ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

女性アイドル界で定着した「卒業制度」がもたらした変化とは? 近頃の現象[一二三二] 

女性アイドル界から減少する「解散」  
「卒業制度」がもたらした変化とは?


 節分が過ぎ、季節は春へと加速していく。そして、桜の開花とともに学生たちの「卒業」の時期も本格化する。エンタメシーン、なかでも女性アイドルグループに目を向けると、昨年から今年にかけて「卒業」の報が相次いでいる。ファンにとってはショッキングであり、寂しさや悲しみを伴うものだろう。その一方で、「卒業」によって、そのメンバーにもグループにも新たな道が開けてくる。しかしながら、この「卒業」という表現(システム)は、昔から普通に取り上げられていたものではない。1970年代のアイドル、具体的にはキャンディーズやピンク・レディーといったアイドルグループには「卒業」という転機はなかった。区切りの表現に用いられたのは「引退」「解散」だった。(オリコン)

【雑感】オリコンの記事は我が意を得たりといった感じ、というよりわざわざジャーナリストが解説するまでもなく常識だろう。

 AKBの仕掛け人として知られている秋元康氏は80年代半ばにブレイクしたおニャン子クラブの仕掛け人としても知られている(余談1)が、女子学生の放課後のクラブ活動というコンセプトで売っているおニャン子の性格から、メンバーが引退する際に「卒業」という単語を使うようになった。
 但し、まだ「制度化」されていた訳ではなく主要メンバーや看板メンバーが「卒業」していくにつれてファンが減り注目度もなくなってグループ自体も程なく消滅した。

 つんく♂氏はおニャン子のノウハウをベースに「卒業」を制度化したと定説のようにネット上では語られているが、当初はその意図は無かったと私は考えている。というのも初期メンバーについて従来のアイドルグループやロックバンドのように「脱退」と言われていたからだ。多少は漠然とおニャン子を参考にしていたかもしれないが、グループの活動が盛り上がり定着する中で現在の「卒業制度」が確立したのだと思う。
 初期「モーニング娘。」の画期的な部分は現在のAKBにも通じるファンとの距離の近さだ。この辺りはおニャン子のセールス方法も参考にし応用しただろう。そして中心的なメンバーやリーダー格のメンバーを意図的に脱退させ世間に周知する事でグループとファンの士気を活性化させる。
 そして脱退する古参メンバーと入れ替わるように新規メンバーを入れ、これまでサブのポジションだった子を新たにメイン(次の脱退予備軍)にしたメンバーを中心に風通しを良くすることで「モー娘。」のブランドを確立し、状況を見ながら増員もして平均年齢を低くし中高生中心のグループにしていくにつれ、いつしか「脱退」という不景気臭のある名称をやめ、かつておニャン子が行っていた「卒業」という名称を使う。

 「卒業」という名称には学業や技術を修めた訳ではないのに用いるのは間違い、一種の解雇や除名などのマイナスイメージを隠す小賢しい手段、と友人の中には批判する者がいた。しかし私は「卒業」が的を射ていると思う。
 というのも、いきなりソロで俳優や歌手をやるよりも一旦グループに入って切磋琢磨する形なので、彼女たちにとってはグループはプロの芸能人としてのノウハウをアルドルの現場で叩き込める専門学校のようなものだ。「モー娘。」の在籍期間もローティーンからハイティーンにかけて、小学校高学年から高校卒業もしくは二十歳代前半、就学年齢と合致する。

 そして「モー娘。」が確立したシステムを「AKB」がさらに発展させる。モー娘。のリーダーやセンターはつんく♂氏ら仕掛け人の人事権だったのをファンに委ねた。

 これらのシステムは「おニャン子」から「AKB」に至るまでの20年かけて確立したシステム、というのはアイドルが好きな人にとっては定着した常識のようなものだ。
 そこで私は別の視点で論じようと思う。日本のアイドル文化を支えているコアな層は密接にサブカルチャーとも水脈でつながっている。ここでいうサブカルチャーとは特撮やアニメの文化である。

 実はメンバーは入れ替わるがグループはブランド名として残すというシステムは、すでに戦隊モノで地均しされていた。戦隊モノは初代のゴレンジャーから毎年のようにリニューアルされ続けた。人員は5人のグループ、毎年変わる看板名も語尾の「ジャー」は同じ、設定も若干は変更するものの基本ベースは同じだ。変身して登場するときの歌舞伎みたいなゼスチャーと大見得は全編共通。
 かつてウルトラマンや仮面ライダーなど孤高の単独ヒーローがシリーズ化の経過にともない仲間を増やして「ウルトラ兄弟」などのグループを形成していくのだが、本編自体は基本単独ヒーローである。それを最初からグループヒーローにしたのが戦隊モノである。
 この戦隊モノを私の世代以降の日本人は幼少の頃に鑑賞して雛型を刷り込まれてきた。

 90年代に入って「セーラームーン」が登場する。あのアニメは見事に女性アイドル文化と戦隊モノとアニメのヒーロー物の融合といえる。初回は単独ヒロインだったが仲間が一人ずつ増えて女性5人が基本となり、ウラヌスなどのサブキャラも登場させるなどして変化をつけてきた。
 その「セーラームーン」を永代的に続けられるシステムを確立したのが2004年から放送が開始されたアニメ「プリキュラ」で、グループの人員も入れ替わったり増減しながら現在も続いている。

 このようなアニメ特撮文化は日本人の幼少期に刷り込まれる。それが思春期からのアイドル志向にも反映しているのではないかと私は推察するのだ。そしてアニメ特撮文化を享受するようになった私以降の世代も少なからず現代の女性アイドル界はツボにはまっている。

(余談1)本人はおニャン子プロデュースの中心人物であることは否定している。あくまで放送作家・作詞家として番組スタッフに加わっただけらしい。国生さゆり氏も他のスタッフたちと秋元氏は良い意味で同列と証言している。


 
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[ 2016/02/03 12:00 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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