ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「炎の英雄シャープ」 ストレス解消活劇〔89〕 

「ロード・オブ・ザ・リング」の
ボロミアが若き日に主演した人気ドラマ。




【原題】Sharpe's Rifles(1話ごとにタイトルが違う) 
【公開年】1993年~?  【制作国】英吉利  【時間】  
【監督】トム・クレッグ
【制作】
【原作】バーナード・コーンウェル
【音楽】ドミニク・マルドウニー ジョン・タムズ
【脚本】ヨーガン・ハリス   
【言語】イングランド語 一部フランス語 スペイン語
【出演】ショーン・ビーン(リチャード・シャープ)  ダラフ・オマリー(パトリック・ハーパー)  ジョン・タムズ(ハグマン)  ジェイソン・サルキー(ハリス)  リンドン・デイビス(パーキンソン)  マイケル・ミヤーズ(クーパー)  タング: ポール(トラッセ)  ヒュー・フレイザー/デビッド・スルートン(ウエリントン将軍)

【成分】勇敢 スペクタクル スペイン イギリス フランス ナポレオン戦争 1809年~1815年  

【特徴】「ロード・オブ・ザ・リング」で、リーダー格のアラゴルンや主人公フロドに対立する事もある髭面のややくたびれた剣士を覚えている人も多いだろう。旅の仲間の一人のボロミア役で有名なショーン・ビーン氏が若き頃に主演したシリーズドラマが本作である。
 本作主演時はまだ30代前半なので頬や顎のラインがシャープな青年だ。

 舞台は主にナポレオン戦争時のスペイン。たまたま将軍の苦境を救った事から軍曹から一気に中尉に昇進、貴族出身の将校たちからの屈辱に悩ませられながらも武功をあげ続ける熱血漢の立身出世物語、「のらくろ」みたいなドラマである。ドラマの最終話では中佐になっていたが、やっている事は軍曹時代と変わりはない。

 原作者は主に歴史物語や冒険小説が得意とする人気小説家。ドラマの内容も「コンバット!」をナポレオン時代にして、レギュラー出演者の特徴を薄めて反戦色を消したような感じだ。
 銃器マニアにとっては、当時使用されていたベイカー銃(マスケット銃よりも命中精度がある)が登場し、1分に3発発射する芸を魅せるところがグッドだ。

【効能】主人公の頑健さに感動。「ロード・オブ・ザ・リング」のファンにはボロミアが髭の無い青年で登場して感激。貴族出身の上官たちから使い倒される平民出の主人公に格差社会の自分自身を投影。

【副作用】退屈な鉄砲とチャンバラの冒険活劇。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
イギリスでは 
大ヒット冒険小説の実写ドラマ化


 イギリスでは大ヒット冒険小説が原作であり、実写ドラマ化もおそらく不評ではなく続編ドラマが最近まで制作されているところから好評なのだろう。
 主演はショーン・ビーン氏。「ロード・オブ・ザ・リング」で、旅の仲間のリーダー格アラゴルンや主人公フロドに何かにつけて異論を呈し反抗的姿勢を隠そうとしない剣士がいたのを覚えている者は多いと思う。名前はボロミアでややくたびれ感があり陰険そうな目つきの中年剣士だ。ショーン・ビーン氏が演じた役で今やこのボロミアが世界的に有名だろう。
 だがイギリスでは後に本シリーズとは別にナポレオン戦争後にインドで活躍するシャープの後日談が制作されたりと、ショーン・ビーン氏のシャープはアタリ役のようだ。

 本作第一話出演時でショーン・ビーン氏はまだ30代前半、ボロミア役より頬や顎のラインがシャープで引き締まっている。
 舞台は主にナポレオン戦争時のスペイン。フランス皇帝ナポレオンはスペインに侵攻して占領、スペイン王家を追放して実兄を王に任じて支配した。が、スペインの特殊事情でフランス軍は苦戦、それを見たイギリス軍は後にナポレオンに勝ったウエリントン公として名高くなるウェルズリー少将を司令官にスペインへ上陸、という背景から物語が進む。

 主人公はスラム街出身の青年リチャード・シャープ、ドラマの第一話ではライフル部隊の軍曹として従軍、たまたま迂闊にも最前線を呑気に馬で散歩していたウェルズリー将軍がフランス軍の斥候に追われている。そこを身を挺して助けた武功でいきなり中尉に昇進してしまう。
 将校は貴族出身者しかいない時代に、平民の最下層出身のシャープは将校たちから屈辱的な仕打ちをよく受けるが、次々と華々しい武功を上げて昇進する。ドラマ最終話では中佐に昇進した。
 しかしナポレオンの軍隊を破ってウエリントン公へと出世する将軍にとっては、命の恩人の平民は面倒な仕事を任せられる便利屋のような存在、次々と厄介な仕事を押し付けられる。シャープの階級が上がり、清潔なシャツとカラーが似合う貴族出の尉官たちを呼びつけて命じたり、偉い将軍や貴族らとお目見えできるようになっていくが、やっている事はいつも最前線で血と汗と泥と硝煙に塗れてひたすら奮闘するばかり、その姿は軍曹時代も中佐時代も全く変わっていない。さしずめ「スターシップ・トゥルーパーズ」の主人公ジョニー・リコとほぼ同じ役どころだ。体力自慢だけが取柄。

 単純な冒険活劇ではあるが時代考証には沿っている。現代の軍隊では考えられない不公平と無法がまかり通っている200年前の軍隊の様子が表現されている。
 人身売買の横行、極めて安い賃金のため略奪に走る兵卒たちとそれを黙認する将校などが冒険世界を盛り上げるためのスパイスとして適度に添加されている。
 現実社会にはシャープのように一兵卒から中佐に昇進など皆無だったろう。日本や韓国でいえば女剣士が活躍する時代劇みたいなものだし、もし原作の執筆時期や実写ドラマ化の時期が21世紀に入ってからだったら女性が主人公になったかもしれない。(余談1)

 鉄砲の命中精度が低く、赤や青や緑などの原色華やかな軍服姿で隊列を組んで武威を示しながら進軍する、戦友に弾丸が命中して倒れても隊列を乱すことなく進軍して、指揮官の号令で銃列を組んで斉射したり突撃したりと原始的な戦いが繰り広げられるのも迫力ある描写だ。1エピソード2時間枠なので手厚い予算がついているとはいえ銭をかけている。
 ここで登場する銃は「ライフル」に分類されるベイカー銃だ。当時の銃の主流はマスケット銃と呼ばれ、操作方法は火縄銃と変わりはない。火縄が百円ライターと同じ原理のフリントロックに変わっただけだ。ベイカー銃も操作は同じだが命中精度が高く銃身がマスケットより短く耐久性があるのが利点だ。この銃の特性を活かして、シャープ率いる部隊は先込め銃でありながら1分間に3発発射する芸当で敵を圧倒する。(余談2)

 チャンバラと銃撃戦の両方を楽しみたい時代劇ファンには面白い冒険活劇だ。
 
(余談1)とはいえ、シャープの周りには複数名のヒロインたちが活躍する。ドラマではシャープの最初の妻となる女性はスペインでゲリラ活動を展開する女首領のような人間で騎兵を率いて銃を撃つ気性の激しい女性だ。
 また、前線で戦うことしか知らない色男シャープに策を弄して苦境を助ける貴婦人たちの活躍もある。未だ純情で直向きな良妻賢母型ヒロインが多い日本の時代劇と違って興味深い。
 特に驚いたのは、シリーズ中盤でシャープの妻になる女性、一見すると純情で可愛らしく当初はイメージ通りの妻になるのだが、戦に明け暮れるシャープに少しずつ心が離れていき、やがて貴族出身の将校と浮気してしまう。しかも単なる浮気ではなく、シャープの敵に豹変して破滅するよう策を弄するのである。悪魔のような表情に間男もタジタジ。
 「大岡越前」に例えれば越前の妻雪絵が榊原伊織と姦通して越前暗殺をたくらむような驚愕の展開だ。

 レギュラーの登場人物は「コンバット!」のように、主人公シャープの他、副官役のハーパー軍曹と射撃の名手が3名から4名。全員が黒に近い深緑の特注軍服を着ており、赤いジャケットの正規軍の中でよく目立つ。
 「コンバット!」ではドイツ軍が悪者でドイツ語が悪の帝国が使う言語として登場するが、ここでは当然のことながらフランス軍が悪者でフランス語が悪の言語になる。

(余談2)実は日本の鉄砲足軽は火縄銃でも予め火薬と弾丸をセットした早合を用いることで1分間に3発程度は発射できた。仮にシャープの部隊と大阪城を守る真田幸村の部隊で銃撃戦になったら、たぶん幸村の方が勝つのではないか。


 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
148位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
70位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク