<ドラマはなぜ10回~11回なのか>
日本のテレビドラマは
「ガラパゴス化」している かつて、連続ドラマは13回をワンクールとしていた。
いまは、期首・期末に視聴率が期待できる長時間特番が編成されるので、連続ドラマは10回ないし11回連続である。期首・期末特番は大抵バラエティである。時に大型ドラマなどの時は2時間に延長してドラマの第1回特番になることもある。(高橋秀樹・メディアゴン)【雑感】いつの頃からか? 私が小中学生だった頃は連続ドラマというと「太陽にほえろ!」とか「部長刑事」「水戸黄門」「大岡越前」といった10年単位で続く長寿番組ばかり、人気の無いドラマでも2クール(半年分)は放映していた。だから、TVドラマというのは基本は半年か1年で、1クールなんて想像できなかった。NHKが変則?で1クール物をやっていた程度、そんな印象だった。
私の記憶では、90年代前半頃から1クール物が急激に増えていったような気がする。「八丁堀の七人」は好きな時代劇で長寿番組と記憶していたが、「はぐれ刑事」や「相棒」や「科捜研の女」と同じく1クール毎に最終回を設けてシリーズ化していた。
昔ながらの編成を続けてきた「水戸黄門」が終わってしまった今、半年あるいは1年の放映期間を設けるドラマは、NHKの「大河ドラマ」と「朝ドラ」、あとは子供向けアニメと戦隊モノぐらいだ。 高橋秀樹氏は視聴率を気にするスポンサーの都合と編成局の都合、キャラ固定化を嫌う俳優の都合を指摘された。
たしかにスポンサーは自社の宣伝のために提供しているのであって低視聴率では「宣伝費」が割高になるし、「明日ママ」のように評判が悪いと自社イメージまで悪くなる。編成局は視聴者とスポンサーに気兼ねして制作現場に口を出す。
また近頃の俳優は同じ役柄に執着しないどころか、俳優としての幅広さを大事にする。以前であれば、俳優の加藤剛氏といえば大岡越前を真っ先に思いつき、それ以外の役柄を思い出すのに時間がかかってしまったものだが、今はアイドルあがりの俳優でさえ様々な役柄に挑む。
スポンサーにとっても、放送局にとっても、俳優にとっても、今の1クール制は都合が良いのだ。かつての長寿ドラマでさえ、実はスポンサーや放送局や俳優の都合でけっこうゴリ押し変更があった。例えば刑事ドラマでは俳優の都合で物語上では殉職した事にして降板したかと思えば、後で「あいつに瓜二つだ」と役名を変えて再登板というのもよくあった。
それらの事情から、天下のNHK以外は1クール以上のドラマを作れなくなった。いろいろ批判や批難の多いNHKではあるが、やはり日本で最も高い権威と広いネットワークを誇る放送局だ。出演する事はステータスなので俳優も名誉を感じながら半年・1年の拘束を承諾する。
ただ、
ガラパゴス化という見方には私は賛同しない。あくまでアメリカのTVドラマと比べての話であって、世界には無数のテレビ業界があり各々の国民性民族性や風土を反映した業界特有の短所と長所を抱えているものである。日本だけ特別に何かが違う訳ではない。 アメリカではスポンサーの意向で最終回を作る暇(いとま)も与えられず制作を中断させられる。カーク船長版「スタートレック」が中途で打ち切りになったのは有名である。
韓国では設定やシナリオがスポンサーや視聴者や放送局の都合で頻繁に変更する俳優泣かせのシステムだ。
中国では言論統制が厳しく、視聴率をとるために安易に反日映画を生産する。
各々のお国事情を背景にしたシステムがあるもので、日本の事情を「
ガラパゴス化」などと卑下する必要は断じてない!
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