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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

ドイツに行ってきた!(1) 恐怖のフライト 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二四三]

恐怖のフライト12時間!

飛行機の窓。
KLМオランダ航空の窓から見た景色。
離陸からの時間で推定すると、ロシアの沿海州あたりか?

【雑感】私は飛行機に乗るのが大嫌いである。まず高い所が嫌いだ。加えて離陸時と着陸時の振動とフワリとした不快感、窓から見える地表と飛行機客席の角度の相違、これらはジェットコースターよりも恐怖を与える。

 考え方にもよるだろうが、墜落すると生還の望みは絶望なので一思いに黄泉の客になれるが、沈没では元水泳選手の私は多少の生還率はあるかもしれないがジワジワ魚の餌になるので苦しみが長い。究極の選択だが私はやはり船が良い。
 だがヨーロッパに行くとなると、船旅では恐ろしく時間と金銭がかかる。資産家の暇を持て余した身分でないと難しい。ヨーロッパ行きに飛行機は無くてはならない。通常のフェリーでの航行速力は24ノット(時速50キロ弱)程度、国際線旅客機であれば巡航速度時速1000キロ前後だ、僅か半日で着く。

 私はこれまで3度飛行機に乗った。最初の2回は高校生の頃だった。当時伊丹空港から出ていた国際線で中国上海までの2時間、行きと帰りに乗った。伊丹空港では離陸して急旋回をしたと思うので、窓から垂直の眼下に地面が見えているような錯覚を起こして恐怖に固まった。
 ただ、当時はお昼を挟んでのフライトだったので機内食が出た。飛行機で楽しみといえば、機内食だけである。
 ところが3回目は30を過ぎた時に急用で帰省する必要がありやむを得ず関空から飛行機を使った。高知までのフライトなのでたった半時間、これは怖いだけでなく唯一の楽しみである機内食も出なかった。飴玉1つの支給だけ、しかし飴玉を配るCAは容姿端麗、半袖から伸びる細くて白い腕を拝めると幾分凍てついた心に潤いを与えてくれた。

 さて、今回は片道12時間のフライトである。それも何かと物騒なニュースが飛び込むヨーロッパである。絶えず何万と地球の表面を飛んでいる航空機の中でテロに遭遇する確率は高額宝くじに当たる確率より低いと言い聞かせても、ただでさえ飛行機嫌いの私には恐怖の体験以外の何ものでもない。

 つまらぬ飛行機嫌いの話よりも、そもそも何故ドイツに行く事になったのかを説明しなければいけなかった。
 姪っ子(本当は従姪なのだがあまり使わない言葉なので便宜上この言葉を充てる)がドイツのケルンに留学したので彼女の姉と父親が様子を見に渡航することになった。連れ合いが太っ腹にもドイツビール好きの私も連れて行ってほしいとプッシュしてくれたのだ。
 おかげで幸運にもバイエルン公のビール純粋令が制定された1516年から500年後にあたる2016年をドイツで迎えビールを飲んで祝える幸運に与ったのである。

 KLМオランダ航空のサービス、私は満足できるものだった。エコノミークラスなので日本の夜間バスよりも窮屈なのだが、各座席には端末画面が設置されていて、映画が観放題だった。しかも驚くなかれ、日本では2016年2月公開予定の「オデッセイ」が機内サービスで上映されていたのだ。

座席のタッチパネル。
各座席に取り付けられているパネル。日本語表示に切り替えられる。
映画鑑賞やゲームもできる。マット・デイモン主演「オデッセイ」があった。しかも日本語吹替。


 全日空などのCAは今でも容姿端麗のイメージが強い。モデルのようなスラリとした体型に長くて白いうなじ、長い黒髪を結い上げて帽子をかぶり、白面の優等生のような美人顔を思い浮かべる人が多い。
 しかしこの機のCAは太い胴回りに二重顎のオバサン体型熟美女ばかりだった。が、愛想が良くて片言の日本語でサービスしてくれる。如何に関空発とはいえ、オランダ航空なのに日本語が飛び交うのは何だか可笑しな気持ちだ。

機内食。
最初の機内食。洋食か和食を選択でき、これは鳥そぼろ御飯、なかなか美味かった。

 この機は大阪からアムステルダムまでの11時間を飛ぶ。機内食は離陸2時間後と着陸2時間前に配られる。飛行機の旅の唯一の楽しみは機内食だけだ。
 オランダ航空の機内食は美味いと思う。食事にはビールやワインのサービスもついていたが、私は烏龍茶にした。私のビール好きを知る姪っ子が「飲まないんですか?」ときく。ドイツで飲みまくるために肝臓を休めておかなければならない。敢えて酒はとらなかった。姪っ子は酒飲みになったのか、赤ワインをとった。
 オランダ航空なので案の定ハイネケンだった。オランダのビールで好きなのはグロールシュなのだが、ハイネケンは薄味すぎてあまり好きではない。ドイツビールを知るまではけっこう美味いビールと思っていたのだが・・。

 ドイツに行ける事を思えば12時間のフライトは大した事ない。とはいえ、やはりエコノミークラスで12時間である。長距離バスのシートよりも窮屈な椅子に座ったままなのだ。いわゆるエコノミー症候群を予防するために水分はこまめにとらなければならないし、便所が空いている時間帯を狙ってこまめに小便を排泄してついでにストレッチなどをやって筋肉をほぐし血流を良くしておかなければならなかった。

 私の斜め前に座っていた小学校低学年くらいの男の子と4歳くらいの女の子は、最初の数時間はウキウキ・ワクワクの感情が後姿からも漂っていて、座席に設置されたパネルで子供用アニメを観たりゲームを楽しんだり、機内食を楽しそうに頬張ってCAに機内食ケースを記念に持ち帰ってもいいかなどを尋ねたりと嬉しそうだった。ところが、8時間を過ぎたあたりから男の子は疲れて元気を無くし女の子は泣き出して、後ろ隣の老夫婦に慰められていた。
 便利な飛行機といえども体力勝負なのである。因みにビジネスクラスは思いっきり足が伸ばせられるので、寝ている間にヨーロッパに着くような感じだ。

 離陸してから6時間が経過する。日本では空が暗くなっているころだが、飛行機の窓も夕方になる。その夕方が延々5時間続くのだ。地球の自転に逆らうように西へ飛行、高度は1万メートル、眼下にはシベリアの荒涼としたツンドラ、もしここで謎のミサイルに被弾して空中分解したら、無傷で空中に放り出されてもあっという間に酸欠で仮死状態になり、凍り付きながら地面に叩きつけられるだろう。そう思うと小便が近くなる。

 無事アムステルダムに着く。姪っ子は慣れた足運びで入国管理局とケルン行き発着所へ歩く。義従兄と私は姪っ子の背中にしがみつく様な感じで付き従う。
 ヨーロッパは暖冬で蒸し暑い。入国管理官の荷物チェックは厳重、マツコ・デラックスのような体格の金髪女性職員が赤ら顔に汗を流しながら入国者たちを調べる。私はなんとか通り抜けられたが、義従兄はセンサーに引っかかり列から外されて身体検査を受けた。
 旅券審査では無愛想な若い白人職員が眼光鋭くパスポートをチェックする。姪っ子が最初にパスポートを見せて義従兄と私を指さして連れである事を説明してくれたおかげでスンナリ通れた。
 サンタの帽子を頭につけてニコニコ歓迎する職員がいる一方で、自動小銃で武装した警官?が二人組みで辺りを警戒する。日本ではまだ対岸の火事であるテロを身近に感じた。若いころの私なら武装警備員の写真なども撮っただろうが、今は冒険する気が失せてしまってカメラを持つ気もなかった。ただ姪っ子からはぐれないよう気を張るのみ。

 アムステルダムからは小型機に乗り換えケルン、飛行時間は1時間程度、なんだか関空から高知へ行くような国内フライト感覚だった。もちろん機内食は出ない。スナックとミネラルウォーターのサービス。

KLMオランダ航空の機窓から観た景色。
アムステルダムからケルンまでの飛行で見た夕焼け。短距離なので高度は飛ばない。
この夕焼けを6時間も見続けた。

 この国内線のような飛行機のCAは、関空から乗った飛行機とは違って若くて背が高くてスレンダーなドイツ系ぽい女性だった。なんとなく話す英語もドイツ語なまりが強い様な感じがした。彼女たちこそ憧れの美人パツキンCAのイメージなのだが、美熟女CAの包容力のある笑顔が懐かしく思えた。

 ケルン空港に着くと荷物が運ばれるので小半時間。スーツケースを受け取るとそのまま外へ。あれ?入国審査は?と思った。ああ、欧州連合になったからオランダからドイツへ飛行しても国内線と同じなのだ。
 空港施設を出ると、ドイツに留学している姪っ子とその彼氏F氏とその御両親H夫妻が笑顔で迎えに来てくれていた。


 
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