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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「巨大生物の島」 不安と恐怖を楽しむ時に〔3〕 

巨大生物の島」 巨大ネズミのパニック映画


 
【原題】THE FOOD OF THE GODS
【公開年】1976年  【制作国】亜米利加  【時間】88分  【監督】バート・I・ゴードン
【原作】H・G・ウェルズ
【音楽】エリオット・カプラン
【脚本】バート・I・ゴードン
【出演】マージョー・ゴートナー(モーガン)  パメラ・フランクリン(ローナ・スコット)  アイダ・ルピノ(スキナー夫人)  ジョン・サイファー(ブライアン)  ラルフ・ミーカー(ジャック・ベンジントン)  ベリンダ・バラスキー(リタ)  トム・ストヴァル(トーマス)  ジョン・マクライアム(スキナー)
    
【成分】パニック 不気味 恐怖 勇敢 絶望的 巨大ネズミ 
       
【特徴】巨大化したネズミの大群が人間を襲うパニック映画。この時代、蛙の大群・ミミズの大群・蜘蛛の大群などが人間に襲い掛かる類がよく流行った。
 私にとっては、パメラ・フランクリンが出演しているだけで名作なのだ! 
  
【効能】恐怖というより気持ち悪さを体感できる。現代の恐怖映画に慣れた人には突っ込みどころが楽しめる。パメラ・フランクリンのコアなファンにとっては感動作。
 
【副作用】今から観ると稚拙な部分が多々あり臨場感が感じられない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。 やっぱりパメラは可愛い。それだけで十分や。

 似たような邦題の映画があるが、一方のはジュール・ヴェルヌが原作で、こちらはH・G・ウェルズの原作が下地になっている。ただ、内容は70年代から80年代にかけて流行った動物パニックものである。当時はミミズの大群が襲ってきたり、蛙や蜥蜴の大群が頭脳プレイで人を殺していったり、殺人飛魚が群れで襲い掛かったり、あるいは殺人蜘蛛がおしよせたりと、似たようなパニック物が大量に制作された。この作品もウェルズ原作云々は考えず、単純に巨大なネズミの群れが襲い掛かるパニック映画として鑑賞するべきだろう。
 というのも、一応自然破壊や人間の愚かなエゴなどを批判しているようではあるが、それは明らかに物語の体裁をとるためであり、映画の主題は人間と同じくらいの巨体になった鼠が大群となって人間を襲う絵を撮ることである。パニックを演出するためとはいえ、登場人物の不自然な馬鹿ぶりが目立つ。逆に白いボス鼠に率いられた大群は鼠らしからぬチームプレイをする。

 私は子供の頃に伝説の梅田OS劇場で見た。当時は特撮の粗が気にならなかったので迫力ある場面に見えたが、大人になってから何かの放送で見たとき稚拙な描写に少し驚いた。加齢とともに描写に厳格になってきたのか、それとも作品の映像技術が進んで特撮の目が肥えてきたせいなのか。いま同じ映画を制作したら、たぶん鼠に喰い殺される場面は腹筋を喰い破られて内臓を引っ張り出されるところまで描写するだろう。そうなれば間違いなくR指定だ。
 この映画の特撮では特撮であることが丸出しだし不自然な演出のため俳優の演技にリアリティが無く安心して鑑賞できるだろう。ただ、今でも一点だけビックリする場面がある。20センチ程度に大きくなった芋虫が襲う場面はよく出来ているしやはり鳥肌が立つ。(余談1)

 実家には当時のパンフレットがあり、26歳当時のパメラ・フランクリン氏が映っている。「ヘルハウス」では純情で頑なで精神が思春期のように不安定な少女霊媒師(余談2)を好演していたが、ここでは少し変わったキャリアウーマンを演じている。なにしろ鼠に取り囲まれて悪戦苦闘している最中で主人公の男性に「抱いて」というのだから。
 彼女の映画出演はどうやらこれが最後のようだ。TVドラマでは81年頃まで出ていたようだが。30代以降の姿は殆どの人は知らない。夫と子供と一緒にハリウッドで住んでいるそうだが、なにしているのだろう?

(余談1)パメラ・フランクリン氏扮する細菌学者が舞台となる島の館を訪れる場面がある。庭にある巨大な鶏の死骸には平静なのに、芋虫の死骸を見て「ヘルハウス」ばりに顔を引きつらすのは、なんだか俳優自ら特撮の稚拙さを暴露しているみたいで微笑ましい。

(余談2)といっても既に23歳で「少女」ではないし所帯持ちになっている。
 

 
晴雨堂のスタンダード評価
☆☆ 可

晴雨堂のマニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
晴雨堂関連書籍案内
神々の糧 (ハヤカワ文庫 SF 346) H.G.ウェルズ 原作


 
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