ナチス帽着用でBTS非難 米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は11日、原爆のきのこ雲がプリントされたTシャツを過去に着用したことで日本のテレビ出演が中止になった韓国の男性音楽グループ「BTS(防弾少年団)」が、過去にナチス親衛隊(SS)の記章をあしらった帽子をかぶったり、コンサートでナチスを想起させる旗を掲げたりしていたとして非難した。
同センターのエーブラハム・クーパー副所長は「原爆被害者をあざけるTシャツの着用は、過去をあざけるこのグループの最新の事例にすぎない」と指摘。「BTSは日本の人々とナチスの被害者に謝罪すべきだ」と強調した。(共同通信)【雑感】欅坂がハロウィンでナチス風の衣装を着た時、私は本来のハロウィンのコスプレ趣旨を考えたら妥当であると擁護した。というのも、悪霊に絡まれないために子供は悪霊の振りをするので、いわばナチス風は忌むべき悪霊扱いなのである。映画「ミケランジェロの暗号」で若いユダヤ人画商が生命の危機を乗り切るためナチス将校の振りをする場面と同様の理屈だ。
敢えて個人的見解を申せば、
BTSもナチス風セットでライブしたことがあるが批判はしないし、原爆Tシャツも不愉快ではあるが着るなとは言わん。
ただ、擁護論と合わせてなぜナチス風衣装が忌むべきものであるかも理解しているし、そういった批判が生じるのも無理からぬことであるのも承知している。なので批判行為を否定するつもりはない。
ナチス親衛隊の制服は非常に格好が良い。これはナチスファッションを称賛しているのではなく、画家志望でデザインに明るいヒトラーをはじめナチス指導者たちが大衆の憧れを煽るため綿密に計算されデザインされた制服なのでカッコいいと思ってしまうのは至極当然なのである。だからこそ、ナチズム復活を恐れるヨーロッパではお洒落で着るのもレッドカードなのだ。決して被害者の気持ちを酌んでといった感傷的な理由だけではない。
そしてヘビメタなど、悪や毒を強調するサブカルチャーではナチス風が好まれるのもある意味自然の摂理だ。やや左寄りのリベラル志向のYMOの面々でも1983年散開ライブでナチス風ともとれる衣装と舞台で演奏して、
BTSや欅坂ほどではないにしてもバッシングを受けた。(余談1)
もう一度言うが、ナチス風衣装に警戒するのは感情論だけではない。元々大衆からの憧憬を得るためにデザインされた制服ゆえカッコいいと思ってしまうのは当然で、だからこそ危うさをはらんでいるから目くじらを立てる。
なのでナチス風を否定する人々は、欅坂だろうが
BTSだろうが等しくバッシングの対象としなければいかんのだ。たとえ日帝の被害国韓国出身のアイドルであってもだ。
欅坂へのバッシングの時に気になっていたのだが、もし韓流アイドルがナチス風衣装を着たら同様に「注意」や「批判」ができるのか?と気がかりだったのだが、現状は極めて残念である。そして右派系にその問題を突っ込まれている状態だ。
もし、韓国出身のアイドルがナチスの制服を着用するのがOKならば、パレスチナ人が堂々とエルサレムでナチス親衛隊制服を着ても許されるというのか? 残念な言動の代表例を挙げよう。
津田大介氏「
BTS問題、Tシャツの趣味が良くないことは自明。あれ見た多くの日本人が怒るのも当然。しかし、それだけ原爆被害に対する思いがあるなら、ICANの取り組みを評価し、核兵器禁止条約に署名するよう現政権に物申し、広島や長崎の原水爆禁止運動を揶揄するようなことはやめて下さい。こちらからは以上です」
津田氏の見解と論は左派やリベラルの典型的な論調といえる。韓流アイドルを批判し辛い、渋々趣味の悪さを指摘するに留まり、なんとか批判の矛先を当事者BTSから逸らしてあげたい意思が丸見えである。もっとも、BTSへの批判を積極的に繰り出しているのが右派やネトウヨなので気持ちは解るが。
ただ、せめて「あのTシャツは確かに許されないし怒りを感じるが」と述べてから擁護論に入ってもらいたかった。「趣味が悪い」レベルに留めては欅坂ナチス風コスプレ批判との整合性は無い。彼の主義主張なら趣味の問題では済ませられないはずだ。
シュナムル氏「
普遍的な悪であるホロコーストや南京虐殺と比べると、原爆投下は正当化の材料を遥かに豊富に持っていて、それらにきちんと向き合って原爆非難の論理を組み立てるのは簡単じゃない。ましてや日本の侵略を擁護し南京虐殺を否認したりする口で原爆を非難しても、そんな倫理に微塵も普遍性はない」
津田氏の場合はまだ気持ちは解るのだが、このシュナムル氏に至っては「お前、大丈夫か?」と言いたくなってくる。後半の「日本の侵略を擁護し (中略) たりする口で原爆を批難しても、そんな倫理に微塵も普遍性はない」という理屈は判る。BTS批判を積極的にしている人々の多くにネトウヨと呼ばれてそうな人たちだから。
ただ、シュナムル氏は反核論者だったのではなかったのか? その口で日本を攻撃した核兵器の正当性は「豊富に」認めてしまうのか? 津田氏の 「趣味」の問題にすり替えた詭弁どころのレベルではない。破廉恥な支離滅裂さである。
また、こんな無茶苦茶な論を平気で展開し、注意や批判をする人たちに強弁を繰り返す人間にTwitterで1万人以上もフォロワーがついていることも奇怪である。
彼の主義主張を信用してフォロワーになった人たちには、せめて「BTSを弁護するあまりに勇み足の暴論をぶってしまいました。撤回します。すみません」と陳謝した方がいいと思う。
今のままでは、彼の論からは崇高な主義主張は見えてこない。日本憎し、ヲタク憎しの感情しか伝わってこない。
(余談1)83年暮れの散開コンサートではYMOの面々は演台をイメージしたセットで演奏し、周囲は黒のナチス風衣装を着用した白人モデルが親衛隊の如く侍り、舞台は赤を基調としとしたナチス風の旗を縦に垂らしていた。明らかにナチ党大会をイメージした構成である。
しかし当時はバッシングがあったとはいえ、現在の欅坂やBTSほどではなかった。左派やリベラルが非常に元気であった83年と違い現代ではファシズムの復活傾向にあるので焦りなのだろうか?
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