映画ブログ「男の魂に火をつけろ!」の企画「2015音楽映画ベスト10」に乗ってみるか。 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二三一]
【雑感】映画ブログ友達のしろくろShow氏つながりでワッシュ氏が運営する「男の魂に火をつけろ!」の「おっぱい映画ベストテン」に続き「2015音楽映画ベスト10」に参加してみようと思う。
今回のベストテン趣旨は「おっぱい映画」と違ってやや複雑な条件だ。下記の緑字は、ワッシュ氏が提示した条件である。
•音楽をテーマとした映画、音楽家が主人公の映画、ミュージカル/オペラ、音楽家の伝記映画などを対象とします。
•洋画/邦画、実写/アニメ、劇映画/ドキュメンタリー/モキュメンタリーなどの区別は問いません。
•「サウンドトラックが名曲」や「主題歌が大ヒット」などの作品ではなく、音楽がストーリー上で重要な役割を果たしているものを選んでください。
エントリーされた方々のベストテンを拝見すると、どうやら2015年公開にこだわる必要がなさそうだ。しかしながら、当ブログで何度か述べた事があるが私はミュージカル嫌いである。取り敢えずは観るが不快感が残る。「ウエストサイド物語」なんて、唐突に踊ったり歌ったりなので「こやつら気でも違うたか?」「これは何かのギャグか?」と思ったほどだ。
果たして10作品ならべる事ができるか自信が無いが挑戦してみよう。
予めことわっておくが、長々と能書きを垂れるかもしれない。映画のタイトルのみを順位順に列挙するだけで良いのだが、やはり何故この作品を選んだのか、その気持ちや思い入れというものを説明しなければならない。
字数制限が無いブログといえども、読者の集中力などを考えれば二千字以内にまとめるべしと諸先輩から注意を受けているが、私は選んだ理由も全て明らかにしたいので敢えてカット無しで書きだす。
能書きが嫌な方は太字で表示したタイトルのみご覧いただきたい。
晴雨堂の「音楽映画ベスト10」
ミュージカルをはじめ音楽映画はあまり好きではないので、私が認知症になってもたぶん忘れないかもしれない作品に絞った。
1位 「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」
1984年公開。上記の条件に合致する作品として真っ先に浮かぶのは、やはり「マクロス」である。主人公は主役の如く振る舞う天才的パイロット一条ヒカル大尉ではなく、愛と平和の歌姫であらせられる林明美(リン・ミンメイ)だ。
副題の「愛・おぼえていますか」は異星人の古代遺跡から採取した音楽テープをヒロインの早瀬未沙少佐が解析翻訳、その歌のタイトルが「愛・おぼえていますか」なのだ。
物語の佳境で伝説の歌姫ミンメイが無数の砲弾炸裂する宇宙空間をバックにマクロス艦内に特設されたステージで「愛・おぼえていますか」を熱唱、歌に衝撃を受けた敵軍の中から寝返りを誘発し、圧倒的劣勢であった地球統合軍が一気に形勢を逆転させ勝利する。このアニメ映画ほど今回のベストテンのテーマに合致する作品はあるまいと本気で思う。
当時、戦争アニメにアレルギーを持った「平和主義」の友人がマクロス批判をぶちまけていた。「結局、この作品で何が言いたい? 歌謡曲に合わせて残酷な空中戦や殺戮シーンを楽しむだけの低俗な戦争アニメや」と。私の返答は一言二言である。「これは歌手リン・ミンメイの大袈裟なプロモーションビデオや。それ以上でも以下でもない」と。
現在はプロモーションビデオというよりはミュージックビデオと言ったほうが通りが良いかもしれない。我ながら言い得て妙。いま観ても、この作品はミンメイのMV以外何物でもない。恋愛の歌に合わせてマクロスを中心に敵軍へ突撃していく様は感動を通り越してシュールだ。しかし一応世間では長編アニメ映画として公開されているので1位にあげる。
この作品は劇場へ行って朝の1回目の上映から晩の最終上映まで観まくった。当時はシネコンなんぞ無く入れ替え制ではないので、体力が続く限り映画館に籠る事ができた。さらにβマックスのビデオソフト14800円をはじめ、「マクロス」サウンドトラックのLPレコードにミンメイ役の飯島真理氏のLPに、関連の資料本等々、買いまくった。非常に思い入れの強い作品である。
2位 「シェルブールの雨傘」
1964年公開。小学生の頃に観たような覚えがある。1位とは全く毛色が違って洋画のミュージカルだ。ミュージカル嫌いの私にしては我ながら意外なのだが、この作品は完全ミュージカル、全台詞が歌なので逆に得心がいく。「ウエストサイド物語」みたいに突然わざとらしく踊りだしたり、シリアスな会話をしているかと思ったら唐突に歌いだすという不自然な構成はない。
もっとも有名な歌は、主人公の青年が徴兵され紛争の地アルジェリアへ出征することになり、恋人と最後の逢瀬をして翌朝駅のホームで別れる場面だ。これは懐かしの映画音楽の類でよく紹介される。引き裂かれる若い男女の切なさがよく出ていた。
ヒロインのカトリーヌ・ドヌーブは当時10代後半、私は眉毛が太くて長い黒髪の美女が好きなのだが、カトリーヌの横顔は素直に美しいと思った。
カトリーヌの歌声は可愛らしくて、ときおり大人の抑揚が出て10代の魅力だな、と最近まで思い込んでいたが、実は出演者たちは歌の素人ゆえ全員吹替だったらしい。カトリーヌの歌声はダニエル・リカーリ氏が務めた。
3位 「メリー・ポピンズ」
1964年公開。デズニー嫌いの私だが、これはまだアメリカ資本主義の悪行に対する知識が無かった小学生の頃に観たので、素直に楽しくて面白い映画だと思った。なにより田舎の私から見ると登場人物たちが豊かで御洒落に思えた。
子供心に気に入っている場面は、主人公メリーの友人で煙突掃除屋のバートが垢抜けした身なりの良い男の子と女の子を連れて楽しそうに歌いながら歩く場面である。歌のタイトルは有名な「Chim Chim Cher-ee」。
4位 「レット・イット・ビー」
1970年公開。ビートルズ主演映画。ビートルズが解散へ向かっていく様を記録した映画、ポールがやたら張り切っている姿が不愉快だったが、今にして思えば皆の心を引き留めようと必死だったのだろう。
ビートルズの映画といえば、「ア・ハード・デイズ・ナイト」「ヘルプ」「イエローサブマリン」「マジカルミステリーツアー」など明るい作品があるのだが、これらは朗らかに演技している「偽りのビートルズ」。ところがこの映画はビートルズ晩期のギスギスした素のママが出ている貴重映像だ。
ポールがやたら甲高く腹に力を入れて歌っているのが印象的だ。まるで「俺はまだやるぞ! ビートルズを続けるんじゃ!」とでも言いたそうな。
5位 「サウンド・オブ・ミュージック」
1964年公開。この作品は12・3歳の頃に観たと思う。「ドレミの歌」など保育園時代から小学校低学年にかけて覚えた馴染みの歌を英語で歌うので驚きだった。
「これって、日本の歌や無かったんや。もともとヨーロッパの歌やったんや」
6位 「マイ・フェア・レディ」
1964年公開。映画は大人になってから観たが、主人公イライザが就寝する時に興奮がなかなか冷めず踊ろうとする場面で歌う「I Could Have Danced All Night」は小学生の頃からよく聞いていた。ラジオ番組でミュージカル音楽特集をやっていて、何故かテープに録音していたのだ。
私はオードリーの追悼番組で紹介されるまで、本作はオードリー自身が歌っているものと思い込んでいた。
7位 「モスラ」
1961年公開。特撮ファンなら外せない怪獣映画である。特に「音楽が絡む怪獣映画」という括りならば1位ではないか。当時の日本歌謡界に君臨する双子姉妹のデュオ「ザ・ピーナッツ」がモスラが生息する島で、モスラを神として祀る巫女「小美人」を演じた。
2人が揃って「やってみましょう」と言うなり歌いだす。「モスラーや~」は有名。
90年代になってモスラが何十年ぶりかに映画界に登場した時、私はてっきりウインクが「小美人」になると期待したが、制作者側は新人起用にこだわったようだ。
8位 「グリース」
1978年公開。高校が舞台の学園ラブストーリーミュージカル。しかし学園モノなのに授業風景は皆無、毎日が学園祭のような世界である。ヒロインに歌手として大成したオリビア・ニュートンジョン氏が扮する。主役に当時24歳の髭剃りあとが青々のジョン・トラボルタ氏が高校生というのも難があるのに30歳のオリビアが高校生というのは、鑑賞当時中学生だった私には失礼ながら若奥さんが無理して若作りしているようにしか見えなかった。
しかし楽曲は楽しいものばかりで心が明るくなる。使用された歌の幾つかは全米や全英でヒット曲になった。
9位 「サタデー・ナイト・フィーバー」
1977年公開。ジョン・トラボルタ氏が主演しているせいか、私の中では「グリース」と姉妹編のような感覚がある。が、内容は毎日が学園祭のノー天気な青春ラブストーリーの「グリース」とは違い、低所得のスパニッシュ系アメリカ人が抱える問題も背景にしている、けっこう社会派色がある。
ビージーズのダンスミュージックとともに物語がスタート、全編に渡ってビージーズの独特の歌い方とトラボルタのダンスが輝いている。本作は映画だが、ミュージカルとして舞台化されている。
10位 「ザナドゥ」
1980年公開。オリビア・ニュートンジョン主演のファンタジー・ミュージカル映画。オリビアがギリシア神話の音楽の神様ミューズに扮する。当時引退状態だったジーン・ケリー氏がすっかり肥え太った老人になっていたが、若いころと変わらぬ軽やかなタップダンスを披露する。
オリビアが歌った「ザナドゥ」は全米1位を記録するが、映画のほうは酷評された。私も映画というよりはオリビアのミュージック・ビデオを大袈裟にしたように見えたが、嫌いではない。特にオリビアの腋みせノースリーブの華奢な姿にはときめいた。
因みに本作はブロードウェイのミュージカルとして舞台化されるが、こちらの方は絶賛だったようである。
私はミュージカルは嫌いだと公言しているが、あくまで嫌いであって観ないのではない。この点は誤解なきように願いたい。
こうして音楽映画ベストテンを並べてみると、小中学生の頃に観た映画が殆どだ。音楽を主体にした映画というのは、やはり子供の頃に見るに限るのかもしれない。大人になってからもミュージカルは観ているのだが頭に残らない。
私の中で「ミュージカル」は「マクロス」で終わった。



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コメント
こんばんは!
「熱狂!土曜の夜」は意外に社会派でしょう。
「サタデー・ナイト・フィーバー」は意外に社会派でしょう。スパニッシュ系の貧困問題や女性解放など、アメリカが抱える社会問題がけっこう前面に出ています。
「サタデー・ナイト・・」から社会派色を徹底的に消したのが「グリース」。ラストのヒロインの変身は、当時中学生の私の目には少し痛々しく見えた者でした。真面目なおかっぱ女子高生が突っ張り姐さんにイメチェンする場面なのに、オバサンが無理して若作りしているようにしか見えないのです。
しかし、いまはナイスボディ!の萌えです。現在のオリビアはけっこう太ってますから。
> 恥ずかしながら半分しか観ていません(笑)
>
> でもトラヴォルタの『グリース』と『サタデー・ナイト・フィーバー』は好きですよ!
> 特に『サタデー・ナイト・フィーバー』を初めて観たときは、
> てっきり能天気に踊り狂うバカ映画だと思っておりましたので、
> 根底にある暗い通過儀礼ともいえる物語に打ちのめされたものでした。
> 正直とっても痛い映画でしたよね。
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でもトラヴォルタの『グリース』と『サタデー・ナイト・フィーバー』は好きですよ!
特に『サタデー・ナイト・フィーバー』を初めて観たときは、
てっきり能天気に踊り狂うバカ映画だと思っておりましたので、
根底にある暗い通過儀礼ともいえる物語に打ちのめされたものでした。
正直とっても痛い映画でしたよね。