。どちらかを選ぶしかない。 近頃の現象[一一一二] 

<IS人質事件>「救出損ねる誤りなし」 
政府報告書公表


 イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)による日本人人質事件の政府対応を検証する政府の「邦人殺害テロ事件対応検証委員会」(委員長・杉田和博官房副長官)が21日、報告書をまとめ公表した。湯川遥菜(はるな)さんの行方不明を政府が把握した昨年8月以降の対応について「救出の可能性を損ねるような誤りがあったとは言えない」と結論付けた。一方、身代金要求の口実になったと指摘された安倍晋三首相のエジプトでの演説について「今後、人質救出の可能性がある場合は、注目を集める対外的発信には十分な注意が必要」との有識者の指摘を盛り込んだ。(毎日新聞)

【雑感】まことに「救出損ねる誤りなし」かどうかは疑問の余地がある。もっと他にやり方があったのではないのかと思う事が多々ある。朝日新聞などは安倍政権の言動を批判しているというより糾弾だろう、そういう論調にしたい気持ちは解かる。

 しかし、私は今回の場合やむを得ないと思う。一応、外務省は湯川遥菜氏が渡航する前にシリアを退避勧告地域に指定していた訳であるし、渡航の直前には何度も中止要請をしている。いわば制止を振り切って行ってしまわれた点をもっと考慮すべきだろう。もし外務省が、明白に危険地域になっているにもかかわらず退避勧告地域に指定しなかったら、責任は明白であり、いかなる犠牲を払ってでも救出しなければならないだろうが、事前に言うべき事は言っているのだ。

 なのに政府批判をやりすぎてしまうと、小役人たちが考える事は一つしかない。「じゃあ、旅券法19条(余談1)を根拠にパスポートの返納を命令するしかないやんけ」となる。小役人たちの発想と想像力ではこの選択肢しか思い浮かばないので、徒に返納命令もしくは発給制限をかける方向へ追い詰める事になる。
 それでなくても、後藤健二氏が渡航する段階になるとIS支配地域が危険であることは誰の目にも明らか、にも関わらず外務省は日本国憲法二十二条(余談2)の兼ね合いからやむを得ず中止をお願いするに留めたのだ。ところがその結果が後藤健二氏の斬首だ。

 役人の身になって考えれば解かるはずだ。制止するに留めたら「なぜ強制しなかったのか」と批難される。強制すると「憲法二十二条に反する」と批難される。どちらを選んでも批難されるのなら、人が死なない選択肢の方を選んだ方がマシとなる。
 それに湯川氏も後藤氏も素人の観光客ではない。明確な目的と信念をもって外務省の制止を振り切りリスクを覚悟した上で渡航した方々である事を忘れてはならない。

 「自己責任」という言葉は嫌いだが、彼らは最初から最悪のシチュエーションを覚悟した上で行動に出ていると見なすべきだ。
 特にジャーナリストは単に情報を発信するだけでなく、権力の監視機構でもある。政府が「止めろ」と言われて従っていてはジャーナリストは失格であり、政府の命令に逆らってでも職務を全うする気概が必要だ。だから後藤氏の行動も致し方ない。

 物事を追求しすぎると、虚しい無いものねだりになる。政府の中止要請に逆らって動いた場合、「我々の労力にも限界が有るので、有事の際は助けられないかもしれませんよ」で良いのではないか。
 渡航の自由を無制限に認め邦人はいかなる事情であれ必ず救助する、これは無いものねだりだ。どちらかを選ぶしかない。

(余談1)第19条 外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
 この事件で該当するのは「四 旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」に該当する。

(余談2)第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 この条文が「渡航の自由」を保証した根拠となっている。


 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト
[ 2015/05/23 02:54 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
205位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
90位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク