ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

喫煙場面が出てくる映画への「成人指定勧告」、個人的には「表現の自由」への侵害と思っている。 近頃の現象[一二三三] 

喫煙シーンのある映画 
成人指定に」WHOが勧告  
表現の自由」の侵害ではないか?


 世界保健機関(WHO)は2月1日、「喫煙シーンが含まれる映画やドラマは、若者を喫煙に誘導する効果が高い」と指摘する報告書を発表し、「成人向け」に指定する措置をとるよう、各国政府に勧告した。
 WHOは、登場人物や役者の行動に影響されやすい若者が、まねして喫煙を始めるケースが多いと指摘している。また、アメリカでは、新たに喫煙者となった青少年のうち、映画やドラマが直接的なきっかけとなって吸い始めた人の割合が37%にのぼるとの調査結果を紹介している。(弁護士ドットコム)


【雑感】まず、民族や文化も違うので、アメリカでは映画によって喫煙に誘導された人間が37%になるからといって他の民族や国もあてはまるとは限らない。同様の理屈で、北欧などでは性描写規制を緩和したら性犯罪が減ったというデータが出ているにもかかわらず規制を強化している国は我が祖国日本をはじめ沢山ある。
 そんな統計データはあくまでも傾向を表したものであって、参考にはなるが鵜呑みはできない性質のものである。質問の仕方を少し変えるだけで、数値は大きく変わる事もある。

 「登場人物や役者の行動に影響されやすい若者」というのは私も否定はしない。私がウヰスキーに興味を持つようになった発端が、映画「OK牧場の決斗」でカーク・ダグラス氏扮するドク・ホリディがバーのカウンターで咳き込みながら小さなショットグラスのバーボンをあおる場面を観てカッコ良いと思った、小学生の時だった。
 で、たしかに影響されて父親のスコッチウヰスキーをこっそり拝借して実践した事もあった。小学生の頃なので、喉や鼻への刺激を強烈に感じ美味いものとは認識できなかったが、栓を開けると漂う芳香は素晴らしいと感じた。これは父親が良い酒を飲んでいたことに感謝するべきかもしれない。

 もともと郷里高知は日本酒づくりが盛んな国だ。県全体の人口は堺市よりも少ないが、酒蔵は20近くもある。まさに地域ごとに酒蔵があり、地産地消。郷土料理である皿鉢料理を大勢の親戚で囲んで明るく騒ぎながら酒を飲む
 幼少の頃から親戚の集まりで賑やかに楽しく酒を飲む光景を間近に見てきたので酒に悪いイメージは抱いておらず、また私の世代はまだ昔の風習が色濃く残っていたので中学を卒業すると身内の宴会に限っては酒解禁となった。
 時効とはいえ法律的にはよろしくない。ただ、これによって酒を食文化の一つとして捉える事ができたのは私にとって幸運といえる。

 おそらく、酒飲みから罵声を浴びせられたり暴力を振るわれた人は酒に対して悪いイメージしか抱けず、アメリカの悪法として名高い禁酒法成立のきっかけをつくった鉞(まさかり)キャリーのように規制や排斥を叫び続けるようになるかもしれない。(余談1)
 現に私は煙草には悪いイメージしか抱けない。幼少の頃に肺炎で死にかけてからは10歳ころまで喘息に苦しめられた。水泳とサイクリングで喘息を克服し苦労して人並み以上の肺活量を得たのに、なぜ銭を払って煙草でそれを手放さねばならんのか、という強い思いがある。嫌煙活動を展開する市民団体に協力してステッカーの配布をした事もある。だから喫煙場面を見るたびに「カッコ良い」とは思えないので、神経質になる気持ちも実は理解できる。

 何が言いたいのかというと、私には酒文化のベースがあった。もしそのベースが無かったら、私も喫煙に誘導されたアメリカの37%の若者と同じく、酒飲みの場面を見て味や香りもろくに考えずに映画によって誘導され依存したかもしれない。所詮はエエカッコしいか自慢か、あるいは威圧、酒という食品を楽しむのとは全く別次元の行為だ。
 高校生時代にツッパリヤンキーが長ラン着て両腕に女の子侍らせて両耳に煙草を挟んで闊歩しているのを目撃した事があるが、煙草を両耳に挟む行為になんの意味がある? 少なくとも煙草の味と香りを楽しむ目的は皆無だ。貧乏臭い紙巻ではなくジャイアント馬場みたいに葉巻を咥えればまだカッコ良いと私は思えるが。
 子供が大人のアイテムをひけらかして威圧しているだけだ。

 つまりだ。文化としての教育がなければ、いくら規制をしても子供は逆らって悪さをするものだ。いくら手っ取り早い言葉狩りを熱心にやっても、それまで差別用語ではなかった単語が新たな差別用語になるのとまったく同じ現象が起こるだけだ。

(余談1)キャリー・ネイション(Carrie A. Nation) アメリカでもっとも有名な禁酒活動家で、20世紀初頭に鉞を振り回して酒場で破壊活動を行った。そのため「まさかりキャリー」と呼ばれている。
 鉞と聖書を持ってポーズをとるキャリーの写真は愛嬌があるが、私には狂信偏狭視野狭窄の愚か者の典型にしか思えない。が、同時に彼女の極端な行動が後の禁酒法へとつながる国民的運動へと発展していくわけだから、何かを成し遂げるには「良識」をかなぐり捨てて馬鹿になりきる局面も必要なのかもしれない。


 
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[ 2016/02/05 07:51 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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