「世界侵略:ニューヨーク決戦 」 メジャー映画「Battle: Los Angeles」の 便乗低予算映画 【原題】 Battle: New York Day II
【公開年】 2010年
【制作国】 亜米利加
【時間】 92分
【監督】 アンドリュー・ベルウェア 【制作】 ローラ・シュラフトメイヤー
【原作】 【音楽】 【脚本】 ラルフ・ボズウェル
【言語】 イングランド語
【出演】 ティナ・タンザー (ローラ・サマーズ)
ディヴィッド・イアン・リー (ミルトン・ステディ軍曹) トーマス・ローウェン(エリック) ナット・キャシディ(ニール・ルイス) ダニエル・クイセンベリー(ジーン) キャスリーン・クワン(ドクター)
マドゥカ・ステッディ (アルファ/謎の男)
【成分】 かっこいい 終末 笑える ゾンビ SF アメリカ ニューヨーク
【特徴】 典型的なメジャー映画便乗企画B級作品。
予算規模はおそらく低予算映画の中でもセミプロ自主制作レベル。チープさを和らげるため、ワザと画質を退色させて虚無感を強調し、主演者の大きな瞳を際ださせるような顔を不連続にアップする事で不安感を強調させるなど、工夫の跡が随所にみられ素人の作品ではない事が窺われる。
壮大なSFを企画したものの予算規模の小ささゆえ、やむなくゾンビ映画に切り替えた楽屋裏を垣間見たような感を抱く。エンドクレジットでは主要俳優だけでなくエキストラと思われたゾンビ役も映像付きで名前を紹介されるところが微笑ましい。
主演は低予算エログロホラーに関わる事が目立つ
ティナ・タンザー 。俳優のほかライターもやっているそうだが、日本での知名度は皆無。
主演者たちの熱演がチープさを補う。日本のゾンビ映画自主制作者たちには参考書として利用できるだろう。
【効能】 眠れない熱帯夜に睡眠導入用環境ビデオとしての効果が期待できる。作品から滲み出る俳優・スタッフの和気藹々とした雰囲気に癒される。低予算自主制作ゾンビ映画の参考書として利用できる。
【副作用】 時間と金銭の喪失感に悩まされる。
下の【続きを読む】 をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。 記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
チープさ満載ではあるが、 エンドクレジットは好感が持てる。 言うまでもなく、「世界侵略: ロサンゼルス決戦」の便乗企画の低予算映画である。原題からでも窺える。「Day II」の文字を入れたのは、ロサンゼルス決戦から2日目という設定なのか?
如何にも典型的な低予算映画である。ロケ現場はニューヨークのとある倉庫街の狭い一角を借りて行ったのか? 交通規制をする力も無いのか早朝か夜中の時間帯に撮影をしているように思う。エイリアンの謎の地球駒型ロボットや爆発はCGで済ます。
主要登場人物は7人、物語の展開に適した黄金人数(余談1)だ。エキストラは少なく10人前後、下手をすれば手の空いた撮影スタッフが務めている可能性がある。というのも、エンドクレジットでは不特定多数のゾンビを演じた方々も画像入りで紹介している。この点は微笑ましい楽屋裏が覗けたような気分になって楽しくなる。
で、作品内容なのだが、多くの鑑賞者は「クズ映画」の烙印を捺してしまうだろう。私もアメリカのB級以下映画に見られる独特の稚拙さが気になったし、設定の強引さに首を傾げながら見ていたのだが、意外にカメラワークや演出はしっかりしていた。
思うに、潤沢な予算で制作したメジャー映画「世界侵略: ロサンゼルス決戦」の便乗企画作品を撮る事を低予算専門の制作会社が決定し、現場は割り当てられた少ない予算でロサンゼルス決戦の続編になるよう冒頭の設定を決め、宇宙からのエイリアンによる急襲は踏襲、しかしながら割り当てられた予算ではとてもスペクタクルな話はできないのでゾンビ映画にした。
最初の怪光線でニューヨーク市内の一般市民の殆どが消滅、これはCGと早朝の人けの無い街並みを映すことで描写、生き残った人間はナノレベルの微細なロボットを吸引する事で操り人形のようになる。難を逃れたのは精神疾患を抱えている人間のみ。低予算SFの苦しいやり繰り設定だ。
低予算映画にとって救世主的テーマである「ゾンビ映画」にしたものの、腹裂き食事風景や腐乱メイクなどを描写するだけの時間と労力と予算が無いのか、前述のとおりエイリアンがナノレベルの微細なロボットを大量に空中散布し、それを吸い込んだ人間が脳や神経組織を乗っ取られるという設定にしたようだ。ゾンビメイクは目頭や頬に一筋か二筋の血糊を付けるのみ、衣装はおそらく自前、あとは俳優の演技。
そのゾンビ役を担った俳優たちはたぶん不特定多数のエキストラではなく、スタッフかその関係者たちの友人知人で占められている可能性がある。ろくなメイクもせず衣装も用意していなさそうなわりにエキストラ人数は僅かに10人前後。
ロケセットやメイクなどの稚拙さを目立たなくさせるため、画像はワザとカラーバランスを不安定にさせ猫か犬の目で世界を見ているかのような、白黒に近い退色カラー。色校正は場面ごとに殆ど白黒から通常カラーに近い状態まで頻繁に変えている。
少ない人員と予算の少なさで目一杯まとまった作品にしようという苦肉の努力が見えて、B級以下映画好きのエド・ウッド監督に親近感を抱く私のような人間には面白く感じた。
撮影者の腕とキャスティングの良さは特に光っている。主演女優の
ティナ・タンザー 氏はハッキリ言って世間でいう「美人」ではない。若いのか歳をとっているのか判らない痩身の女性だ。やや険しいオバサン顔、大きな瞳と長い睫毛、これを頻繁にカット割りのアップにすることで見る人に不安感を与える。
他の俳優たちも演技達者の熱演、これが低予算である事を忘れさせてくれるほどだ。
お気づきと思うが、私はしきりに作品内容から推察される制作者たちの楽屋裏の雰囲気に対して好意的評価を述べてきた。作品内容自体には言及していない。
作品のみだけに限って観れば、やはりチープな映画なのだ。
(余談1)これは当ブログでしばしば述べてきた私の持論である。観客が最も納得しやすい登場人数は7人まで、善玉側が5人程度に悪玉側が2人程度、これ以上人数が多いと観客は顔と名前が覚え辛く物語の筋も解りにくくなってしまう。日本の戦隊モノやウルトラマンなどが典型例だろう。
登場人物が多く出ているドラマや映画でも、台詞や顔出しが多い人物は大概7人程度におさまり、他は通行人A・Bのポジションに退いている。例えば「スタートレック」ではカーク船長・スポック副長・医療主任マッコイの3人は不動のメンバー、残りの4席のうち2席はエピソード毎に技術主任チャーリーやウラ中尉や加藤中尉が入れ替わり、最後の2席は敵役やゲストスターが座る。
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如何にも典型的な低予算映画である。ロケ現場はニューヨークのとある倉庫街の狭い一角を借りて行ったのか? 交通規制をする力も無いのか早朝か夜中の時間帯に撮影をしているように思う。エイリアンの謎の地球駒型ロボットや爆発はCGで済ます。
主要登場人物は7人、物語の展開に適した黄金人数(余談1)だ。エキストラは少なく10人前後、下手をすれば手の空いた撮影スタッフが務めている可能性がある。というのも、エンドクレジットでは不特定多数のゾンビを演じた方々も画像入りで紹介している。この点は微笑ましい楽屋裏が覗けたような気分になって楽しくなる。
で、作品内容なのだが、多くの鑑賞者は「クズ映画」の烙印を捺してしまうだろう。私もアメリカのB級以下映画に見られる独特の稚拙さが気になったし、設定の強引さに首を傾げながら見ていたのだが、意外にカメラワークや演出はしっかりしていた。
思うに、潤沢な予算で制作したメジャー映画「世界侵略: ロサンゼルス決戦」の便乗企画作品を撮る事を低予算専門の制作会社が決定し、現場は割り当てられた少ない予算でロサンゼルス決戦の続編になるよう冒頭の設定を決め、宇宙からのエイリアンによる急襲は踏襲、しかしながら割り当てられた予算ではとてもスペクタクルな話はできないのでゾンビ映画にした。
最初の怪光線でニューヨーク市内の一般市民の殆どが消滅、これはCGと早朝の人けの無い街並みを映すことで描写、生き残った人間はナノレベルの微細なロボットを吸引する事で操り人形のようになる。難を逃れたのは精神疾患を抱えている人間のみ。低予算SFの苦しいやり繰り設定だ。
低予算映画にとって救世主的テーマである「ゾンビ映画」にしたものの、腹裂き食事風景や腐乱メイクなどを描写するだけの時間と労力と予算が無いのか、前述のとおりエイリアンがナノレベルの微細なロボットを大量に空中散布し、それを吸い込んだ人間が脳や神経組織を乗っ取られるという設定にしたようだ。ゾンビメイクは目頭や頬に一筋か二筋の血糊を付けるのみ、衣装はおそらく自前、あとは俳優の演技。
そのゾンビ役を担った俳優たちはたぶん不特定多数のエキストラではなく、スタッフかその関係者たちの友人知人で占められている可能性がある。ろくなメイクもせず衣装も用意していなさそうなわりにエキストラ人数は僅かに10人前後。
ロケセットやメイクなどの稚拙さを目立たなくさせるため、画像はワザとカラーバランスを不安定にさせ猫か犬の目で世界を見ているかのような、白黒に近い退色カラー。色校正は場面ごとに殆ど白黒から通常カラーに近い状態まで頻繁に変えている。
少ない人員と予算の少なさで目一杯まとまった作品にしようという苦肉の努力が見えて、B級以下映画好きのエド・ウッド監督に親近感を抱く私のような人間には面白く感じた。
撮影者の腕とキャスティングの良さは特に光っている。主演女優の
ティナ・タンザー 氏はハッキリ言って世間でいう「美人」ではない。若いのか歳をとっているのか判らない痩身の女性だ。やや険しいオバサン顔、大きな瞳と長い睫毛、これを頻繁にカット割りのアップにすることで見る人に不安感を与える。
他の俳優たちも演技達者の熱演、これが低予算である事を忘れさせてくれるほどだ。
お気づきと思うが、私はしきりに作品内容から推察される制作者たちの楽屋裏の雰囲気に対して好意的評価を述べてきた。作品内容自体には言及していない。
作品のみだけに限って観れば、やはりチープな映画なのだ。
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登場人物が多く出ているドラマや映画でも、台詞や顔出しが多い人物は大概7人程度におさまり、他は通行人A・Bのポジションに退いている。例えば「スタートレック」ではカーク船長・スポック副長・医療主任マッコイの3人は不動のメンバー、残りの4席のうち2席はエピソード毎に技術主任チャーリーやウラ中尉や加藤中尉が入れ替わり、最後の2席は敵役やゲストスターが座る。
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