洋画の7年ぶりシェア逆転はあるか?
一方で依然厳しい洋画不況の内実 今年は洋画復活の年になるのだろうか。夏にヒットが集中し、2016年の正月興行でも、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『007 スペクター』といった強力作品が揃い、洋画に久しぶりにスポットが当たっているのである。今年の映画興行では、『ジュラシック・ワールド』が最終興収93億円前後と推測され、最大ヒット作品となる。2014年の『アナと雪の女王』(255億円)に次いで、2年連続で洋画がトップ獲得だ。近年、邦画に押されっぱなしだった洋画は、確かにがんばってはいる。(オリコン)【雑感】洋画不況というが、その前は邦画暗黒時代が長く続いた。山があれば谷もある。
ただ、やはり懸念するのは洋画はリメイクがあまりに多過ぎる事だ。またリメイクか、また邦画や東アジアからの借用か、といった作品が目立つ。
洋画にはネタは無いのか、ネタは尽きたのか、と思いたくなるが、実はそうでもないようだ。相変わらずB級はそれなりに面白い物もある。では何故メジャーのハリウッド映画にはリメイクや使い古されたシリーズ物ばかりが目立つのか?
どうもスポンサーの意向が絡んでいるようだ。これは私がなぜB級映画が好きなのかにも通ずる背景がある。
あるていど売れる事が確実な題材でないとスポンサーは銭をださない状況があるようだ。また人件費などの高騰でメジャークラスの製作費は私が高校生だった80年代初頭よりも数倍に跳ね上がっている話を聞いた事がある。そのうえ劇場公開予定日(即ち納期)を保障するための保険会社みたいなものが存在するらしい。
こうなってくるとメジャー映画は確実に売れる内容の映画しかつくれなくなる。思い切った内容や技法が使いづらくなる。
かくして一定の固定客が見込める過去に大ヒットを飛ばしたシリーズ物に依存するようになる。 ハリウッドのメジャー映画とは規模は桁違いに小さくハリウッドには無い事情があるものの、日本も似たような状況にある。大手芸能プロのアイドル俳優出演に大ヒットTVドラマや漫画の実写映画化、そんな作品は俳優のイメージと観客動員数を考慮して奇抜な物語や技法は使いづらい。シネコンで上映される邦画は、私の価値観ではあまり面白いと感じる事はできないのだ。
だから私はB級映画や深夜アニメやポルノ・AVが面白いと思う時がしばしばある。 こういった論を並べると、「晴雨堂は商業主義を否定している」などと脊髄反射の短兵急勘違いをする輩が現れて私をイラつかせる。
これも何度か当ブログでも述べてきたが、私は一言も商業主義を否定した事は無い。何でも過ぎたるは及ばざるがごとしで、商業主義に目が眩み過ぎると銭を払う観客の気持ちを忘れてしまい、市場調査のデータから確実に売れる内容に引きこもってしまうようになる。そうなるとジワジワ観客から飽きられていき、ときおり駄作の烙印を捺されて大コケする。あるいは業界そのものが縮こまっていく。
逆に藝術に走り過ぎると観客がついてゆけない。黒澤明監督や市川崑監督のような巨匠になれば、信奉者やファンによって採算がとれるくらいの巨大な市場が形成される。黒澤ブランドや市川ブランドだけで最低限の興行収入が確保できる。ちょうど最下位位になっても文句を言いながら観戦してくれる阪神ファンに支えられたタイガースみたいなものだ。
しかしそこまでの市場が形成されていなかったら、メジャー映画の現場では好き勝手はできない。これは映画監督に限らず漫画家や小説家などにも言えることだが、取り分け映画は藝術のゼネコンなので投下資本が大きく裾野が広いので、資本の論理が左右されやすい。
要はバランスなのだ。バランスを見極めるのは難しいが、少なくともステレオタイプなモノの見方で短兵急に商業を否定したり藝術を否定する事はまかりならん。
これは映画に限ったことではない。会社経営しかり、国家百年の計にも言える事である。バランスが崩れば必ず弊害がジワジワ首を絞めていき自らの命を奪ってしまうのだ。
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