「怨霊の森」 孤独を楽しむ時に〔24〕
【原題】THE WOODS
【公開年】2006年 【制作国】亜米利加 【時間】91分
【監督】ラッキー・マッキー
【原作】
【音楽】ジョン・フリッゼル ジェイ・バーンズ=ラケット
【脚本】 デヴィッド・ロス
【言語】イングランド語
【出演】アグネス・ブルックナー(ヘザー・ファスロー)
パトリシア・クラークソン(トラヴァース夫人) レイチェル・ニコルズ(サマンサ) ローレン・バーケル(マーシー・ターナー) キャスリーン・マッキー(アン) マルシア・ベネット(マキノー夫人) エマ・キャンベル(アリス・ファスロー) ゴードン・カリー(保安官) ブルース・キャンベル(ジョー・ファスロー)
【成分】ファンタジー 不思議 不気味 恐怖 知的 ミステリー ホラー 女子高 1965年 アメリカ
【特徴】まるで悪魔の森の奥深くの全寮制女子高で繰り広げられるホラーファンタジー。
アメリカ人俳優が演じる女子高生にしては、オバサンには見えず女子高生らしい。
【効能】古く良き時代の処女漫画的オカルトホラーを楽しめる。深夜に鑑賞すると静けさを味わえる。
【副作用】アメリカ的お色気血飛沫ホラーを期待するとがっかり。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
美内すずえのようなホラー映画
良い意味で「少女漫画のようなホラー」と題した。「ガラスの仮面」の美内すずえ氏が描いたら様になりそうな内容だろう。なにしろ「死霊のはらわた」のブルース・キャンベル氏が出演しているにも関わらずである。
アメリカのホラーというと、たぶん殆どの方々は派手な血飛沫に四散する肉片、若い女性の恐怖の叫び顔にお色気シーンを連想すると思う。この作品には全くと言っても良いほどそんな派手な場面は無い。陰鬱な心理描写で恐怖を演出する手法をほぼ一貫してとっており、どちらかといえばヨーロッパや日本の感性に合いそうな作風である。したがって、衝撃的恐怖を体感したい人は期待しないほうがよいだろう。
この映画の舞台となった学校は60年代アメリカの全寮制女子校で、制服は日本のミッション系女子校で多く採用されているデザインだ。アメリカの高校というと、殆どの人は服装が自由でオープンな校風を連想するが、校風も厳格で日本の伝統校にも有りそうな雰囲気なので日本の観客にも馴染みやすい。
周囲を鬱蒼とした森林に取り囲まれた古めかしい校舎の中で、赤毛の主人公は上品に金髪を伸ばした美少女に虐められる。これなども昔の学園モノ少女漫画によくある場面なので、懐かしさを感じるくらいだ。イメージとしては、主人公が優等生タイプの女の子に陰湿な虐めを受ける、70年代から80年代の少女漫画お約束の場面だ。(余談1)
しかも物語の展開で、苛めっ子が主人公を虐める正当な理由が明らかになってくるドンデン返し場面が出てくるが、この手法も少女漫画ではよく使用される場面だ。
主役のアグネス・ブルックナー氏をはじめ、生徒役は女子高校の制服がよく似合っていた。アメリカ映画に登場する高校生は、どう見てもオジサン・オバサンにしか見えない事が多いのだが、この作品では違和感は無かった。(余談2)
最後に、ブルース・キャンベル氏が主人公の父親役で出演しているが、「お約束」の場面は無い。もちろん、ラストで大活躍するのだが、チェーンソーを振り回して血飛沫踊る大暴れはしないので期待しないように。「怨霊の森」なのでやりそうなのだが。
こんな綺麗な少女漫画的ホラーをアメリカが制作するというのが感動である。日本の蒸し暑い熱帯夜にピッタリの映画かな?
(余談1)「アタックナンバー1」で主人公がライバル緑に嫌がらせを受ける場面がある。「キャンディ・キャンディ」では主人公キャンディが良家の令嬢イライザから執拗な虐めを受ける場面などなど。
聞くところによると、ゲルマン系では「赤毛=魔女=淫乱」と嫌われていたらしい。ブロンド長髪の優等生風の生徒から嫌がらせを受けるのは、定番かもしれない。ロシアでは逆に赤は良いイメージで見られる。
(余談2)オリビア・ニュートン・ジョン氏は「グリース」で高校生の役をやったが、30歳では些かきつかった。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作



ブログランキングに参加しています。
- 関連記事
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://seiudomichael.blog103.fc2.com/tb.php/271-f0cc90bf