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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

ドイツに行ってきた!(7) ドイツ式生活考・質素で余裕のある生活 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二四七]

ドイツの余裕ある生活。

典型的なドイツの住宅。(参考映像)
典型的なドイツの3階建テラスハウス。多くは1階にリビングとダイニング、2階に寝室、 
3階を子供部屋にしているらしい。屋根の形状は北海道に多く見られる鋭角、
雪が屋根に積もらないようにしている。


【雑感】夫妻の自宅は日本でいうところの長屋型のテラスハウスなのだが、日本のような平屋とか2階建てのマッチ箱のような家屋ではなく、三階建て地下1階の大きな家だ。1棟3戸で分割して使っている。日本なら一軒家でも5LDK位が相場だが、H氏の場合は6LDKに地下室と地下納戸がある。

 夫妻の自宅にお世話になって驚いたのは屋内の清潔さ。欧米人は靴を脱ぐ習慣が無いのだが、H氏の家は塵一つ落ちていないので、裸足であるいても足の裏が汚れないのだ。実際に息子のF氏はシャワーを浴びた後はスリッパを履かずに裸足でいた。あくまで靴を脱ぐ習慣が無い欧米なので玄関は日本のように土足エリアと廊下エリアの段差は無いのだが、事実上日本の習慣を持ち込んでも不都合はない。

 清潔さは部屋の隅々にまで行きわたっていた。案内されたゲストルームは3階にあたる屋根裏部屋で元はF氏らの子供部屋だったらしいが大学生になってから家を出たのでゲストルームにしているようだ。天井が斜めになっているだけで広さはベッド二つ置いても余裕のゆったりスペース。
 私は意地糞が悪いので掃除の見落としがあると思われる食器棚(磁器のティーカップが陳列されていた)の屋根の部分やベッドと壁の隙間など重箱の底を突くが如く確認したのだが、埃の類は溜まっていない。まるでホテルの一室のようだった。

 リビングのテレビでH氏お薦めのDVDを鑑賞しているときもテレビやデッキなどの天板などに埃が溜まっていないか注意深く観察してみたが美しい輝き。
 特に驚いたのは台所で、中央に立つとH夫人の両手が届く範囲に物が取れるような小ぢんまりとした広さなのだが、流しに冷蔵庫に食洗器などが機能的に配置されていて、ショールームで展示されているシステムキッチンであるかのように光沢を放っている。まるで生活臭が感じられないのだが、私はH夫人がこのキッチンで朝食・昼食・夕食を作っている姿を目撃している。
 昨年は姪っ子の母親で連れ合いの従姉がこのキッチンに驚愕したそうである。従姉は親類の間でも綺麗好きで有名で清潔かつハイソな台所を誇っているのだが、彼女が驚くほどである。もしH夫人が我家の台所を見たらゴミ置き場と思うかもしれない。
 姪っ子に聞くと、ドイツでは平均的な家らしい。H氏にはコレクター癖があるので物に溢れているが、よその家は何もないシンプルな部屋という。

 日本にもいろんな家庭があるのと同じでドイツでも十人十色、話半分で聞いておくとして、仮に特別な潔癖症であったとしてもなぜここまで徹底した清掃を行えるのか、その理由がほどなく判明した。
 家族写真や絵画が飾られている部屋を眺めていると、奇妙な写真を見つけた。作業着姿のH氏がモップをもって先頭でポーズをとり同じく作業着姿の人たちを引き連れているかのような写真である。姪っ子や彼氏を介して尋ねると、ストライキ中の写真だという。モップを持つ意味も聞いたのだが、残念ながら忘れてしまった。メモにも取っていなかった。
 ドイツでは労働組合の力が強くストはどこの会社でも頻繁にある。公共機関も例外ではなく、ストで唐突に電車が遅れたり運休停止になることは珍しくない。
 H氏は話を続ける。何か不公正不公平な事があると躊躇わずにストを決行する。その結果、私のような低所得労働者が羨む生活水準と定時3時で残業無しの労働環境だ。日本ではストが傍迷惑だと忌み嫌われており、一般労組は企業の補完的組織に成り下がり、組合長は係長から課長へ昇進する待機ポストと化している。

 なるほど。後にH氏が勤めている工場にも案内されたが、自宅から職場まで車で僅か十数分だ。これなら仕事から帰ったら家事にも時間を割けられる。夫婦共稼ぎでもこれだけ時間に余裕があれば二人で家事を分担でき、この潔癖症にも見える清潔な部屋が維持できるというものだ。
 これは決して私のズボラを正当化するつもりは無いのだが、これほどの潔癖状態を保とうとすれば、通常の忙しいさで行うとプライベートな時間は家事だけで潰れてしまう。

森林公園の梟像。
郊外の森林公園にある木彫りの梟像。周辺から散歩や乗馬を楽しむ人たちがやってくる。 
近くには馬や羊の牧場がある。

 H氏は大きな猟犬を飼っており、毎日近くの森林公園へ行ってノンビリ90分程度の散歩をする。日本の都会のワーキングプアには叶わぬ生活だ。暇になればなったで家計が苦しくなる。H夫妻のように3週間程度まとまった休みをとってスペインやイタリアを観光旅行する余裕も無い。せいぜい、一泊二日の小旅行か、数日間の盆休みを利用して帰省する程度だ。

 食卓に家族が揃ってから食事を始める。日本では耳が寂しいのかテレビをつけてしまうが、ドイツではテレビはつけない。食事が終われば、一斉に後片付けをする。興味深いのは水をあまり使わないのだ。姪っ子が留学したての時、事前にドイツでは水を大切に使うと言われていたので、洗顔や食器洗いにはいつもより控えめに水を使ったようだが、それでも「水がもったいない。なんで?」と注意されたそうである。
 後片付けが終わると、家族や隣近所も人も交えてカードゲームやボードゲーム、テレビは映画を見る時ぐらいしかつけない。日本のように四六時中バラエティ番組を流しまくることはない。
 私が滞在中、テレビをつけたのはH氏が参加している合唱団のライブビデオを観たときと、正月カウントダウンの時ぐらいだった。
 ふと思った。私たちは無駄に働かされ、数少ないプライベートの時間も無駄にテレビやコンピューターゲームで浪費させられているのではないのか、と。日本も大昔はドイツのような生活だったのだ。

 視点を街に向けてみれば、ケルン市街地もフランクフルトの中心街も自動販売機の類や24時間営業のコンビニも皆無だ。スーパーは夕方になれば中心街のを除けば閉店する。(余談1)
 こうしてみると、日本の経済界はメルケル首相の脱原発政策を懐疑的に受け取っているのだが、存外達成できるのではないのかと思えてくる。日本なら自動販売機やコンビニにまわすであろう電力分がドイツでは浮いているのだ。

 ふと思った。コンビニも自販機も無い。工場は3時で定時、残業は殆ど無い。ストもよく起こる。それで充実した生活水準。世界有数の経済大国になっている。日本は青息吐息の労働者から労働力を搾り取るだけ搾り取っての「世界第三位」、果たして誇れることなのか? 

(余談1)よく日本のスーパーやコンビニのレジ係は手際が良いとの話を聞くが、少なくともドイツに限っては日本よりも手際が良すぎて支払いに戸惑う。レジカウンターはベルトコンベアになっていて、前の客が精算をしているうちに買った物を入れるトートバックを取り出し、支払う銭を財布から出して用意していないと流れを乱して店員から睨まれる。
 レジ機がバーコード読み取り式ではなくテンキーを打つ旧式でも、60くらいの酒屋の店員が恐ろしい素早さでキーを打ち込む様には驚いた。日本のレジ係のほうがノンビリしている。

 また、姪っ子は「日本と違って店員は愛想無しで偉そう」と言っていたが、私は人民中国時代の態度の悪い傲慢不遜な友諠商店の店員に圧迫接客を受けた事があるので、それに比べるとむしろ普通だった。
 日本は客にへりくだり過ぎる。どこのスーパーや商店に行ってもハロー(こんちは)で始まりチュース(バイバイ)で終わるのだから、店員と客は対等な間柄なのだ。日本ではしばしばクレーマーに土下座を強いられるコンビニ店員がニュースになるが、ドイツでは絶対にありえない。


 
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コメント

ドイツ人

世界の鉄道で時間通り運行されるのは日本とドイツだけ、とも言われます。几帳面で真面目な性格はよく似ていると思います。

今でも日本人はドイツ贔屓が多いです。子供の頃よりナチスドイツ贔屓だった私なんか典型です。

でも、私はドイツには行った事がありません。ロンメル元帥の実家を訪ねてみたいです。

ドイツ人の几帳面さは度を越している。

うろぱす氏へ

 珈琲をいれてくれる時、H夫人は「何杯飲むのか?」と予め聞いてきます。かっちり飲む分しか入れないのです。ウチなら多めに淹れて、余ったら自分が飲むだけですが。

 飯は美味かったですよ。ビールも美味い上に二日酔いになることが無い。私の義従兄は痛風もちでしたが、ドイツのビールで逆に体調が良くなりました。
 むかしNHKドイツ語講座でバイエルンのオクトパーフェストが特集で取り上げられ、道行く人が全員「体調が悪くなったらビールを飲む」と言っていました。

 ぜひ、ドイツを旅行してください。


 それから「帰ってきたヒトラー」の事を聞きましたが、実際に大評判で評価が高いようです。



> 世界の鉄道で時間通り運行されるのは日本とドイツだけ、とも言われます。几帳面で真面目な性格はよく似ていると思います。
>
> 今でも日本人はドイツ贔屓が多いです。子供の頃よりナチスドイツ贔屓だった私なんか典型です。
>
> でも、私はドイツには行った事がありません。ロンメル元帥の実家を訪ねてみたいです。

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