「アラン・ドロンのゾロ」
アラン・ドロン氏の代表作 【原題】ZORRO
【公開年】1974年
【制作国】伊太利 仏蘭西
【時間】120分
【監督】ドゥッチオ・テッサリ 【原作】ジョンストン・マッカレー 【音楽】グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス
【脚本】ジョルジオ・アルロリオ
【言語】イタリア語
【出演】アラン・ドロン(ドン・ディエゴ/
ゾロ) オッタヴィア・ピッコロ(オルテンシア) スタンリー・ベイカー(ウェイタ大佐) エンツォ・セルシコ(ベルナルド) ムスタシュ(ガルーシャ) ジャコモ・ロッシ=スチュアート(フォン・メルケル) ジャンピエロ・アルベルティーニ(フランシスコ修道僧) マリノ・マッセ(-) アドリアーナ・アスティ(ジア・デ・ドン・ミゲル)
【成分】笑える 楽しい ゴージャス ロマンチック 勇敢 かっこいい コミカル 19世紀初頭 メキシコ
【特徴】カッコよくてシブい
アラン・ドロンの冒険活劇。
アントニオ・バンデラスの
ゾロよりもテキパキしていて颯爽。家族団欒に最適の冒険活劇。
【効能】スカッと爽やかフェンシング映画。
【副作用】二枚目
アラン・ドロンしか求めない人には、ひょうきん総督を演じている彼が嫌になるかもしれない。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
アラン・ドロンの二役か面白い 「代表作」と言い切ってしまうと、ファンの方々から異論が巻き起こるかもしれない。たぶん「太陽がいっぱい」をあげる人が圧倒的に多いだろうし、ヴィスコンティ監督の文藝大作「山猫」を推薦する人もいるだろう。しかし陰のあるシリアスな役柄が多い中で、主役で明るい映画となると「
黒いチューリップ」とこの「
怪傑ゾロ」だ。その中でも知名度が抜群なのは「
ゾロ」である。
今は
アントニオ・バンデラス氏の
ゾロが通りが良いだろうが、40歳代以上のファンにとっては
アラン・ドロン氏の
ゾロが絶大な知名度を誇る。(余談1)
基本的な物語の構成は「
黒いチューリップ」とは変わりない。権力に反抗する剣の達人を主人公にしたチャンバラヒーロー時代劇である。「
黒いチューリップ」でアラン=ドロン氏は硬派の兄と幼さが残る弟の二役をしているに対して、「
ゾロ」では二役ではないが渋い
ゾロと仮の姿である昼行灯の総督を演じ分けている。舞台は少し時代が下って19世紀初頭のメキシコ、「
黒いチューリップ」での
アラン・ドロン氏はまだ白面の青年だったが、この「ゾロ」では渋さが増している。
もともとはアメリカの冒険活劇で、
アントニオ・バンデラス氏の「ゾロ」は原作路線のようだが、私は
アラン・ドロン氏のゾロの方が笑いと格好良さと緊張感がバランス良く構成されて面白い。舞台はロココ(余談2)の文化が残る19世紀初頭のメキシコであり主人公は剣士なので、偏見かもしれないが鉄砲・大砲・ミサイルの乱射が得意のアメリカよりもイタリア・フランスの合作のほうがシックリくる様な気がする。
剣士
アラン・ドロン氏の見事な殺陣と冷酷な大佐を何度も翻弄させ溜飲を下げる物語を楽しんでいただきたい。
残念ながら、私は日本語吹替版しか観ていないので、
アラン・ドロン氏の総督とゾロとの演じ分けの生の台詞を未だ聞いていない。
(余談1)少女漫画家大和和紀氏の漫画に、この「
怪傑ゾロ」とほぼ同時期に設定が似通った作品「ラブパック」を発表している。主人公は平安時代の京を舞台に黒い鎧直垂姿で貴族の邸宅を襲う夜盗疾風、犯行現場には必ず「疾風参上」と書いた紙を残す。庶民のヒーローである疾風の昼間の顔は権力者側の光源氏であり、日々良家の令嬢たちと遊び呆けるプレイボーイ。シチュエーションは「ゾロ」と極めて似ている。
「ラブパック」発表の1・2年後に有名なギャグ漫画「はいからさんが通る」を発表するが、ここでは
怪傑ゾロが狂言回しのチョイ役でたびたび登場。さらに夜盗疾風の子孫が、主人公紅緒の勤務先である冗談社の社主兼編集長青井冬星である。ちょっとマニアックな余談だったかな。
(余談2)簡単にいうと「ベルばら」を連想するゴージャスな様式。全盛は「マリー・アントワネット」より少し前のルイ15世時代。日本でいえば8代将軍吉宗の時代から老中田沼時代まで。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作 晴雨堂関連作品案内快傑ゾロ [DVD] ルーベンス・マムーリアン監督 タイロン・パワー主演
1940年公開
マスク・オブ・ゾロ コレクターズ・エディション [DVD] マーティン・キャンベル
レジェンド・オブ・ゾロ コレクターズ・エディション [DVD] マーティン・キャンベル
晴雨堂関連書籍案内快傑ゾロ (角川文庫) ジョンストン・マッカレー
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アラン・ドロンの二役か面白い 「代表作」と言い切ってしまうと、ファンの方々から異論が巻き起こるかもしれない。たぶん「太陽がいっぱい」をあげる人が圧倒的に多いだろうし、ヴィスコンティ監督の文藝大作「山猫」を推薦する人もいるだろう。しかし陰のあるシリアスな役柄が多い中で、主役で明るい映画となると「
黒いチューリップ」とこの「
怪傑ゾロ」だ。その中でも知名度が抜群なのは「
ゾロ」である。
今は
アントニオ・バンデラス氏の
ゾロが通りが良いだろうが、40歳代以上のファンにとっては
アラン・ドロン氏の
ゾロが絶大な知名度を誇る。(余談1)
基本的な物語の構成は「
黒いチューリップ」とは変わりない。権力に反抗する剣の達人を主人公にしたチャンバラヒーロー時代劇である。「
黒いチューリップ」でアラン=ドロン氏は硬派の兄と幼さが残る弟の二役をしているに対して、「
ゾロ」では二役ではないが渋い
ゾロと仮の姿である昼行灯の総督を演じ分けている。舞台は少し時代が下って19世紀初頭のメキシコ、「
黒いチューリップ」での
アラン・ドロン氏はまだ白面の青年だったが、この「ゾロ」では渋さが増している。
もともとはアメリカの冒険活劇で、
アントニオ・バンデラス氏の「ゾロ」は原作路線のようだが、私は
アラン・ドロン氏のゾロの方が笑いと格好良さと緊張感がバランス良く構成されて面白い。舞台はロココ(余談2)の文化が残る19世紀初頭のメキシコであり主人公は剣士なので、偏見かもしれないが鉄砲・大砲・ミサイルの乱射が得意のアメリカよりもイタリア・フランスの合作のほうがシックリくる様な気がする。
剣士
アラン・ドロン氏の見事な殺陣と冷酷な大佐を何度も翻弄させ溜飲を下げる物語を楽しんでいただきたい。
残念ながら、私は日本語吹替版しか観ていないので、
アラン・ドロン氏の総督とゾロとの演じ分けの生の台詞を未だ聞いていない。
(余談1)少女漫画家大和和紀氏の漫画に、この「
怪傑ゾロ」とほぼ同時期に設定が似通った作品「ラブパック」を発表している。主人公は平安時代の京を舞台に黒い鎧直垂姿で貴族の邸宅を襲う夜盗疾風、犯行現場には必ず「疾風参上」と書いた紙を残す。庶民のヒーローである疾風の昼間の顔は権力者側の光源氏であり、日々良家の令嬢たちと遊び呆けるプレイボーイ。シチュエーションは「ゾロ」と極めて似ている。
「ラブパック」発表の1・2年後に有名なギャグ漫画「はいからさんが通る」を発表するが、ここでは
怪傑ゾロが狂言回しのチョイ役でたびたび登場。さらに夜盗疾風の子孫が、主人公紅緒の勤務先である冗談社の社主兼編集長青井冬星である。ちょっとマニアックな余談だったかな。
(余談2)簡単にいうと「ベルばら」を連想するゴージャスな様式。全盛は「マリー・アントワネット」より少し前のルイ15世時代。日本でいえば8代将軍吉宗の時代から老中田沼時代まで。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作 晴雨堂関連作品案内快傑ゾロ [DVD] ルーベンス・マムーリアン監督 タイロン・パワー主演
1940年公開
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TB、コメント、ありがとうございました。
商売柄、歴史ものには、いろいとろ突っ込みたくなる癖がありまして、粘っこい記事になってしまいました。
アラン・ドロンのゾロは、昔、昔に、さらっとしか見たことがないので、あまり語れないのですが、顔を半分隠しても、あれだけオーラがビンビンくる!というのが、さすがスターだなと。
大和和紀の漫画トリンクするあたりが面白いですね。
なるほどなるほどでした。
そういや、そうですよね。源氏の君が懐かしい。
ドロンの映画は、やっぱ「山猫」っすかね。あとは「冒険者たち」なんてのも好きです。ハードボイルドに「友よ、さらば」なんても良かったですね。
では、またどうぞよろしく。