ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

中1男女殺害遺棄、トム・ソーヤーの世界に忍び寄る危険。またしてもマスコミは紋切り型の批判と提言か。 近頃の現象[一一六八] 

中1男女殺害遺棄 
危機感薄い夜の子供たち 
頻繁にライン、外出に抵抗感なく


 大阪府寝屋川市立中1年の平田奈津美(なつみ)さん(13)が殺害、遺棄され、同級生の星野凌斗(りょうと)さん(12)の遺体が発見された事件は、子供を犯罪から守る難しさを改めて浮き彫りにした。ただ、専門家によると、かつてとはやや様相が違う「難しさ」があるという。「子供が夜に出歩くことが珍しくない」「夜中でも携帯電話でつながっている」-。大人が気づかぬ間に子供の世界に夜が入り込み、広がっているようだ。(産経新聞)

【雑感】小学校3年生から中学3年生の約6年間弱、私は事件の現場となった高槻市の西隣茨木市に住んでいた。被害者と同じ中学1年生のころ、事件報道で紹介されている地名はまさにサイクリングでよく走った馴染みある場所だった。

 淀川河川敷などは大阪のコンクリート砂漠に浮かぶ緑のオアシスのようなもので、堤防の上の道路は自転車専用道路としても整備されていた事もあってよく走った。摂津市の鳥飼大橋から高槻市にかかる枚方大橋までのラインは私にとってはサイクリングコースであり、コース周辺の土地勘もあった。
 だから思い出の場所で惨たらしい事件が起こり、その被害者が当時の私と同じ年頃である事が他人事ながら衝撃である。

 被害者の2人にとっては、トム・ソーヤーの冒険のような感覚だったかもしれない。野宿は楽しい。最初は通行人全員が盗人やかどわかしに見えたものだが、やってみると案外簡単。簡易テントを使うと蚊の襲来から防げるので快適。とはいえ奈津美ちゃんは独りだと心細いので仲の良い男の子星野君を誘う。

 小学生のころから友達だった2人は異性を感じあう仲ではなかったと思うが、中1ともなれば仄かなドキドキ感は芽生えつつあったかもしれない。それがまた楽しいのだ。特に何をするでもなくブラブラ歩く動作がまた楽しい。そんな感じではないだろうか。そして、そんな青春をおくった人は多いはずだ。
 スケールは大きく異なるが、被害者と同姓で私とほぼ同世代の劇作家平田オリザ氏は16歳の時に自転車で北半球を一周した。市街地でテントを張って野宿したこともあるそうだが、本人は壮大な世界一周の旅でも現地の人にとっては変な子供が野宿しているようにしか見えない。


 なぜか大人になると子供時代の気持ちを忘れてしまう。それどころか変にかまととぶる。そんなん知らんかった、私の子供ん頃はそんなんなかった、とでも言いたげだ。

 「子供が夜に出歩くことが珍しくない」と記事では問題にしているが、この期に及んで何を間の抜けた事をと思う。私は30年前にコンビニでバイトをやっていたが、深夜に小学生の客が来ることなど珍しくなかった。また当時から既に塾などで帰宅が深夜になるといった光景が報道され一種の社会問題として扱われていた。
 それが30年前の段階だ。この30年の間に、朝7時開店・夜11時閉店が主流だったコンビニは完全に24時間営業が主体となり、TV放送も当時は丑三つ時にもなれば砂嵐映像、今は殆どの局は砂嵐を流すことはなく事実上24時間放送だ。
 30年前の段階で既に子供は夜型になっているのに、30年前よりもさらに社会は不夜城と化しているのに「子供が夜に出歩くことが珍しくない」とわざわざ問題視するとは大間抜けの自覚がないのか?

 また記事では無料通信アプリ「LINE(ライン)」に代表されるコミュニケーションツールの発達も問題にしているが、むしろラインの発達が事件の解決を速めているともいえる。
 前述したように私がコンビニでバイトをやっていた80年代の時点で既に夜型子供は珍しくなかった。あの時代で同じ事件が発生したら、たぶん迷宮入りになっていた可能性がある。当時は防犯カメラはあまり設置されていない上にデジタル化もされていない。被害者の足取りも犯人の車も特定できなかったかもしれないし、そもそも中学生の2人が夜中に何をしていたのかも謎のまま、不可解な猟奇殺人として終わっていただろう。あるいは星野君に犯人の汚名を着せられていたかもしれない。
 私が小中学生時代に観たワイドショーで紹介された謎の猟奇事件の大半は、現代社会であれば数日で解明できるものになっているのではないか。

 教育評論家の尾木直樹氏は
 「ラインやメールで話していたら、いつでもつながっている意識になる。昔は深夜に子供だけで出かけるなんて怖くてできなかったが、夜でもつながっているという安心感を持ってしまう。いまは“オールナイト徘徊(はいかい)”ともいうべき行動を取らせる素地がある
 と否定的立場で短兵急な指摘するが、前述した通り30年前の段階で既に子供も大人の夜型社会に巻き込まれてしまっている。むしろ携帯端末の普及とLINEによって子供たちの孤立を防いでいると見るべきだ。
 大人が24時間社会になっているのに子供だけ朝型生活というのは無いもの強請りだ。抜本的解決をしたいのであれば生活のリズムを社会全体が「三丁目の夕日」時代に変える覚悟をもたないといけない。

 今は防犯カメラのおかげで被害者や犯人の足取りはかなり正確に特定できる。LINEのおかげで被害者の動向が記録として残るし、加害者は証拠となる足跡を残す場合もある。そのように評価すべきだと思っている。
 脊髄反射で否定的に捉えるのではなく、「三丁目の夕日」時代に戻る覚悟も大人たちが持てないのであれば、これらツールは日常あたりまえにあるモノとして受け入れた上で論じていくべきだ。


 尾木氏は「深夜に外出している子供を見かけたら一声かけるということができないか。支え合うような地域のつながりの重要性を改めて考えるべきだ」とまたまた短兵急発言をする。
 言いたい事はよく解るのだが、それを実現するには「三丁目の夕日」の時代に社会を戻さなければならない。今は知らない人に声をかけられたら警戒する(または逃げる)ようにと指導している状況を知っているはずだ。私がチャリンコで日本一周をしていた30年前の段階でも既に見知らぬ大人は警戒されていた。迂闊に道順を子供に尋ねると不審者扱いされかねない空気が既にあった。
 前から気になっているのだが、尾木ママは脊髄反射の短兵急発言が多過ぎる。不用意に世間のバッシングの波に乗って事実関係の掌握をしないまま他人様を批判しすぎだ。

 天変地異が起こらぬ限り、今の24時間営業的社会は変わらない。子供は大人社会を反映するものである。ならば、24時間営業的社会を補完するために誕生したLINEなどのツールを活用する方を考えるべきではないのか。もはやネット上の空間にも地域のつながりをつくっていく方が現実的だ。


 
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[ 2015/08/29 08:07 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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