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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「スターシップ9」 カップルで癒されたい時に〔24〕 

スターシップ9」 
スペイン語圏のSF



スターシップ9 [Blu-ray]
スターシップ9 [DVD]

【原題】ORBITA 9
【英題】ORBITER 9  
【公開年】2016年  
【制作国】西班牙 哥倫比亜  
【時間】141分  
【監督】アテム・クライチェ・ルイス・ソリヤ
【制作】
【原作】
【音楽】フェデリコ・フシド
【脚本】アテム・クライチェ・ルイス・ソリヤ   
【言語】スペイン語 一部イングランド語
【出演】クララ・ラゴ(エレナ)  アレックス・ゴンザレス(アレックス)

【成分】切ない ロマンチック 不思議 ファンタジー 知的 サスペンス 陰謀 SF

【特徴】広い宇宙船で孤独に暮らす美しい少女の前に現れたイケメン男性は何者?といった展開で物語が始まっていく。
 これはネタバレしてしまうと作品の面白さが半減してしまうかもしれない。
 昨今のSFはCGを多用しているが本作は殆ど使用せずセットを組んで撮影されている。

 日本に入ってくる海外SFの殆どが英語圏制作のもので、全編スペイン語台詞といってもよい本作は新鮮な響きを感じる。ただ、本部の偉いさんとして登場する女性は英語を話しているので、宇宙開発事業の力関係を垣間見させる。

【効能】現代版アダムイブに思春期の感動を思い出す。藤子不二雄のSF短編集を思い出す。

【副作用】悪趣味な内容で気持ち悪くなる。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
藤子F不二雄氏が 
描きそうなSFロマンス


 日本に入ってくるSF映画は殆ど英語圏のものだが、これはスペイン語圏である。
 宇宙といえば英語か吹替の日本語しか聞いた事が無いので白い無機質な船内にスペイン語が響くのは心地よい違和感を抱く。(余談1)

 冒頭、少女がただ独り広い宇宙船の中で淡々と生活をしている。まだ20歳前後だろう。
 ジムで日課のトレーニングを黙々と独りこなし、完全自動化された船が出す如何にも昔の「宇宙食」を独りで黙々と食べたり、独りでニヤニヤしながら男女の営みを描写した映画を観たり。
 完全コンピューター制御なので何だが一人の少女が機械の中で飼育されているような感じがしてしまう。

 一人になったのは船のトラブルだった。酸素が流出してしまい、彼女の両親は最期の動画メッセージを残して船を出た。残り少ない酸素を娘に与えるため自ら犠牲になったようだ。
 一連の場面から、どうやら少女は新天地の惑星へ向かって独り旅をしているようだ。地球は汚染が進んで人が住める状態で無くなりつつあり、外宇宙への移住を行っている。少女の船以外にも地球を旅だった船は沢山あるようで、何時になるかは判らないが最寄りの船が緊急事態の信号を受け取って助けに来るらしい。

 やがて、船内が激しく振動しアラームが鳴り響き、コンピューターが船内放送で他の船がドッキングしに来たことをスペイン語で告げる。
 少女は急いでハッチへと走る。隔壁を経て船の居住区に入ってきたのは宇宙服姿の長身男性だった。ヘルメットをとると歳の頃30歳半ばから40歳くらいのアルパチーノ風の渋いイケメン男性。

 少女にとって父親以外に見る初めての男性、かなり興奮している。ところが男性の方は無表情で素っ気ない。
 少女は今まで孤独だったので世間話をしたがるが、男は余計な話は一切しない。淡々と故障個所を修理して帰る段取りだ。思い余った少女は男が寝泊まりする部屋へ夜這いをしかけてしまう。

 修理を終えて男は自分の船に戻ろうとする。少女は名残惜しそうだったが男は無表情のまま居住区から出る。
 男はヘルメットを装着して自分の宇宙船へと続く通路を歩く。あれ? 通路は宇宙船内の廊下というよりは下水道か工場の地下通路のようなコンクリート張り? あれれ? 緑の森が広がる地上に出てしまった。
 男は宇宙服を脱ぎ捨てると軽トラに乗って去っていく。ということは、少女が機械に飼育されているような印象は正解だったんだ。

 外宇宙の新天地へ移住する計画自体は本当のようだが、まだ研究段階で少女は人体実験のため人工的に生み出されたモルモットだったのだ。
 男の部屋にあるファイルには少女の「仕様書」がある。クローン人間なのか?少女が「宇宙船」と思って暮らしている地下実験棟の出入り口は「9」の表示があるから、他にも同様の実験棟があり同様のクローン人間が飼育されているのか? 少女の両親は二人とも実験に参画した科学者で健在。

 だが、無表情の男も少女と契ってから、少女への思いが熱く対流し抑えられなくなっていた。

 遂に男は規則を破って再び「宇宙船」に戻る。「宇宙船」の中では突然のドッキングを告げるアラームと振動で少女は驚く。そしてハッチに向かえば宇宙服でなく私服姿の男が慌てた風で現れ「ここは宇宙船ではない」と告げる。
 男は監視カメラを細工して少女を実験棟から出す。少女はパニックを起こして何が何だか解らないまま男の言われるがままに男の自宅へ連れ込まれる。

 これ以降はSFちっくな雰囲気から国家機関の陰謀渦巻くサスペンスへと変わる。程なくして少女の脱走はバレてしまい逃避行が始まる。男の上司は自ら武装した部下を引き連れ追う。男の関係者はみな暴行を受けたり殺されたりと大事件になっていく。
 追っ手を掻い潜ってきた二人だったが、逃げきれない致命的問題が判明、少女の背中に変色部分が現れ始める。あの「宇宙船」の中でないと生きられないのだ。

 やがて二人は捕らえられる。少女は男の子供を宿していることを上司に告げ、男と二人であの「宇宙船」で暮らすことを要求、上司はそれを了解する。
 20年後、すっかり髭が白くなった上司が部下とともに「9」の入り口で待つ。「9」からは20歳くらいの若い女性が出てきた。
 ハッピーエンドと解してよいのかわからない。おそらく二人の間にできた娘だろう、この女性はこれからどんな風に扱われるのだろう? 逆に恐ろしい。

 藤子F不二雄氏の短編SF漫画にも似たようなネタがある。
 大好きなアイドル少女と同じ女性を宇宙人のクローン?技術で作り出し、夢のような相思相愛の同居生活をするが、部屋から出すわけにもいかず監禁状態に。結局、自分のクローンを作ってアイドル少女のクローンと一緒に宇宙人の星へ帰す。

 なので、もし藤子F不二雄氏が御健在で本格実写SF映画をつくったら、本作のような内容になるのではないかと思っている。

(余談1)研究を統括する本部の偉いさんとして50代半ばくらいの女性が現れ、男の上司にあれこれ命じる場面がある。その時の使用言語は英語だった。映画なのでスペイン語で全て通しても問題はないはず。
 ハリウッドは宇宙人まで英語を話すし、日本の宇宙戦艦ヤマトでは地球防衛軍全員日本人で日本語を話す。
 わざわざ英語台詞を持ってきたのは、宇宙開発を牛耳っているのは英語圏のアメリカが主導している事を示したいのか?



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作



 
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