ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

シリア難民が大挙してドイツを目指す。日本も実は明日は我が身なのだ。 近頃の現象[一一七二] 

焦点:難民危機が問うEUの真価、
再び深まる「東西の亀裂」


 欧州は現在、中東やアフリカ、アジアから流入する難民にどう対応するかをめぐり、各国間で深い亀裂を抱えている。難民問題をめぐる各国の不和は欧州連合(EU)の価値を揺るがし、ユーロ圏改革などへの一致団結した行動力も弱める可能性がある。(ロイター)

【雑感】トルコの浜辺に打ち上げられた3歳児アイラン君の姿。冷たい波が容赦なく押し寄せる波打ち際で俯せになって寝ているような姿は世界中に配信され、難民対策に渋々の態度に見えたイギリスなどの国々の背中を強打する効果を生む。写真を撮影した記者や幼児の父親の念が通じたかのように世論が盛り上がりつつある。

 日本の大手マスコミの多くは打ち上げられたアイラン君の姿にボカシを入れてよく見えないようにしていたが、マスコミよりも先にネット上ではボカシ無しの写真が拡散していた。私も義憤から中東のメディアであるアル・アラビアのTwitterにあるボカシ無しの写真を見つけると即座にリツイートした。
 義憤から拡散させたのだが、Twitter上で問題の写真が溢れるにつれて気分が悪くなった。動悸が激しくなり正視できなくなっていく。というのも、私の息子も3歳で背格好や着ている服などがよく似ていて、大きな頭に短い髪の特徴が酷似していて、そのうえ息子の就寝スタイルは俯せなので、波打ち際の男児の写真がネット上やTVで拡散・報道されるたびに胸が苦しくなるのだ。これは比喩ではなく、まことに生理現象として気分が悪くなってしまった。

 アイラン君の父親は取材に対し「俺の息子をよく見ろ」と言ったそうである。その結果、世界中から共感が湧き起こり、これまでドイツだけが積極的に難民受入姿勢を示してきたが、EU全体としても動かざるを得なくなった。ハンガリー政府はシリア難民を足止めしていたが、ようやく重い腰を上げて国境線を開けた。


 さて、たぶん多くの日本人は遠いヨーロッパの出来事だと思っているだろうし、3歳児の子供を持つ多くの親は日本に生まれて良かったと思っているはずだ。
 しかしこれらの悲劇は他人事ではなく明日は我が身なのだ。たとえば朝鮮半島は相変わらずキナ臭い。有事となれば朝鮮半島から難民が日本に向けて押し寄せるのは目に見えている。


 北朝鮮が何か行動を起こすたびに日本では極右市民らが在日コリアン排斥運動を起こす。さらに北朝鮮の金政権打倒を声高に主張したりもする。私の周囲にも同様の論を展開する者が複数名いて、そのつど私は反論してきた。
 「そんな事をしたら日本は手痛いしっぺ返しを食らう。北朝鮮から難民が大挙押し寄せるぞ」「朝鮮学校を必要以上に痛めつけたら、難民児童の教育は誰が担う?」
 この私の主張は左右の知人からけっこう攻撃を受けたものだ。右の御仁からは「金正日に迫害されている人達を放っておけというのか卑怯者」「北の難民なんて韓国に責任がある。日本に義理は無い」「難民に日本が乗っ取られる」などと頭ごなしに言われたし、左の御仁からは「お前は銭勘定している」などと人格攻撃された。
 経済と人道の両方を考えるべきで、どちらか片方だけしか考えない人間のほうが無責任である事を私は体験的に思い知っているのでこの考えは断固として変わることはない。そして左右双方も人道と経済のバランスを欠いているので信用しない。

 今回のシリア難民にしても、一連のアラブの春のしっぺ返しでもある。欧州諸国はこぞって歓迎したし、日本も手放しで歓迎する論調で占められていた。が、私はその後の混乱のほうが気になって仕方がなかった。結局、私が危惧したようにもはや中東諸国は気軽に観光できる国々ではなくなってしまった。
 シリア難民を取材するニュース映像を見ていると、流暢な英語でインタビューに答える難民が目立つ。平和であれば、そこそこの生活水準をおくってこられたのだろう。アイラン君たち家族も平和であれば散髪屋の家庭だったし、カナダに親族がいる。私の連れ合いは美容師でドイツに親戚がいる。共通のキーワードが多いということは、それだけ我々と同じような生活を営んできた庶民ということなのだ。
 欧米は安易にアラブの春を応援した結果、中東から難民が押し寄せるようになってしまった。同様に朝鮮半島の問題を安易にとらえるべきではない。もし難民が日本に押し寄せたら、日本は受け入れていくしか道はない。右派がいくら吠えても国際世論の前には吹けば飛ぶ醜いものでしかないことはアイラン君の一件で思い知らねばならない。

 そして有事が起こる可能性があるのは北朝鮮だけではない。福一の廃炉が失敗したらどうなるのか、あるいは新たに福一級の事故やチェルノブイリ級の事故が起こったら、我々日本人が難民となる。
 明日は我が身だ。明日は我が身だからこそ、善行をおこなうことで有事の際の根回しをやっておかなければならない。


 
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[ 2015/09/07 19:01 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(2)
ドイツとしては苦しい立場でしょうね。
難民80万人を受け入れるとドイツの財政負担は2兆円近くになるそうです。幾ら欧州随一の経済優等生でもこの負担はとても無理でしょう。

ドイツの一般市民からも不満や批判が既に多く出始めています。この問題はヒューマニズムだけでは到底解決しそうにありません。ましてドイツ以外の国では尚更です。

しかし、ナチスに対する反省からドイツは難民宥和策をとったので多くの難民が他国ではなくドイツを目指す、これこそ歴史の因縁とでも言うべきか・・・
[ 2015/09/07 23:36 ] [ 編集 ]
うろぱす氏へ

 難民問題に周辺諸国も団結してEUの問題としてドイツを支援しないと、転んでしまえばネオナチが「そら見た事か」と台頭します。ハンガリーの反発はネオナチに活力を与える効果があります。中韓の反日行動が日本の右翼に力を与え左翼の力を削ぐ効果を生んだのと同じ現象が日本以上に深刻な形となって起きます。みんな二手三手先は考えず脊髄反射で目前の問題に飛びつき過ぎます。

 世間は「アラブの春」を新しい時代の到来であるかのように浮かれていましたが、私は新たな悲劇の時代の始まりだと暗くなりました。リビアのカダフィも倒れてほしくはなかったし、シリアのアサドも盤石でいてほしかった。
 西洋の民主主義が万国に通用すると思っていたら、それは大間違いです。下手にメスを入れると入れる前よりも酷い状況になる。冷戦時代のほうが世界は平和でした。

 それからメルケルは脱原発を政策として実行中です。だが、緑の党が政権与党になった事があるほどエコの勢力が強いドイツでも今まで原発を手放せなかった。チェルノブイリの被害を受けていたにも関わらずです。
 脱原発のブレーキになるでしょう。ドイツには原発が16基ほどありますが、停止にこぎつけたのはまだ半分です。むしろ全ての原発を今まで止めていた日本のほうが優秀と言えます。
 廃炉にしてしまえば、企業にとっては巨大な不良債権として今後も抱え続けることになる。国の政策で決定した以上、国が存続している限り最後まで面倒を見なければならない。ドイツに余裕はあまり無い。廃炉へのロードマップを見直さざるを得なくなるでしょうし、大幅に原発を廃炉にしても原発大国フランスから電気を買う羽目になるかもしれません。
 さらにギリシアなどのEU加盟国の不良債権もドイツはかなり絡んでいます。

 日本の問題として捉えれば、卑怯な言い方ですが、現状維持が続いてくれる事を祈るしかありません。
 北朝鮮が倒れたら、韓国では支えられないので日本も協力しなければならないし、難民は容赦なく日本にもやってくる。原発がこければ我々が難民になる。

> ドイツとしては苦しい立場でしょうね。
> 難民80万人を受け入れるとドイツの財政負担は2兆円近くになるそうです。幾ら欧州随一の経済優等生でもこの負担はとても無理でしょう。
>
> ドイツの一般市民からも不満や批判が既に多く出始めています。この問題はヒューマニズムだけでは到底解決しそうにありません。ましてドイツ以外の国では尚更です。
>
> しかし、ナチスに対する反省からドイツは難民宥和策をとったので多くの難民が他国ではなくドイツを目指す、これこそ歴史の因縁とでも言うべきか・・・
[ 2015/09/08 00:47 ] [ 編集 ]
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