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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

家族と一緒に考えよう 7 「ヒロシマナガサキ」 

ヒロシマナガサキ」 
日系アメリカ人が見た広島長崎

 

 
【原題】BLACK RAIN: THE DESTRUCTION OF HIROSHIMA AND NAGASAKI
【公開年】2007年  【制作国】米  【時間】86分  【監督】スティーヴン・オカザキ
【原作】
【音楽】
【脚本】
【出演】
    
【成分】悲しい 恐怖 切ない 反戦 ドキュメント
       
【特徴】日系アメリカ人監督が広島・長崎を取材。アメリカにとってタブーである被爆地に切り込む。
  
【効能】核戦争の危険を再認識させてくれる。
 
【副作用】やや演出臭(胡散臭)があり。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
むしろアメリカに必要な映画
 
 この映画をわざわざ観に行く人たちは、概ね内容を知っている。中には、この作品を担当されたオカザキ監督以上に事実関係を精細に把握している人もいるだろうと思う。この映画は、ヒロシマ・ナガサキを知らない人たちのための映画、特にアメリカ人に観てほしい映画である。
 
 言論の自由が保証されすぎているイメージのあるアメリカにもタブーがある。代表的なのは共産主義であり、この広島と長崎への原爆投下である。(余談1)原爆で破壊された街並みや被爆者の写真を展示することを、アメリカ当局は嫌がるというよりは禁止措置で臨んで来る。
 作中に登場する谷口氏、被爆当時15・6で、熱線を背中一面に浴び皮膚組織が破壊された。(余談2)彼は当時の背中赤剥けの象徴的な写真を名刺に印刷している。以前、アメリカ講演で写真展示が許可されなかったので、その名刺を配っていた事があった。
 アメリカでは一部の反戦反核活動家や知識人を除いて、大半の国民は核の恐ろしさを具体的に知らないでいる。世界一の核保有国でありながら、いや、だからこそ核の恐ろしさに対して無知であり、政府もそれを国民に目立たないように隠蔽しているのである。(余談3)
 今回、この作品はアメリカのケーブルTVで放送され、かなりの世帯数が視聴するとの事、それはそれで画期的なのだが、全米ネットではなくケーブルというのがアメリカらしい。

 ヒロシマ・ナガサキの原爆投下について、国際世論は一様ではない。作中でも描写されているようにアメリカでは「罪悪感は無し」「当然の処置」「本土決戦になったらもっと多くの死人が出る」「責任は戦争を起こした日本にある」だ。中国も「当然」という認識である。韓国は政府としては「当然」論だが広島長崎で被爆した同胞が少なくないので複雑な感情であり、ヨーロッパはハーグ条約違反明白なアメリカらしいこの攻撃に批判的だ。
 
 正当な理屈や言い分は各々あるだろう。しかしそれ以前に、素直に戦争被害を直視して戦争はまっぴらであると思う気持ちがまず大事だろう。
 
(余談1)「さよなら、ミス・ワイコフ」で、主人公が共産主義者であるとの疑いをかけられ教職を追放されそうになった同僚教師を弁護する場面がある。
 
(余談2)むかし、背中全体が赤剥けの坊主頭の少年の写真を見たことがある。この少年、今は存命ではないだろうと思っていたが、最近になって何かのチラシで講演活動をしていることを知った。それが谷口氏だった。背中の皮膚組織が破壊されているので、彼は太れない。少しでも体重が増えて肉がつくと背中が裂けてくるからだ。
 
(余談3)冒頭の無知な若者描写は「あゝひめゆりの塔」冒頭で登場するディスコで浮かれている若者と同じスタンダードな演出方法である。
 質問を変えれば多少は変わってくると思う。「むかし広島に原爆が投下された事は知っていますか?」にすれば、かなりの人が「知っている」と答えるだろう。いきなり「1945年8月6日に何が起こったのか?」では、「東経139度41分北緯35度41分にて未曾有の大地震が起こりました」と捻くれて伝えているようなものだ。さて、この場所はどこでしょう?
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
  
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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冒頭のインタビューですが、若者の無知をクローズアップさせたいための作為を感じましたよね。
いきなりアレでは「?」な人も多いんじゃないかしら。

とはいえ、やっぱりこの手の作品はたくさんの人に見てほしいものだと思いました。
アメリカと日本の学校で見せるべきかも~。
[ 2009/10/23 09:44 ] [ 編集 ]
ミチ氏へ

> 冒頭のインタビューですが、若者の無知をクローズアップさせたいための作為を感じましたよね。
> いきなりアレでは「?」な人も多いんじゃないかしら。
>
> とはいえ、やっぱりこの手の作品はたくさんの人に見てほしいものだと思いました。
> アメリカと日本の学校で見せるべきかも~。
 
 アメリカ児童の必修にしてほしいですね。別に「リメンバー・パールハーバー」でも「1億総玉砕を原爆で阻止した」でも幾らでも自己正当化しても構わないが、核戦争に対する楽観的認識だけはまず改めてもらいたいものです。被爆というものに対して、あまりにも無知なんですよ、アメリカ人は。
 欧米の反戦映画は、「はだしのゲン」の前では屁みたいなものです。
[ 2009/10/23 19:55 ] [ 編集 ]
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