毎日ハム2枚 がん発症率18%UP
WHO報告に食肉業界猛反発 世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が、ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉に高い発がん性が認められ、大腸がんを発症するリスクがあるとの調査報告を発表し衝撃が広がっている。5段階ある発がん性の評価で、たばこやアスベストと同じ最高レベルに分類。ハムやベーコン2、3枚分の50グラムを毎日食べ続けると、発症率が18%高まるとしている。ステーキなどの赤身の肉にも発がん性があると指摘した。これに対し、大量消費国である米国の食肉業界団体は「信憑(しんぴょう)性に欠ける」と猛反発。肉をこよなく愛する消費者は「何を食べればいいんだ」と悲嘆にくれている。(産経新聞)【雑感】日本人の大腸癌発症率が高くなった要因として食事の欧米化があげられて久しい。なので今回の発表も日本ではありふれた情報を補強する意味でしかない。具体的に世界の権威である
WHOと
IARCが認めてくれただけの話だ。
もちろん、肉料理中心の国々は反発するだろう。食肉業者は自分たちの商品を悪者にされたので黙ってはいない。自分たちの利益を守るために必要な手段を講じてくる事が予想される。
ただ、相手は世界の権威であり国際機関だ。以前より肉類中心の食事は健康にあまり良くない事は学者や医者から指摘されてきたし、環境保護運動家たちからは肉牛の生産が森林面積の縮小を促進させているとの指摘があった。それら警鐘を結果的には今まで黙殺したり法権力やマスコミを使って圧力もかけてきたわけなので、今回の発表は意義がある。
疾病リスクを煙草やアスベストと同格にしているところは些か薬が効きすぎた感があるが、警鐘として有益だと思っている。今回ぐらいインパクトの有る発表をしないと世間は聞く耳を持ってくれない。
食品公害に関心の有る人間なら、問題となっている食品は肉だけではない事は知っている。牛乳にも乳癌リスクがある事を指摘する医師はいるし、そこまで具体的に言わぬまでも牛乳を避けるよう指導する医師やアドバイザーは少なくない。
和食ブームで魚の消費が世界的に上昇しているが、全世界に広がった水質の汚濁で魚介類も安全とはいえない。水銀や放射能などはもはやどの地域の魚にも程度の差はあれ存在していると考えたほうが良いかもしれない。
どの食材にも言える事だが、発癌性云々以前に実は致死量というものがある。これは既に16世紀の医師パラケルススが主張している事で目新しい情報ではない。
有機無農薬無添加のオーガニック醤油であっても一升瓶分一度にがぶ飲みすれば死んでしまう、この理屈は誰でも解るだろうが、全くの無害であるはずの水でさえ一度に大量摂取すると血中ミネラルが極端に下がって神経障害を起こし多臓器不全を起こす。その量は推測の域を出ないが10リットル説が有力らしい、普通の人間が普通の生活で摂取する事はまず無い。
毒か無毒の境界線は、少量で致死量に達するか達しないかの差とも言える。各々の食材には副作用よりも効能のほうが勝る適量というものがあって、それは食事をする人の体調や年齢や住んでいる環境や摂取する食材の種類によって絶えず変化する。 今回の場合、本来は効能と副作用・長所と短所の両方を明記するべきなのだが、それだと警鐘にはならない。残念な事に人は自分の都合の悪い情報は拒絶して都合の良い情報のみを入れようとする。
今回の一件でも、食肉が健康に悪い影響を与えているのではと疑惑を持っている人たちにとっては都合の良い情報なので歓迎するだろう。逆に食肉業者にとっては死活問題になるゆえ
WHOの発表は受け入れ難いし認められない。加工肉の効能を発表する医師がもし現れたら、おそらく積極的にそれを宣伝に利用するだろうし、自らもその情報を正しいと確信する。
人間は本能的に自分にとって「都合の良い情報」しか受け入れない。だから物事を無意識にステレオタイプへ加工して得心しようとする。 今回でもさっそく
WHOの警鐘を「ハムやソーセージは毒」と早合点する人が大勢出現した。菜食主義の知人は「ほら、言うた通やないか」と自説が強化されたことを喜び、世界各国の食肉業者は「毒だと決めつけられた」と言わんばかりに
WHOを批難する。
しかしWHOが示した発症リスクは20%未満、仮に1000人いたとして発症が50人程度のところが60人になる程度のものだ。
煙草の害毒が喧伝されているにも関わらず未だに吸う人がいる事で内心イラついている私としては、妥当な警鐘だと思っている。今回のインパクトある警鐘でも食肉の消費量が激減するとは思えない、公平に効能と副作用を併記したら人々の記憶には残らないので警鐘の機能は果たせない。
WHO報告は妥当だと思う。
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