ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「子供をお迎えに行く父親は本当に出世できないのか」・・男性中心社会の弊害というより、日本型資本主義社会の弊害である。 近頃の現象[一一八六] 

<育児>子供をお迎えに行く父親は 
本当に出世できないのか


 都市部で働く母親が子供を保育園に入れても、問題が次々と立ちはだかります。その一つが保育園のお迎え。保育園の閉園時間は夕方6~7時ごろ、この時間が、日本の企業が求める働き方と相いれないのです。明治大商学部准教授(社会学)の藤田結子さんが保育園の「送り迎え」の現状を報告します。(毎日新聞)

【雑感】大昔、友人たちと喧々囂々の議論になった事がある。

 友人Aの家で飲んだ時の事である。酒と手料理を持ってきてくれたAの妻が仕事漬けのAへの憤懣を口にした。仕事で帰りが遅いだけでなく、上司や同僚と道草で飲みに行ったり、得意先と宴会やったり、家族の事をもっと考えて欲しいと愚痴る。
 この憤懣に夫よりも我々男友達が若干カチンときてしまい、怒りを抑えながら「家族を考えたら、なおさら帰りは遅くなってしまう」と諭すように口々言った。

 日本型ビジネスは、特に営業職などは職場の作業だけが仕事ではない。仕事をしていく上で、相手の人となりをもっと把握したい、相手との信頼関係をもう少し確信に近づけたい、そういう意味で酒がアイテムとして使われるのが当たり前の時代だった。飲み会も実は「仕事」なのである。下手をすれば昼間の通常の労働よりも勝負だったりする。
 そんな大事な場にことごとく参加できない、となれば「やる気」を疑われるし、妻を説き伏せる事ができない人材に大事な商談を任せる事はできない、と判断されかねない。
 捻くれ者の私は意地悪く友人の妻を攻撃してしまった。「これからますます景気が悪くなる。忙しいのは結構なこと。家族の時間が欲しいのなら今より不安定で低収入の生活を選ぶか、金銭的に豊かで安定した生活を選ぶのなら今を我慢するか、二つに一つ、中間は無い。その覚悟があった上でのA君への文句か? 自分の事を理解してほしいと思うんなら、当然A君の仕事の現場を理解してるんやろうな?」とたたみこんでしまった。

 友人Aの妻は顔を真っ赤にして「連絡ぐらいはしてほしい。なんで電話かけるぐらいできへんの」と声を絞り出すように言った。
 同席していた友人Bが気が付いた。いつの間にかAの妻を我々が吊し上げにしているような構図になっていたのでマズいと思ったのだろう。Aの妻としては我々が共感と同意をするものと思い込み、我々からもAに注意してほしいとぼやいた事が、逆に自分が集中砲火を受けたのでショックを受けたようだ。Bはバランスを図るべくAを説教する。
 「おいAよ、酒飲むんなら途中で席立って便所ぐらい行くやろ。その時に電話せぇよ。俺の上司なんか接待が長引くと、家族に電話いれるために便所を口実にして席たつぞ。馬鹿正直に飲んでないで、それぐらい機転きかせよ」
 さらに続けてBはAの妻を諭す。
 「さっき言うたように、便所へ行く振りをして家族に『遅なる』とコッソリ電話せなあかんねや。それだけ日常とはかけ離れた常軌を逸した世界、て事だけは解ったってくれ。頼む」

 このエピソードは私がまだ30になっていない頃の話である。20年くらい昔か。現在は変わってきているとは思うが、仕事との付き合い方は基本同じだろう。
 接待のない製造業の現場作業者でも儲かっているところは12時間以上みっちり働かされる。私自身、以前は通勤時間も合わせて1日の3分の2以上は「仕事」で取られた。食事と風呂の時間を作るので手一杯、家事をやったら睡眠時間を削る事になるので、自然と連れ合いが家事を担当するようになった。子供の顔も寝顔しか見ない日が続いた。
 製造業の多くは基本給を安く抑えられている。残業をやらなかったら、とても子供の学資保険などは捻出できない。

 上記の毎日新聞記事はそれらの事情を証明している。近年はOLも男性と同じように、というよりも日本型資本主義に巻き込まれていると考えたほうが良い。OLの男性化ではなく、以前では「女」を理由に日本型資本主義の現場から外れる事ができたのが、今はできない。企業が求めるのは「男」ではなく日本型資本主義について行ける人間だけだ。ここを押さえておかなければ、解決の糸口は永久に見つからない。

 けっして「女性差別」などと短兵急に問題をステレオタイプ化させて世の働き盛りの男性を徒に批難するだけになってはいけない。そんな感覚では逆に相互理解の道は閉ざされ、むしろ相互無理解と対立を煽るだけである。社会の改革など進みようがない。
 現状を脱却できる方法の一つとして私が推薦するのは、UターンもしくはIターンで都市から農村へ移住する事だ。農民なら一種の自営業なので時間の割り振りは自分の裁量で何とかなる。自然豊かな地方であれば子供の発育にも良い。しかし多くは収入減を覚悟しなければならない。私も故郷移住をあれこれ思案しているのだが、状況は厳しい。加えてTPPの影響がどう絡むか。

 現在の有り様が、けっきょく物理的に一番安定している姿なのだ。変えるとなれば、相応の覚悟が必要である。生活習慣から価値観まで全てを変える覚悟である。綺麗なスーツを着て御洒落にバリバリ働いて出世するような価値観では、日本型資本主義から抗う事は無理と心得るべきかな。

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 シングルマザーで四苦八苦するヒロインの前に突如現れた江戸時代の侍。ともさかりえ氏が日本型資本主義社会に呑み込まれ悪戦苦闘する様がリアルに描かれている。ジャニーズ系映画と思いきや、なかなか奥が深い作品だ。
 まだ幼児の鈴木福君の名演技が光る。

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「ちょんまげぷりん」 家族と一緒に考えよう 〔24〕


 
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[ 2015/10/12 23:49 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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