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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

ドッジボールの是非。勝部元気氏の意見は解るが、だからといって学校側は勝部氏に安易な同調はするな。 近頃の現象[一一一七]

ドッジボールは暴力」に賛否

 小学校の体育の授業などで誰もが一度はやったであろう「ドッジボール」について、ツイッター上に「野蛮なスポーツなので禁止するべき」という意見が登場。多くの人から賛同の声が寄せられている。(web R25)

【雑感】私も運動神経は悪い方だったし、球技全般嫌いだったからドッジボールに良い思い出はない。だからといって、勝部元気氏の物言いには不快感が有る。なぜそうも簡単に禁止と言い切れるのか? 

 たぶん、世間という池に石を投げて波紋を観るテクニックで、いきなり「禁止」とぶち上げたのだろう。後に彼はブログで

現状のドッジボールには、サッカーのキーパーのようなグローブも無ければ、アイスホッケーやラグビーのようなヘルメットも無いので、安全面への配慮が徹底的になされるべきでしょう。一部ソフトなボールを使用するなどで対策をしている学校もあるようですが、文部科学省が音頭を取って全国で徹底して欲しいです

 と、禁止以外の道へ含みを持たせている。また、公園の遊具が「危険」という理由で次々と撤去されている風潮を例に挙げて「安易な禁止論には反対」とも述べている。

 ただ、彼の「被害を受けたと感じている側の感覚で決めるべき」という物言いに対しては慎重であるべきと思っている。彼に限らず人権派と呼ばれる方々は口を揃えてこの文句を言うが、人間というものは誤解や早合点をするものだ。また彼自身が指摘したドッジボールはイジメに利用される点でも解るように、人間は悪用の天才でもある。
 被害を受けたと感じている側の感覚で決めるという事は、逆に言えば不平不満を「被害」にすり替えて加害者をでっちあげるという事も大いに可能だ。「被害者」と称する者に決定権を委ねるのは危険である。だから私は安易に学校教育から排斥するべきではないと思う。

 言い出したらキリが無い。何度も言うが、人間は悪用と言い訳に頭脳をフル回転させる生き物だという事を前提に考えなければならない。ドッジボールは野蛮かもしれない。しかしドッジボールを排斥しても、別の誰かが別のスポーツを標的に野蛮性をあげつらって禁止運動を起こす。野蛮性をでっちあげられなかったら、子供の成育を問題にする。(余談1)
 勝部氏は理性的にドッジボールのみを禁止対象にしているつもりだろうが、他の人間は「野球こそ問題」「いや水泳が危険だ」と思っているかもしれない。特定のスポーツに対して嫌悪を抱くのは勝部氏だけではないのだ。様々な人間が様々な理由で様々なスポーツを標的にしている。
 禁止ではなく、勝部氏自身がルール改定の必要性を指摘したように、ルールを変えたらいい。私がドッジボールをやらされた時から40年、けっこうルールが改訂を重ねているそうではないか。

 それから勝部氏は「ボクシング、空手、フェンシング、テコンドー、相撲などと同様に、それを楽しみたい人たちだけが楽しめば良い。ですから、仮に学校という場で扱うのであれば、中学校における柔道・剣道・ダンスが選択できるように、暴力性の高いものを避けたいと思う子供が、自主的に避けることができる仕組みが必要だと思うのです」とも述べたが、私は安易な選択制には反対だ。
 義務教育では一通り全員が試しに経験する事が重要だと思うからだ。義務教育を終えて、高校や大学でいくらでも選択すればいい。選択というのは一見すると禁止より穏やかに見えるが、基礎的な教育の現場で選択を実施すれば、児童や生徒は選択から外した競技を体験する事はまずない。
 勝部氏もドッジボールを体験(余談2)したからこそ、ドッジボールの欠点に気が付いた。体験しなかったら欠点も長所も判らないし、禁止論自体を述べる事は無かったろう。
 学校側は、禁止するのであればドッジボールの弊害を科学的に立証した上で決を下すべきだ。アメリカではああだからとか、著名な作家やコラムニストが言ったからといって鵜呑みにする事は絶対に無いよう願いたいモノだ。(余談3)

(余談1)例えば、野球有害説などは明治の頃から主張されてきた。まず労力負担と責任負担が9人の選手へ均等に振り分けられるルールではない。明らかに投手への負担が突出して重い。スポーツとしてこれは問題である。イニング毎に選手がバレーボールの様に守備を順番に交代する(つまり1試合フルイニングで出場したら投手から左翼手までを必ず1イニングは守る)のであれば公平になるが。その方式へのルール改定議論を本腰いれて議論しない現状自体が異常とみる事もできる。
 また球の投げ方は解剖学的にいって不自然な動作であり、骨や筋肉を傷めるリスクが高い。だからこそ少年野球では変化球を禁止しているし、身体の故障で選手生命を終えてしまう者が後を絶たない。
 さらにボールやバットは凶器に転用可能であり、現実に試合中の事故で半身不随もしくは後遺症が残る大怪我を負う選手はけっして少なくない。
 したがって野球は青少年育成のためのスポーツとしては甚だ不向きで、全国の野球部は廃止させるべきである。特に毎年夏に行われる高校野球は即刻止めさせねばならんのだ。という理屈も成り立たなくは無い。

 児童ポルノが社会問題となっている昨今、水泳は性衝動を煽る可能性が有るので禁止、水泳をするにしても、身体の線がわからない分厚い潜水服を着せて泳がさなければならない。もちろん、ジェンダーの観点から男子も女子も同じ潜水服を着せなければならない。
 こんな見方をする人もいるかもしれないのだ。

 このように、勝部元気氏を見倣って他のスポーツの問題点を抽出すれば、禁止の口実は幾らでもできる。どのスポーツにも問題点や欠点は必ずある。
 ひとつ、禁止を罷り通らせてしまったら、次々と禁止の対象にされていく可能性はゼロではない。だから、禁止を簡単に認めてはいかんのだ。

(余談2)とはいえ疑問なのは、「私自身もドッジボールを一生しないと誓ったのは、サボり気味にプレイしていたら怒られて、真剣にやったら顔面に大けがをさせてしまったことがきっかけです」というのなら、顔面に怪我をさせないよう尻や足を狙うよう工夫や精進をしたりルール改定を働きかけるのが先で、一生しないと誓うのは短兵急だと思う。

さらにこれだけ悲鳴が上がっているのにそれを無視していまだに「ドッジボールをやらせるのは必要」とだけ言う人には、是非ドッジボール日本代表の性格の悪い選手(いないとは思いますが)から、ボロクソにボールを当てられまくって欲しいなと思います
 悲鳴があがらないスポーツを探すほうが至難の業だ。代表的な例として野球の害毒をあげてみたが、各々のスポーツには各々問題があり、各々恨みを抱いて廃止論を画策する輩がいると見たほうが自然だろう。勝部氏は「俺はドッチボールを問題にしているだけで、何でもかんでも禁止しろとは言っていない」と言いたいだろうが、そんな人が大勢集まればどうなるか想像力を働かせた方がいい。

 それから、ドッジボールが好きな人は避けるのも醍醐味なのを知らないのか? 私はドッジボールは嫌いだったが、かわすのは得意だった。反射神経は良くなかったが、相手の視線や構え方で察知して避ける。たぶん、好きな人は当てるよりも避ける方に生きがいを感じるのではないか? 腕自慢の連中が悔しがるのを観るのが。

(余談3)私が小中高生時代、煙草の健康被害が医学的に実証されていたにもかかわらず、職員室は禁煙でなかったのは今でも恨みに思う。教師が生徒がいる前で煙草を吸うのは言語道断。生徒に吸うなというなら、教師が率先して禁煙するべきだ。生徒の教育のためにも職員室から煙草を排斥するのが人の道である。
 といった事を考えていたので、勝部氏の気持ちは痛いほどよく解るし共感する。だからこそ、自分が真理と思い込んだ事柄に対しては、敢えて否定的視点で考察する必要がある。逆の視点で反証する習慣をつけなければならない。


 
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