ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「手間を増やす政策は国民の時間を、国民の命を無駄に削るだけだ」メンタリスト DaiGo氏の発言に賛同する。 近頃の現象[一二一九] 

手間を増やす政策は国民の時間を、
国民の命を無駄に削るだけだ。


 不正を防ぐ最良の方法は、制度やルールをシンプルにすることだ。制度を複雑にして、民衆にわからないように煙に巻くことで、制度を作った一部の人間が得する制度はとっととやめるべき。手間を増やす政策は国民の時間を、国民の命を無駄に削るだけだ。(メンタリスト DaiGo

【雑感】上記はTwitter上で見かけた発言である。人の心理と行動を読む芸でブレイクしたメンタリストDaiGo氏の言だ。

 これは政策に限らず様々な業種にも言える事だ。私は製造業畑にいたので作業手順や作業環境の改善をやらされた。基本はまさに作業内容のシンプル化と無駄の排除である。何故なら、煩雑な作業であると作業時間が長くなるうえにミス誘発のリスクが高くなり、新人教育にも時間を費やしてしまう。よって効率が悪くなり不良品も出やすくなる、無駄が多くなるという事だ。
 これもどの職種にもいえる事だが、何か画期的な商品を作り出して一発ホームランで儲けることなんぞ日常では滅多に無い。かつて大リーグで毎年200本以上ヒットを打っていたイチロー選手でさえ10回の打席のうち3回しかヒットを打てていないのだ。
 では何で利益を上げるのか、無駄を無くす事に尽きる。笊から儲けがこぼれていく状態を是正するために笊に目張りをする作業が日本のお家芸である「改善」であり「QC活動」だ。

 作業手順をシンプルにすれば動作が減る分ミスを起こす確率も減る。手順が少なくなればその分の作業時間も短縮できる。その結果、不良品発生も少なくなり生産時間の短縮によって生産量も増え、納期遅れも少なくなってユーザーとの信頼関係も強くなり、会社の利益となって返ってくる。

 ところが、シャバでは大常識であるはずのシンプル化が何故か無視されている業界がある。それは、綺麗事が先行しやすい業種に多いのだ。
 例えば「医は仁術」と言われる医療業界。ある病院で看護師が生理食塩水を患者に投与するところ間違えて劇薬を入れた事件が起こった。当初の報道では看護師の人為的ミスだけを取り上げ、コメンテーターたちは「医は仁術」とでも言いたげに精神論を並べていたのを不快な印象で憶えている。しかし、後の報道で明らかになったのは、生理食塩水と劇薬を入れる容器が同じ大きさ同じ色、置き場所も同じ棚である事、もちろん大きくラベルで表示はしているだろうが、製造業の現場では明らかに「ミスを誘発させる危険な状態」なのである。
 また製造業では当たり前に行われる「ヒヤリハット調査」(余談1)を医療の業界では行わないどころか、行おうとした医師には批判を浴びせるといった事がドキュメント番組で紹介された。

 「米百票」の教育では大昔から問題になっている知識重視の英語教育が典型例だ。日本人のほぼ全員が中学高校の6年間英語を学ぶのに英語が話せるのは少数、しかも学校教育の第一外国語として必須になっているにも関わらず何故か駅前に民間の英語塾が乱立している。本来なら中学の授業で大多数の日本人は英会話ができる状態になっていなければならないはずなのに、この光景はおそらく海外では信じられないだろう。
 多くの人間が英語嫌いになる元凶が中学の英語教育と言われてきた。まだ英会話できない状態から比較級云々、ビー動詞云々の文法用語の話を聞かねばならないのだ。私が中学生時代をおくった70年代後半で既に問題が指摘され現場教師が会話重視に努めてはいたがポーズどまりだった。教師は当時の文部省指導要綱から逸脱はできない。
 80年代では外人タレントのケント・デリカット氏が文部省へ直接意見したり、大橋巨泉氏の冠番組「巨泉のこんなモノいらない!?」でも問題が指摘されたがあまり変わらなかったようだ。ある外国人の知人は「伝統芸能や職人の世界では身体で憶えろというのに、なぜ英語はそれをしないのか?」という趣旨の疑問を呈していた。

 私の英語嫌いが若干やわらいだのは大学での英語授業だった。担当教授が「英語は赤ちゃん言葉と同じ。日本語で『私は学校へ行きました』というところ幼児は『ぼく行ったよ学校に』て言うでしょ」と言われた時、頭から霧が晴れた。
 製造業の感覚では明らかに英語教育は無駄だらけだ。日本人のほぼ全員が一生涯の中で学習能力が高い貴重な思春期の6年間で学ぶのに英語での日常会話すらできない、なので会話したい人は学校教育とは別に月謝を支払って駅前の英語塾へ通う。二度手間は無駄と効率の悪さの最たるものだ。既に一部の富裕層は学校教育を無駄と見なし、わざわざ日本の教育システムから外れてアメリカンスクールに入学する。
 あからさまな無駄が発生しているにもかかわらず半世紀単位で是正できていない。これがもし製造業であれば、明々白々の無駄を半世紀以上も放置してしまうなどあり得ないのだ。物理的に経営を圧迫するため、官業でもない限りは倒産のリスクを背負う事になる。

 そして政策の問題。「ローマ人の物語」の塩野七生氏は全盛期ローマを支えた要因の一つにシンプルな税制を挙げた。製造業の現場と同じく作業手順が煩雑であればあるほどミスが誘発しやすくなり全体の把握もやりづらくなる。
 製造業の現場でもあるが、作業手順がシンプルに確立していなかったら、あからさまな人為的ミスや故意の不正も隠蔽しやすくなる。何故なら煩雑でいい加減だと問題が発生した原因の特定もできなくなるからだ。手順が問題を誘発させているのか? 工作機械に問題があるのか? あるいは作業者の練度不足なのか? はたまた作業者による虚偽なのか? 
 これを政策に当てはめると、納税者や主権者側だけでなく行政側でさえも税制や政策などが掌握しづらくなり、不正が入り込む余地が大きくなる。
 綺麗事が先行する業界ほど、美しい理念に気をとられてシンプル化や効率化を蔑ろにする傾向が強く、かえって不正が入り込みやすくなる。

(余談1)製造業にいる者ならおそらくほぼ全員聞いた事がある調査だろう。作業中に危うく事故を起こしかけてヒヤリとしたり、ミスしそうになってハッとした事を調査し、ヒヤリハットが多く発生した作業工程はミスが誘発しやすい危険個所と見なして改善する。


 
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[ 2015/12/15 12:30 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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