有隣文化会館に行ってきた。
有隣文化会館、正面から撮影。【雑感】少し長い前置きを言う。
かつて町興し村興しといえば、公共事業や大企業の生産拠点の誘致や新たな産業を興すといった策が用いられたが、経済が低迷している状況ではおいそれと使える手ではない。
近年注目されているのは、地方の素の資産を活かして映画撮影を誘致する。成功すれば「二十四の瞳」のように小豆島を観光地化する事ができ、島の経済を長く支えてくれる。新しい産業や公共事業を展開する事を思えば、映画に手を貸すことは安上がりだ。
人が集う仕掛けに限って言えば、方法論は産業や事業を立ち上げるだけではない事が映画誘致でも明らかだ。産業や事業のような人の定着性は期待できないが、集めるだけならイベントや文化発信は銭の無い人間でも手が届く手段なのである。土地の宣伝に直結し、地域の活性化につながる。地域が活性化すれば集まった人に定着性が生まれる。
こないだ参加した「まちライブラリー」のシンポでは、図書館が地域コミュニティの拠点として有用である点、零細書店なども地域コミュニティとしての要素を取り入れなければ生き残りをはかれない点が指摘された。
単に本を買ったり借りたりする場ではなく、本を通じて人と人との輪を広げる。コミュニケーションのアイテムとして書籍を活用、そこに茶菓があれば、本を契機に講演会や勉強会などのイベントもやってみれば・・・。
このような発想で考えていくと、こじんまりとした温かみのある施設に書店と喫茶と画廊と映画館などが集えば、もっと集まりやすい楽しい空間ができるのではないか、そう考えていたところに
有隣文化会館の存在を知った。
看板の下にチラリと見えるハートランドのロゴ。
それでは本題に入ろう。
京阪電車清水五条駅下車、五条通(国道一号線)沿いに鴨川を渡り麩屋町通に入って少し歩くと、築半世紀以上は経っていると思われる古い形式の倉庫か店屋のような建物がある。周辺には印刷屋や建具製作所などがあるので、元は町工場兼倉庫だったかもしれない。
そこに、1階右側に「鈴鳴」というカフェレスト、2階は「ギャラリーメイン」という写真画廊とルーメンギャラリーというミニシアター(動画ギャラリー?)が店子として入っている。私にとっては理想的な施設だ。
近年、町屋や古い家屋をカフェや雑貨店にリニューアルするのが盛んだ。大阪では空堀界隈や梅田の裏手の中崎町などが有名だが、京都ならばそんな物件は豊富にあるだろう。
以前、まちライブラリーのシンポジウムでニーズがある立地条件が「やや寂れた通り」らしい。この麩屋町通の五条界隈は京都市のど真ん中で、北へ十数分も歩けば京都で最も賑やかな寺町や河原町があるが、ここは閑静な住宅街と繁華街の緩衝地帯で、まちライブラリーの立地条件に適っている。それは同時に画廊や喫茶店にとっても期待できる場所だ。同様の施設を郷里に建てる場合、やはり高知市内でないと厳しいかもしれぬ。
前からこんな物件を観てみたかったのだが、交通費と時間がもったいなくて躊躇していた。ところが、私が応援するアイドルグループ「ノーメイクス」の一人がモデルとして関わっている写真展が開かれるというので行かぬ訳にはいかない。
到着したのは昼過ぎだったので、1階のカフェで飯を食う事にした。目に留まったのは、上記写真では判りづらいが1階中央に四角いハートランドの旗指物がある。当ブログの晩御飯記事でしばしば登場するハートランドだ。となれば、ここの店主はきっと食文化にこだわりがある方かもしれない。(余談1)
店の内装はシンプルかつナチュラルで、厨房は狭そうだったが客席はゆったりしてる。オープンして間がなさそうだ。女性店主にキーマカレーを注文。辛さは控えめだが香辛料の芳香は爽やかで意外にボリュームがあり、大きな獅子唐?が印象に残った。

店のつくりは何だか「三丁目の夕日」の鈴木オートの店舗のような雰囲気だ。やや急な階段の手前には写真展の看板がかけられている。
階段を上って2階の前部にミニシアターがあるが残念ながら今日は閉まっていた。店番をしているスタッフの話によれば明日開演するらしい。奥にギャラリーがあり
天津優貴氏の作品が展示されている。

スタッフの話によれば、この一人の若い女性を撮った写真の連作を展示する空間全体が一つの作品らしい。スタッフの許可を得て撮影、上記写真は裏から見た図。
印画紙で焼き付け現像する時代しか知らないので、写真と言われると奇妙な気持ちになる。印画紙は分厚いので透けないが、これはプリンターで薄い紙に印刷したものだから透ける。印刷会社には全紙判プリンターがあるから、そういった業務用プリンターで制作したのだろうか?
何か薬品のようなものを塗布しており、それが光の具合に変化を与えている。スタッフの話によると蝋を使っているそうだ。なるほど、パラフィン紙状態になるから透明感が出るのか。

個人的には裏側から見たほうが好きだが、前から見るとカラー写真と白黒写真の2種類組写真であることがわかる。モデルはビニール傘をもって微妙に表情やポーズを変えているが、基本的には大きな変化はつけていない。
この作品を観ていると、バシュラールの「時間」みたいだ。あるいはショーン・キャメル氏が言ってた多元宇宙なのか? 作者の天津氏がどこまで意図しているのか解らないが、「時間」の連続を意識した組写真なのだろうか?
因みにモデルは映画監督の井口昇氏がプロデュースしているアイドルグループ「ノーメイクス」のメンバー
洪潤梨氏。彼女は大阪出身なので応援している。
入口のブースには
洪潤梨氏の写真をプリントしたTシャツが販売、少し驚いたのは作者の
天津優貴氏も自分の顔をプリントしたTシャツを販売していた。しかも潤梨殿と酷似した顔立ち。並べて姉妹と言われたら信じてしまいそう。女の子だったのだ。
失礼ながら、今まで
天津優貴を「あまつ まさたか」と読んでいた。思い込みとは恐ろしいものだ。
天津優貴写真展は11月29日(日)まで開催。詳細は下記のHPまで。http://www.gallerymain.com/(余談1)キリンビールが出している麦芽100%プレミアムビール。本来はキリンが経営するブルーパブ用の特別醸造ビールのようだ。酒税法が改正されて小さなブルワリーによる地ビールが誕生するまでは、麦芽100%の本格ビールはサッポロのヱビスとキリンのハートランドぐらいだった。
このハートランドは今でも缶ビールでは出さず、樽生か瓶で流通している。当ブログでも何度か紹介したが、日本では珍しい緑の瓶に詰められ品揃いの良い酒屋かこだわりの飲食店にしかお目にかからない。
下記写真は専用ジョッキに注がれたハートランド。

サントリーのプレミアムモルツが登場するまでは、ホップの芳香はこのハートランドが日本のビールで群を抜いていたように思う。
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