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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「HERO」 孤独を楽しむ時に 26 

HERO」 「羅生門」風のアクション佳作。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作
 
寸評・・ジェット・リーの美しい拳法演舞が見れる。チャン・ツィイー の初々しい濡れ場も見れる。物理的に有り得ない格闘描写があるが飛天が舞うがごとく静かで迫力があって美しい。「羅生門」的捻りが最後まで飽きさせない。東洋趣味の欧米人には間違いなくウケる。

 

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飛天のようなカンフー映画
 
 「HERO」はこれまでの張藝謀監督(チャン・イーモウ)の作品とはガラリと変わり、徹底して映像美・娯楽性にこだわっている。特に映像については欧米で高く評価された。もともと、張藝謀監督は「黄色い大地」の陳凱歌監督(チェン・カイコー)の下で撮影を担当していた人で、映像には定評がある。(余談1)

 作品内容は、カンフーアクション中心であり、李連杰氏(ジェット・リー)の正確でスピードのあるアクション、章子怡氏(チャン・ツィイー)の可愛らしさ、張曼玉氏(マギー・チャン)の浅野温子似の凛々しさが美しい。TVドラマ「末代皇帝」では線が細い青年皇帝溥儀を演じた陳道明氏は、ここでは聡明で思慮深く重厚な秦王を好演していた。(余談2)
 カンフー中心の娯楽映画でありながら、短い場面しか出てこない大軍勢の描写も迫力がある。よく訓練された人民解放軍のエキストラだろう。森林や湖でのワイヤーアクションなどは、敦煌の壁画で登場する飛天を実写化したかのようだ。

 そして、多くの評論家やレビュアーたちが黒澤監督の「羅生門」に似ていると指摘しているように、李連杰氏扮する武芸者無名が如何にして始皇帝の命を狙う刺客を葬ってきたのかを話す場面で、最初の無名の説明による刺客暗殺の経緯、無名の嘘に気付いた秦王が推察する経緯、次に本当の経緯、それぞれ衣装の色を変えて演じられていた。この構成が「羅生門」の白洲の場面に似ているためだが、確かにプロットは「羅生門」方式をとっているので表現方法は似ているだろう。
 しかし物語としては、証言者各々が利害関係と感情に左右されて様々な言い分に分かれる人間の性をテーマにした「羅生門」とは違う。「HERO」はあくまでカンフーアクションの時代劇であり、あくまで李連杰氏らのアクションを如何に美しく魅せるかであり、作中にテーマとして現われる大義は時代劇に付き物の君主論や復讐劇の絡みと対立に過ぎない。したがって、「羅生門」風の娯楽アクション劇として楽しむ作品である。

 因みに黒澤映画は中国第五世代の映画人にも影響を与えている。

(余談1)中国映画は、19世紀末から第二次大戦頃までを「第一世代」、戦後から共産党政権を経て文化大革命前夜までを「第二世代」、60年代後半の文化大革命から80年代前半頃までを「第三世代」、80年代半ばから90年代を「第五世代」、それ以降を「第六世代」と呼ばれている。
 張藝謀監督と陳凱歌監督は「第五世代」を代表する監督で、文革期に青春時代をおくっていて農村への下放を経験している。日本では青春時代に学生運動を体験した団塊の世代と時代を同じくする。
 陳凱歌監督も文藝作品を手掛けてきたが、10年程前の「始皇帝暗殺」から娯楽大作も手掛けるようになり、最近では真田広之氏出演のアクション大作「プロミス」を発表している。

(余談2)李連杰氏のアップを観て、すっかり中年のオジサン顔になっているのにビックリした。中山忍氏と共演したときは学生服が似合う青年だったのに、ということは私もそれだけ老けていることか?


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