ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ツタヤ図書館」騒動で浮き彫りになる司書への軽視。 近頃の現象[一一八七] 

ツタヤ図書館」問題で浮上する
「司書」の重要性


 レンタル大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する公共図書館で、さまざまな問題が指摘され始めている。国内で初めてCCC運営の図書館を導入した佐賀県武雄市では、関連会社から中古本を購入していたことが発覚。国内2例目の神奈川県海老名市でもCCC側の選書や本の分類に疑問の声が上がった。問題を受けて、愛知県小牧市では住民投票の結果、「ツタヤ図書館」の導入の反対票が賛成票を上回った。いわゆる「ツタヤ図書館」は、共通する課題があるのだろうか。図書館情報学が専門の慶応大学文学部、根本彰教授に聞いた。(THE PAGE)

【雑感】実は大学時代に司書ライセンス修得過程を履修した事があった。藝大なので、高校や中学の教員過程や博物館や美術館の学芸員過程などが有り、私は本がある空間が好きなので司書を選んだ。
 ただ、当時は講義をサボって旅に出ていたので、結局4年では卒業できず「5回生に進級」してしまった。卒業する単位を集めるだけで手一杯で司書コースを放棄してしまった。今にしてみればとんでもない事だ。あのとき資格を獲っていれば、もう少しマシな人生をおくっていたかもしれないのだが・・。

 さて、私の地元堺市でも図書館民営化問題があって、反対する市民団体は「私たちは貸し本屋のオバチャンじゃない」をスローガンにチラシを作っていたのを覚えている。
 実際、司書というのは国家ライセンスを持つ専門職であり、アメリカなどでは修士号をもった人間が担うので社会的地位は高い。広大なアメリカでは書店の展開が追い付かず公営の図書館が地域の教育や文化を担ってきた経緯がある。それに比べれば日本は昔から本屋が多いという事情もあって軽んじられがちだが、それでも大卒者が担う。

 確かに仕事内容は書店員と被る部分が多い。しかしそもそも図書館と書店とは役割が異なる。それは売れる本と地域が求める本、あるいは大手出版社が一押しする本と地域にとって必要な本が必ずしも一致するとは限らないのと同じである。
 ましてや、書店員はあくまで商品としての本を売る事が目的であるのに対し、司書にとって本とは情報媒体であり、情報の価値を評価して分類管理する知識と技術を体得した専門職である。極端に言えば、図書館の運営に司書は必要だが書店経営に司書は必要ない。
 ところが職務が被っているように見えるうえに、自治体の多くは財政難ゆえ図書館は削減対象に入ってしまうのである。医療や福祉や学校などに比べれば図書館はまだ削りやすい対象に見えるのかもしれない。特に現在のネット社会になると紙媒体の利用自体が減少しつつある。中高生の頃は学校の図書室に行って辞典や事典や六法全書の類を取り出して調べものをよくしたが、今はPCの検索で瞬時に必要な情報があらかた得られる。
 こうなってくると、サービスが同様なら民間に委託しても構わんではないか、と思うようになっても仕方がないかもしれない。

 ただ、ネットはあくまで雑多で野放図に情報が氾濫している環境であって、しかも込み入った内容になってくると有料になってしまう事も多々ある。
 以前にも述べた事があるが、新聞雑誌などでは一応は事実関係掌握の訓練を受けた記者が取材をし、さらにそれら記者を統括するデスクや編集長がふるいにかける。それでも誤報や名誉棄損沙汰が発生するが、ネットでは良い意味も悪い意味も含め訓練を受けていない素人が真偽未確認のまま情報を垂れ流す。だから図書館の必要性は依然としてあるのだ。

 そういった事情を踏まえて図書館民営化の問題なのだが、前述したように司書と書店員は役割も価値基準も違う。極端に言えば、司書は儲からなくても公共の利益になると判断すれば提供するが、書店員は基本売れる本しか出さない。しかも書店業界も以前に述べたように斜陽産業なのである。斜陽産業という事は人材も劣化している可能性がある。
 そこへ図書館運営となると、現時点では無料公共施設ゆえ委託された民間は経費の削減を真剣に考えざるを得ない。削るとすれば、まずは人件費となり管理者の劣化が始まる。次に蔵書のスペースが限られているゆえ閲覧数が少ない資料を機械的に「不良債権」と判断して遺棄される可能性もある。歴史的に貴重な書籍が行方不明になってしまう事件もあるかもしれない。公営の図書館時代からそんな現象があったとしても、民間のせいにされるだろう。

 文化というものを顧みる必要がある。目先の対処ばかりを繰り返していたら、識字率最高水準を誇りノーベル賞受賞者を多く輩出してきた日本の屋台骨が骨粗鬆症のごとくボロボロになってしまう事もあり得る。


 
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[ 2015/10/14 07:24 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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