ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「イエロー・ハンカチーフ」 カップルで癒されたい時に〔22〕 

イエロー・ハンカチーフ」 
拍子抜けするほど
「幸福の黄色いハンカチ」を踏襲。




【原題】THE YELLOW HANDKERCHIEF  
【公開年】2008年  【制作国】亜米利加  【時間】96分  
【監督】ウダヤン・プラサッド
【制作】
【原作】ピート・ハミル
【音楽】イーフ・バーズレイ ジャック・リヴジー
【脚本】エリン・ディグナム
【言語】イングランド語
【出演】ウィリアム・ハート(ブレッド)  マリア・ベロ(メイ)  クリステン・スチュワート(マーティーン)  エディ・レッドメイン(ゴーディ)  桃井かおり(モーテルの女主人)  グローヴァー・コールソン(巡査部長)     

【成分】切ない アメリカ南部 初夏

【特徴】山田洋次監督「幸福の黄色いハンカチ」のリメイク。
 拍子抜けするほど山田監督作を踏襲しているが、含みや余韻のある邦題「幸福の黄色いハンカチ」が英語の素っ気無く味もしゃしゃらも無いそのまんまの直訳タイトルのような「イエロー・ハンカチーフ」になったように、物語の内容も山田監督独特の空気感は無くなり本作はドライだ。

 主役と妻との関係は高倉版はプラトニックだが、ウイリアム・ハート版はやや肉感的で体臭を感じる。

 山田監督作でヒロインを演じた桃井かおり氏がモーテルの女主人役でカメオ出演している。

【効能】人生に希望が持てる。未来が明るくなる。アメリカと日本の感性や価値観の違いを楽しめる。

【副作用】如何にもアメリカ的リメイクで拍子抜け。典型的なアメリカンなアレンジで不快。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
ハミル原作の実写アメリカ版を観たかった。

 山田洋次監督「幸福の黄色いハンカチ」の原作者がアメリカ人である事はよく知られている。黄色いハンカチを掲げるのは実はアメリカの風習で、古い西部劇「黄色いリボン」などからでも判ろう。(余談1)
 なら、アメリカ人によるストレートな実写化ではどんな雰囲気になるのか興味があった。原作者ピート・ハミル氏がベースとなったコラムを発表したのが1970年代の初頭、まだベトナム戦争真っ盛りの時期であり、ハミル氏は当時反戦論者の若手ジャーナリストだった。(余談2)
 原作からのストレートな実写化なら、日本版と違って当時の戦争の暗い影や反戦運動の熱気が背景になるはずで、時期的に中東問題と被る。

 しかし、いざ本作を観ると、拍子抜けするほど山田洋次版を踏襲した素直なリメイクだった。この内容だと単純にアメリカ人との感性と価値観の違いを楽しむしかない。

 登場人物とその相関は全く同じだが、雰囲気はアメリカンに改編。
 精悍な元炭鉱夫の前科者を演じた高倉健氏に対してウィリアム・ハート氏がやや小太りガッチリ体格の元石油採掘作業員の前科者に扮した。出所した夫を待つ貞淑で健気な妻を演じた倍賞千恵子氏に対してマリア・ベロ氏が一人で工具店を経営する勝ち気な中年オバサンを演じる。
 もてないチャラ男役の武骨な武田鉄矢氏に対して、線の細いエディ・レッドメイン氏が内向的で気が弱そうでコミュニケーション術にぎこちなさがある青年に。傷心の一人旅をするOL風女子を演じる桃井かおり氏に対して、「トワイライト」で吸血鬼に恋をする女子校生役で有名になったハイティーンのクリステン・スチュワート氏が家庭に問題がありそうな思春期の少女を演じる。
 そして主人公の急場を救う巡査部長は、日本では寅さんの渥美清氏、アメリカはアフリカ系のグローヴァー・コールソン氏。

 アメリカ人が改編するなら、こんな感じだろうなと納得できる内容だ。山田洋次版との著しい違いがあるとすれば、主人公が誤って死なせてしまった相手が、チンピラではなく主人公が喧嘩をしている所を仲裁に入った善意の第三者だ。
 ラスト場面は高倉健氏が土壇場で引き返せと怒鳴りだし3人押し問答になったり、黄色いハンカチが果たしてあるかどうか緊迫する焦らし演出があったが、アメリカ版は3人の口論は無く、妻の居住所が若干変わって最初は見つけられず、諦めて町を出ようとした時に偶然見つける形にさらりと済ませた。

 それと物語全体から見れば些細な場面だが、高倉健版では主人公が刑務所を出所してから定食屋でラーメンを貪るが、ウイリアム・ハートはハイネケンを小瓶一本を注文してすぐには飲まず感慨深げにグラスに注がれたビールを眺める。高倉健氏の食べ方があまりにも強烈だったので、アメリカ版は大人しめに見えた。
 これはもしかしたらアメリカの刑務所の食事情は充実しているのかもしれない。おそらく酒は飲めないだろうから、象徴的にビール一杯だけの描写になったか。

 拍子抜けするほど山田洋次版を踏襲しすぎていた。コメディ要素は無くしてシリアス調、若干はアメリカ社会が抱える問題をスパイス程度に加味したぐらいか。

(余談1)アメリカでは夫や恋人の帰還を祈って黄色い布を巻く風習が西部開拓時代からある。黄色い布なので、別段ハンカチでなければいけない事ではない。

(余談2)ピート・ハミル氏は、当時ベトナム戦争の取材で活躍していた本多勝一氏や石川文洋氏、ニューヨーク・ハーレムの写真集で脚光を浴びた吉田ルイ子氏と同世代である。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作


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