「天使行動」
アジアの大スター西城秀樹!
天使行動 [VHS]
【原題】天使行動【英題】Iron Angels
【公開年】1987年
【制作国】英領香港
【時間】94分
【監督】胡珊
【制作】【原作】【音楽】魯世傑
【脚本】胡珊
【言語】広東語 一部日本語
【出演】李賽鳳(ムーン)
西城秀樹(西城)
大島由加利(楊林)
【成分】パニック 悲しい かっこいい 勇敢 ゴージャス 恐怖 マーシャルアーツ 香港映画
【特徴】80年代から近隣の中国や香港・台湾・韓国などで積極的にコンサートを展開する現役の大スター
西城秀樹氏が香港映画で主演。役名も西城、危険なスタントもこなす。
香港のアイドル女優
李賽鳳氏のマーシャルアーツスター転向第一作でもある。
中国ではDVD化されているようだが、日本では今のところVHSのみ。【効能】西城秀樹のぎこちない格闘演技と、童顔正統清純派キャラの
李賽鳳氏が血みどろの激しい格闘をする様に萌え。
【副作用】西城秀樹のアクションに物足りなさ。音楽が安っぽい。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
少しぎこちないアクションの西城秀樹と
顔に似合わず血みどろの激しいアクションをこなすムーン・リー 西城秀樹氏が出演した映画で真っ先に思いつくのは香港映画の「
天使行動」である。
今でこそ日本の大物アイドルがアジア諸国でコンサートや映画・ドラマ出演が珍しくないが、その先駆者はやはり
西城秀樹氏(余談1)だろう。80年代から中国や香港などへ積極的にコンサートを展開した。
本作はそういった時期に制作された香港映画であり、なんと
李賽鳳氏(ムーン・リー)と並んで主役を務める。
西城秀樹氏の役どころは、世界各地に根を張る秘密諜報部隊「Angel(天使)」の筆頭番号「一号」に据えられた凄腕メンバーで少林寺拳法の達人、普段は日本を拠点に行動する日本人の有力エージェントといったところか。役名もそのまま、西城先生と呼ばれる。原題の「
天使行動」も諜報部隊の部隊名からきている。
物語は東南アジアの麻薬三角地帯をインターポールによって潰され大打撃を受けたシンジケートが報復するところから始まる。インターポールのフォン警部補は諜報機関「天使」に協力を依頼、西城をはじめ各地からエージェントが集まり犯罪組織に対する闘いが始まる。
本作の特色はやはり
西城秀樹氏と
李賽鳳氏のマーシャルアーツである。
西城氏は当時芸能界きってのスポーツマンで身体能力は高く水泳が得意であるのは知られている。本作でもランニングシャツ姿ではあるがジムで細マッチョぶりを披露する。が、これまで格闘演技の経験が無い事は日本の多くのファンが知っている。
おそらく西城氏は監督から過酷な役作りを指示され訓練に励み吹替なしのスタントに精一杯挑戦しこなされたと思う。ただ、ジャッキー・チェン氏やジェット・リー氏やブルース・リー氏らの本格アクションに比べると地味で大人しい。もちろん偉大なマーシャルアーツスターたちと比較するのは酷なのだが・・。
とはいえ、やはり西城氏は抜群に運動神経が良くドン臭さは全く無い。中国拳法の殺陣に慣れた香港人俳優と遜色なく演技していたように見える。しかしどうしても「アイドル歌手の割にはよく頑張った」という見方をされてしまうだろう。
それから意外なのは香港側の主演
李賽鳳氏も当時は格闘演技の経験が無いに等しい。香港の俳優は全員中国拳法の訓練を受けているとの偏見を持ってしまうが、香港出身のアグネス・チャン氏が拳法の達人なんて聞いた事が無いし、格闘しないアイドル女優ももちろんいる。
彼女は私と同世代、当時は二十歳そこそこの可愛らしいアイドル女優、日本の女優に例えると小芝風花氏や杉咲花氏が血みどろメイクで中国拳法での死闘を演じ、命綱なしの危険スタントもこなすようなものかもしれない。(余談2)
西城秀樹氏は主演といっても日本からの御客様的出演の要素(余談3)があるが、
李賽鳳氏は正味の主演女優であるためかアクションは西城秀樹氏とは比較にならない厳しさが要求されている。
後の作品の撮影で火達磨になり大火傷を負う事になるのだから、組織の大ボス役の大島由加里氏との血と汗が噴き出す女闘美は演技ではなく本気で殴り合い蹴り合いやり流血の惨事になっているのではないかと思ってしまう。さらに多くの映画ファンが指摘しているように、AKBの正統派アイドルのようなルックスで血と汗にまみれながら激しい格闘を展開するギャップに萌えるのである。
二人とも私と同世代、なので当時は二十歳そこそこの年頃。素晴らしい迫力の女闘美だ。
西城秀樹氏には二作目も三作目も引き続き出演し、最終的には
李賽鳳氏とラブロマンスを成就する展開まで行って欲しかった。少し残念である。
李賽鳳氏の白馬の王子様的存在で終わってしまったようで切ない。
それから時代の流行とはいえ本作で使われたBGMがまことに安っぽく感じたのが大いに残念。
(余談1)香港や台湾で活躍した日本人俳優の先駆は日本人マーシャルアーツスター倉田保昭氏と思うが、彼の場合は「Gメン75」の刑事役で人気を得る以前だったので下積み色が強い。
やはり大スターの地位にいる日本の芸能人が中国・台湾・香港などへ進出する先駆けは西城秀樹氏だと思う。
本作では日本語の台詞も一部あるが、西城氏本人の声ではない。西城氏の台詞は広東語に吹替られているが、吹替声優との声質を揃えるため同じ声質の日本語話者の声優が起用されている。
(余談2)本作でも柱をよじ登りビルの6階に侵入する場面を命綱や衝撃マット無しで行っている。アイドル女優とは思えない度胸の良さ。
(余談3)本作は香港などで大ヒット、シリーズ化され第三弾まで制作されるほどの成功を収めた作品なのだが、西城氏は人命軽視とも思える香港映画界の過酷スタント撮影に懲りたのか、あるいはもともと御客様扱いで最初から一作目だけの出演契約だったのか、続編には出演していない。
二作目以降はインターポールのファン警部補を演じた方中信氏が「天使」の一員になる。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作
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少しぎこちないアクションの西城秀樹と
顔に似合わず血みどろの激しいアクションをこなすムーン・リー 西城秀樹氏が出演した映画で真っ先に思いつくのは香港映画の「
天使行動」である。
今でこそ日本の大物アイドルがアジア諸国でコンサートや映画・ドラマ出演が珍しくないが、その先駆者はやはり
西城秀樹氏(余談1)だろう。80年代から中国や香港などへ積極的にコンサートを展開した。
本作はそういった時期に制作された香港映画であり、なんと
李賽鳳氏(ムーン・リー)と並んで主役を務める。
西城秀樹氏の役どころは、世界各地に根を張る秘密諜報部隊「Angel(天使)」の筆頭番号「一号」に据えられた凄腕メンバーで少林寺拳法の達人、普段は日本を拠点に行動する日本人の有力エージェントといったところか。役名もそのまま、西城先生と呼ばれる。原題の「
天使行動」も諜報部隊の部隊名からきている。
物語は東南アジアの麻薬三角地帯をインターポールによって潰され大打撃を受けたシンジケートが報復するところから始まる。インターポールのフォン警部補は諜報機関「天使」に協力を依頼、西城をはじめ各地からエージェントが集まり犯罪組織に対する闘いが始まる。
本作の特色はやはり
西城秀樹氏と
李賽鳳氏のマーシャルアーツである。
西城氏は当時芸能界きってのスポーツマンで身体能力は高く水泳が得意であるのは知られている。本作でもランニングシャツ姿ではあるがジムで細マッチョぶりを披露する。が、これまで格闘演技の経験が無い事は日本の多くのファンが知っている。
おそらく西城氏は監督から過酷な役作りを指示され訓練に励み吹替なしのスタントに精一杯挑戦しこなされたと思う。ただ、ジャッキー・チェン氏やジェット・リー氏やブルース・リー氏らの本格アクションに比べると地味で大人しい。もちろん偉大なマーシャルアーツスターたちと比較するのは酷なのだが・・。
とはいえ、やはり西城氏は抜群に運動神経が良くドン臭さは全く無い。中国拳法の殺陣に慣れた香港人俳優と遜色なく演技していたように見える。しかしどうしても「アイドル歌手の割にはよく頑張った」という見方をされてしまうだろう。
それから意外なのは香港側の主演
李賽鳳氏も当時は格闘演技の経験が無いに等しい。香港の俳優は全員中国拳法の訓練を受けているとの偏見を持ってしまうが、香港出身のアグネス・チャン氏が拳法の達人なんて聞いた事が無いし、格闘しないアイドル女優ももちろんいる。
彼女は私と同世代、当時は二十歳そこそこの可愛らしいアイドル女優、日本の女優に例えると小芝風花氏や杉咲花氏が血みどろメイクで中国拳法での死闘を演じ、命綱なしの危険スタントもこなすようなものかもしれない。(余談2)
西城秀樹氏は主演といっても日本からの御客様的出演の要素(余談3)があるが、
李賽鳳氏は正味の主演女優であるためかアクションは西城秀樹氏とは比較にならない厳しさが要求されている。
後の作品の撮影で火達磨になり大火傷を負う事になるのだから、組織の大ボス役の大島由加里氏との血と汗が噴き出す女闘美は演技ではなく本気で殴り合い蹴り合いやり流血の惨事になっているのではないかと思ってしまう。さらに多くの映画ファンが指摘しているように、AKBの正統派アイドルのようなルックスで血と汗にまみれながら激しい格闘を展開するギャップに萌えるのである。
二人とも私と同世代、なので当時は二十歳そこそこの年頃。素晴らしい迫力の女闘美だ。
西城秀樹氏には二作目も三作目も引き続き出演し、最終的には
李賽鳳氏とラブロマンスを成就する展開まで行って欲しかった。少し残念である。
李賽鳳氏の白馬の王子様的存在で終わってしまったようで切ない。
それから時代の流行とはいえ本作で使われたBGMがまことに安っぽく感じたのが大いに残念。
(余談1)香港や台湾で活躍した日本人俳優の先駆は日本人マーシャルアーツスター倉田保昭氏と思うが、彼の場合は「Gメン75」の刑事役で人気を得る以前だったので下積み色が強い。
やはり大スターの地位にいる日本の芸能人が中国・台湾・香港などへ進出する先駆けは西城秀樹氏だと思う。
本作では日本語の台詞も一部あるが、西城氏本人の声ではない。西城氏の台詞は広東語に吹替られているが、吹替声優との声質を揃えるため同じ声質の日本語話者の声優が起用されている。
(余談2)本作でも柱をよじ登りビルの6階に侵入する場面を命綱や衝撃マット無しで行っている。アイドル女優とは思えない度胸の良さ。
(余談3)本作は香港などで大ヒット、シリーズ化され第三弾まで制作されるほどの成功を収めた作品なのだが、西城氏は人命軽視とも思える香港映画界の過酷スタント撮影に懲りたのか、あるいはもともと御客様扱いで最初から一作目だけの出演契約だったのか、続編には出演していない。
二作目以降はインターポールのファン警部補を演じた方中信氏が「天使」の一員になる。
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☆☆☆ 良
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