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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「メギド」 おバカになって愉快になろう〔34〕

メギド」 
欧州連合結成前夜に制作されたアメリカ映画


メギド

【原題】Megiddo: The Omega Code 2
【英題】
【公開年】2001年  【制作国】亜米利加   
【時間】106分
【監督】ブライアン・トレンチャード=スミス
【制作】
【原案】ステファン・ブリン ホリス・バートン
【音楽】ピーター・バーンスタイン
【脚本】ジョン・ファサーノ ステファン・ブリン
【言語】イングランド語
【出演】マイケル・ヨーク(ストーン・アレクサンダー)  マイケル・ビーン(デイビッド・アレクサンダー)  ダイアン・ヴェノーラ(ガブリエラ・フランシーニ)  R・リー・アーメイ(リチャード・ベンソン大統領)  デヴィッド・ヘディソン(ダニエル・アレクサンダー)  マイケル・ポール・チャン(中国の首相)  フランコ・ネロ(フランシーニ校長)            

【成分】スペクタクル パニック 勇敢 オカルト ハルマゲドン  

【特徴】欧州連合成立前夜、アメリカで制作された欧州連合を暗に皮肉る壮大なオカルトスペクタクル。

 マイケル・ビーンR・リー・アーメイデヴィッド・ヘディソンなど、日本のアメリカ映画ファンに知られた重量級の名前が並ぶ。

【効能】アメリカ大統領が如何に強大な権力者であるかが判る。制作当時のアメリカの仮想敵国が露わ。

【副作用】B級を壮大なスペクタクルに無理矢理したような奇妙な感覚に襲われる。政治的背景を知ると茶番感が強烈。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
米国の壮大なジャンクフード的茶番劇。

 全米で人気があった映画で、好意的に一言で形容するなら、永井豪氏がむかし描いていたオカルト短編に近い雰囲気だ。しかし、壮大さと構成力の素晴らしさとキャラクターの存在感は永井豪氏の漫画のほうが優れている。

 「メギド」といえば、ハルマゲドン物・終末モノが大好きな映画ファンや漫画ファンには馴染みのある単語である。(余談1)作品内容も察しの通りである。
 アメリカの実業家を父にもつ少年は屈折した心根をもっていて、悪魔と同化し「オーメン」のように着々と地位を築き、欧州連合の幹部職員を経て欧州の「総統」に就任、アフリカ諸国をはじめ次々と連合に加盟させて世界連合の総統として君臨するようになる。
 一方、その弟は正義感のある素直な大人へと育ち、アメリカ大統領の側近を経て大統領に就任、世界制覇を企てる世界連合総統の兄と対決していく。悪魔の兄はマイケル=ヨーク氏が、正義の弟は「ターミネーター」でストイックな戦士を演じたマイケル=ビーン氏が扮する。

 作品としては大味な展開であり、世界を二分する壮大な政治映画・最終戦争を100分強にまとめているので、脚本にやや急ぎすぎている点があり台詞回しに稚拙な部分がある。いい俳優を使っているのに勿体無い。また、欧州らしさをイメージしたセットや衣装もイマイチ安っぽさがあって、まるでTVドラマ「スパイ大作戦」に登場するヨーロッパの何処かの国のようだった。
 なにより、アメリカらしいのは主人公が支配する悪魔の帝国と化した欧州連合にロシアをはじめ世界の殆どの国が傘下に入り、抵抗する正義の国はアメリカと中国の2国だけという。実にヤンキーらしい単純かつ幼稚な発想にまかせた露骨で解り易い設定だ。(余談2)

 ともあれ、面白いと感じた点が無かったわけではない。
 まず、悪の総統である兄が対抗勢力の大統領となった弟をなかなか殺そうとはしなかった点。「オーメン」のダミアンは2作目で従わない親友を魔力で殺してしまうが、この兄はアメリカの内部の政局を動かして大統領を失脚させようとする穏健戦略。この兄とて魔力があり、握手しただけで相手を心臓発作させてしまうのだが弟にはしなかった。側近の司祭が暗殺を進言したにも関わらずである。弟を殺したくない、という微かに残った人間性とも解釈できるが、有能な悪はむやみやたらに人は殺さないものである。
 一方、アメリカの世論も議会も兄に牛耳られ、司法省が大統領の逮捕状を出してFBIがホワイトハウスに乗り込むとき、大統領補佐官をはじめ官邸スタッフは寝返ることなく弟に付き従い、シークレットサービスは大統領の盾となってFBIと銃撃戦を展開する。その間に大統領はヘリで脱出し地中海に展開中の第6艦隊の旗艦空母に乗り込み、アメリカ軍最高司令官として直接闘いを挑む。最高司令官という仕事はアメリカ合衆国大統領の根幹だというのがよく判る。

(余談1)あくまで聖書の解釈の仕方の1つだが、キリストの軍隊とサタンの軍隊が最終決戦を行なう地とされ、ノストラダムスをはじめキリスト系の様々な終末論に登場する。日本のオカルト趣味の作品にも頻繁に登場。
 この地は、キリスト教が起こる遥か以前から交易の重要拠点だった。里中満智子氏の漫画「海のオーロラ」にも出てきたかな? 現在のイスラエルあたりにあった都市国家がメギドで、「海のオーロラ」の重要人物エジプト王トトメス三世が軍勢を率いてメギドまで出張った事がある。
 
(余談2)制作時はまだクリントン政権だったと思う。クリントン夫妻は親中派で中国系財界との友好関係がある。また、この頃の欧州連合はアメリカのドルに対抗でき得るEU統一通貨ユーロ導入を決めている。この映画はタイミングからいっても明らかに悪質なあて付けだ。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作



 
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