「ビールの教科書」【編集】倉田未奈子
【発行】宝島社
【雑感】ドイツビール党の晴雨堂が今さら何でそんな本を、と思う読者もいるだろう。
たまたまコンビニの雑誌売り場で見かけて衝動買いしてしまった。グラビアが綺麗で見やすいのと、現在日本で流通していて購入可能な世界各国の主だったビールと日本の地ビールが網羅されているのが魅力だ。
私の書斎にある資料は90年代のものばかりなので、データとしてはもはや古い。特に日本の地ビールは酒税法改正以来20年余りの間に激しく新陳代謝を繰り返してきた。若い頃によく飲んでいた地ビールの多くは廃業で消えてしまっている。この本は最新の地ビール情報も載っているので、昔のように飲み歩けない私には便利だ。
また各銘柄ごとに写真が掲載されているのは勿論のこと、そのうちの半分くらいは銘柄のロゴが入った専用グラスに注いだ状態の写真も載せている。これはビールの個性が視覚で判るので気が利いている。
瓶だけの写真も少なくないが、おそらくメーカー側が専用グラスを出していないか取材者が確保できなかったのだろう。できる限り専用グラスで注いだ状態で見せようとする努力の跡が見えて本に愛着を持ってしまう。
また味覚についてのデータもキレ・コク・酸味・甘味・苦味・香りの素人に解りやすい6要素を六角形の円グラフで描写されている。
日本地ビール協会の公式ライセンスにビアテイスターというのがあって、そのテイスティング項目はハッキリ言って素人には解りづらい。通ぶった知人がそれら「専門用語」でビールの講釈をしていたが、まるで知ったかぶりの気取り屋が外来語を多用して意味不明の解説をしているみたいで、その知人には申し訳ないが感じ悪かった。今でこそアロマとかエステルとかフレーバーとか日常語に定着しているが当時は耳障りが悪かった。
そういう意味で、この本は素人にも何となくイメージできる項目でビールの個性を表しているのに親切心を感じる。
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