「ワールド・ウォーZ」
ブラピが放つ贅沢なゾンビ映画。【英題】World War Z
【公開年】2013年
【制作国】亜米利加 英吉利
【時間】116分
【監督】マーク・フォースター
【制作】ブラッド・ピット デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー イアン・ブライス
【原作】マックス・ブルックス
【音楽】マルコ・ベルトラミ
【脚本】マシュー・マイケル・カーナハン ドリュー・ゴダード デイモン・リンデロフ
【言語】イングランド語 一部ヘブライ語?
【出演】ブラッド・ピット(ジェリー・レイン) ミレイユ・イーノス(カリン・レイン)
ダニエラ・ケルテス(セガン) ジェームズ・バッジ・デール(スピーク) ルディ・ボーケン(ユルゲン・ヴァルムブルン) ファナ・モコエナ(ティエリー)
【成分】悲しい 切ない 知的 絶望的 パニック ゾンビ
【特徴】ブラット・ピットが放つ潤沢予算で創られたゾンビ映画。
殆どのゾンビ映画は低予算で制作されているが、本作の場合はかなり贅沢、そのおかげで映像面でのスケールは壮大でDVDによる家庭鑑賞よりは映画館で観る事を勧める。
物語後半でイスラエルの女優が
ブラピを護衛する女兵士役で登場、彼女は晴雨堂のイチオシ。続編でも彼女は引き続き同じ役で出演するらしい。
本作劇場公開時、
ブラピはインタビューで「子供たちがゾンビ映画が好きなんだ」と語っていた。当時の
ブラピはアンジェリーナ・ジョリーと事実婚関係で子供たちに囲まれていた。このインタビューでの発言は円満な家庭が滲み出たものだが、後のアンジーとの破局を思うと切ない。
【効能】壮大なスケールに感動。坊主頭の美女兵士に萌え。
【副作用】捻りも新機軸もない展開とオチにガッカリ。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
やっぱりゾンビ映画はメジャー映画に向かない。 ゾンビ映画は今や低予算映画の優れた題材であり、資金力の無い下積みの若い映画人にとっては救世主である。
なにしろエキストラが集めやすい。特別な演技指導は必要でない、メイクも単純な青塗りでもゾンビに見えるし、衣装もエキストラ参加者自前の古着やボロ着で十分。
しかもゾンビというだけで視聴者へのインパクトは他の一般作より強く、文藝作からSFや戦争やアクションなど幅広く応用できるのも特色である。その特色を存分に活かした作品にマーク・プライス監督の「コリン」が有名だろう。彼は僅か数千円で制作した。
しかし本作の場合は超メジャー映画である。著名な俳優であり映画制作者である
ブラット・ピット氏(以下
ブラピ)が映画化権を獲得して制作に取り組んだ。マーク・プライス監督の超低予算は特別として、ゾンビ映画の大家ジョージ・ロメロ監督の作品より桁が違う潤沢予算でつくられた贅沢なゾンビ映画である。
なので他作品でのレビューで何度も言っているように、B級映画よりも辛い評価基準になる。潤沢な予算と
ブラピ主導ならそこそこ面白い映画になって当然、しかも投下資本回収に
ブラピ主演による家族愛などが盛り込まれるとなれば万人が受け入れられる内容にならざるを得ない。マニアックな映画ファンはガッカリするのは目に見えている。
メジャーなゾンビ映画は他にミラ・ジョヴォヴィッチ氏主演「バイオハザード」のシリーズがあるが、あれは美しくて逞しい女戦士が縦横無尽の戦いをするから面白いのであって、男性の
ブラピの活躍なんぞ当たり前すぎるし当たり前の展開が予想される。そして実際に観てみたら予想通りの展開でラストとなった。オチは「宇宙大作戦」的で、2時間尺の映画にしては平凡だろう。
そうなってくると低予算映画の楽しみでもある新人もしくは新進気鋭もしくはマイナーな俳優をチェックする楽しみもあまりできない。
但しメジャー映画であるだけあって、ロケ地など映像面での奥行きは低予算にない壮大さは楽しめるし、本作でも舞台はアメリカの大都市・原子力空母・韓国の米軍基地・エルサレム・ヨーロッパと広大だ。実際のロケ地もスコットランドやハンガリーと国際的。
噂によれば撮影は紆余曲折あり、制作中でも何度か脚本の変更があったそうであるから、上手くまとめた映画ではある。とはいえ、潤沢な予算と人材を集めたのだから当然であり、さほど感動は無い。
映画館で観る分には映像スケールの大きさを楽しめると思う。
しかし、その中でもワクワクさせる要素はあった。それは物語後半に
ブラピの相棒になるイスラエルの若い女性兵士セガン役の
ダニエラ・ケルテス氏だ。(余談1)
舞台がエルサレムに映る後半初期、主人公を護衛するイスラエル軍の女性兵士として登場するのだが、脇役と思いきや重要な助演者だった。私は長い黒髪の眉毛の太い女性がタイプなのだが、彼女はやや栗毛で眉毛が細い。しかし坊主頭で華奢な体型ながらアサルトライフルを恐怖にひきつった顔で連射する姿は萌えだ。
本作は興行成績が良く続編制作が決定、彼女は引き続きセガン役で出演するらしい。楽しみだ。いや、私にとって本作の楽しみは彼女だけだ。
(余談1)彼女はイスラエルの女優。とはいえ父親はルーマニアから、母親はベルギーからの移住者で家で話す言語はフランス語、中東よりもヨーロッパ系だ。
もちろんイスラエルの公用語であるヘブライ語やハリウッドの言語である英語、通用範囲の広いスペイン語も話せる。
イスラエルの子供番組などで活躍する子役からキャリアを出発させ、本作はハリウッドのデビュー作だ。本作撮影時の年齢は20代前半、これからの活躍が楽しみである。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作
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やっぱりゾンビ映画はメジャー映画に向かない。 ゾンビ映画は今や低予算映画の優れた題材であり、資金力の無い下積みの若い映画人にとっては救世主である。
なにしろエキストラが集めやすい。特別な演技指導は必要でない、メイクも単純な青塗りでもゾンビに見えるし、衣装もエキストラ参加者自前の古着やボロ着で十分。
しかもゾンビというだけで視聴者へのインパクトは他の一般作より強く、文藝作からSFや戦争やアクションなど幅広く応用できるのも特色である。その特色を存分に活かした作品にマーク・プライス監督の「コリン」が有名だろう。彼は僅か数千円で制作した。
しかし本作の場合は超メジャー映画である。著名な俳優であり映画制作者である
ブラット・ピット氏(以下
ブラピ)が映画化権を獲得して制作に取り組んだ。マーク・プライス監督の超低予算は特別として、ゾンビ映画の大家ジョージ・ロメロ監督の作品より桁が違う潤沢予算でつくられた贅沢なゾンビ映画である。
なので他作品でのレビューで何度も言っているように、B級映画よりも辛い評価基準になる。潤沢な予算と
ブラピ主導ならそこそこ面白い映画になって当然、しかも投下資本回収に
ブラピ主演による家族愛などが盛り込まれるとなれば万人が受け入れられる内容にならざるを得ない。マニアックな映画ファンはガッカリするのは目に見えている。
メジャーなゾンビ映画は他にミラ・ジョヴォヴィッチ氏主演「バイオハザード」のシリーズがあるが、あれは美しくて逞しい女戦士が縦横無尽の戦いをするから面白いのであって、男性の
ブラピの活躍なんぞ当たり前すぎるし当たり前の展開が予想される。そして実際に観てみたら予想通りの展開でラストとなった。オチは「宇宙大作戦」的で、2時間尺の映画にしては平凡だろう。
そうなってくると低予算映画の楽しみでもある新人もしくは新進気鋭もしくはマイナーな俳優をチェックする楽しみもあまりできない。
但しメジャー映画であるだけあって、ロケ地など映像面での奥行きは低予算にない壮大さは楽しめるし、本作でも舞台はアメリカの大都市・原子力空母・韓国の米軍基地・エルサレム・ヨーロッパと広大だ。実際のロケ地もスコットランドやハンガリーと国際的。
噂によれば撮影は紆余曲折あり、制作中でも何度か脚本の変更があったそうであるから、上手くまとめた映画ではある。とはいえ、潤沢な予算と人材を集めたのだから当然であり、さほど感動は無い。
映画館で観る分には映像スケールの大きさを楽しめると思う。
しかし、その中でもワクワクさせる要素はあった。それは物語後半に
ブラピの相棒になるイスラエルの若い女性兵士セガン役の
ダニエラ・ケルテス氏だ。(余談1)
舞台がエルサレムに映る後半初期、主人公を護衛するイスラエル軍の女性兵士として登場するのだが、脇役と思いきや重要な助演者だった。私は長い黒髪の眉毛の太い女性がタイプなのだが、彼女はやや栗毛で眉毛が細い。しかし坊主頭で華奢な体型ながらアサルトライフルを恐怖にひきつった顔で連射する姿は萌えだ。
本作は興行成績が良く続編制作が決定、彼女は引き続きセガン役で出演するらしい。楽しみだ。いや、私にとって本作の楽しみは彼女だけだ。
(余談1)彼女はイスラエルの女優。とはいえ父親はルーマニアから、母親はベルギーからの移住者で家で話す言語はフランス語、中東よりもヨーロッパ系だ。
もちろんイスラエルの公用語であるヘブライ語やハリウッドの言語である英語、通用範囲の広いスペイン語も話せる。
イスラエルの子供番組などで活躍する子役からキャリアを出発させ、本作はハリウッドのデビュー作だ。本作撮影時の年齢は20代前半、これからの活躍が楽しみである。
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☆☆☆ 良
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