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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「将軍たちの夜」 知的興奮を楽しもう〔2〕

将軍たちの夜」 
ピーター・オトゥール氏の本領発揮。

 

 
【原題】THE NIGHT OF THE GENERALS
【公開年】1966年  【制作国】亜米利加  【時間】149分  
【監督】アナトール・リトヴァク
【原作】ハンス・ヘルムート・カースト
【音楽】モーリス・ジャール
【脚本】ジョセフ・ケッセル ポール・デーン
【言語】イングランド語
【出演】ピーター・オトゥール(タンツ中将)  オマー・シャリフ(グラウ中佐)  トム・コートネイ(クルト・ハルトマン伍長)  フィリップ・ノワレ(モラン警部)  クリストファー・プラマー(エルヴィン・ロンメル元帥)  ジョアンナ・ペティット(-)  ジュリエット・グレコ(-)  ドナルド・プレザンス(クラウス・カーレンベルク少将)  コーラル・ブラウン(-)  ニコール・クールセル(-)  ハリー・アンドリュース(-)  ゴードン・ジャクソン(エンゲル)    
    
【成分】ゴージャス パニック 不気味 知的 性倒錯 かっこいい ヒトラー暗殺計画 第二次大戦 ナチスドイツ 1942年 ワルシャワ 1944年 パリ 
       
【特徴】耽美な性的倒錯者を演じさせたらピーター・オトゥールの右に出る者なし。ドイツ国防軍や親衛隊の軍服がこれまたよく似合う。
 「アラビアのロレンス」で共演したアラブの名優オマー・シャリフがドイツ軍少佐役で登場、刑事コロンボのごとく飄々とした物腰を装ってピーター・オトゥールを鋭く追い詰める様が格好良い。
  
【効能】知的雰囲気と耽美と軍服美に萌え。
 
【副作用】ドイツ軍=性的異常者の偏見を植え付ける可能性がある。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
アラブの名優
オマー・シャリフがドイツ軍少佐役

 
 ナチス・ドイツ併合下のポーランドの首都ワルシャワで娼婦が殺害される事件が発生する。目撃者の証言によると犯人は顔は見えなかったがドイツ軍将校の軍服を着ており、ズボンには将官を示す縦線があることが確認された。治安をあずかるドイツ軍のオマー・シャリフ氏扮するグラウ少佐はポーランド駐在の将軍3人を容疑者に絞り、中でも最年少で将官になったタンツ将軍に注目する。このタンツをピーター・オトゥール氏が扮する。
 
 オマー・シャリフ氏とピーター・オトゥール氏は、多くの映画ファンが御存知のように大作「アラビアのロレンス」で共演している。今回は2人ともアラブの民族衣装からドイツ軍の軍服に着替えての出演だ。それにしても、金髪碧眼のイメージがあるP・オトール氏がドイツ人の役というのは自然だが、アラブ人のオマー・シャリフ氏がドイツ人というのは思い切ったキャスティングだが、違和感は全く無い。(余談1)

 第二次大戦下のポーランドやフランスが舞台なので戦争映画と思われそうだが、これはミステリーである。しかも「土曜ワイド劇場」などのサスペンス物に慣れ親しんでいる方ならば、犯人が未だ不明でも俳優や役柄で犯人の目星がついてしまう内容だ。(余談2)
 むしろ、二面性のあるタンツ将軍ぶりを好演するP=オトール氏を鑑賞するための映画といっても良い。昼間の顔は折り目正しくてクールに作戦を完遂していく若きエリート将軍で、夜の顔では神経症で倒錯した表情を浮かべる危うそうな人物だ。こういった人物は現実社会にもいそうで、ニュースでしばしば報道される「真面目で仕事熱心な人が・・」「あの大学教授が・・」「高級官僚の破廉恥な・・」などに通ずる。平素は自分を偽り無理をして角張った生活をし、タガがはずれると鬱積したものが歪な形で吹き出すという人間の性。失礼な言い方だが、オトゥール氏はそういった役がよくはまるし巧い。(余談3)

 人物相関も良い対立の図式となっている。折り目正しいタンツ将軍以外にも些か人間臭い将軍が容疑者に上がっているが、こちらのほうは「良心」からヒトラー暗殺計画に加担する。つまり制作者はタンツとは正反対のキャラを対立軸として演出している。
 そのタンツを追うグラウ少佐は、1つの任務に忠実な職人軍人というキャラだ。ポーランドで発生した殺人事件を担当しながらも、解決できないままフランスへ転属となる。後にタンツもフランスに赴任し、新たにフランスでも発生した女性殺しをめぐって中佐となったグラウは対決する。このグラウという人物はナチスドイツの大量殺戮にも関心は無く、ヒトラー暗殺事件発生時でもどこ吹く風でタンツを追いかける。そんな「刑事バカ」のグラウ中佐に、パリ市警モランは親近感を抱き敵味方を超えた仲間意識と友情を感じる。
 そしてタンツの異常ぶりを目撃するのは、平凡で生真面目が取柄の将軍付伍長役トム・コートネイ氏。物語中盤は、彼の視点でタンツの私生活が表現され、ラストのキーマンになる。(余談4)

 解釈の仕様によっては、ナチスドイツの異常性の一片を描いたものと言えるが、私は単純にP・オトール氏扮するエリートの倒錯した感情を軸にしたミステリー物だと思っている。「土曜ワイド劇場」などでもしばしば取り上げられるネタだ。ただ映画としてはドイツ軍を舞台にしたほうがスタイリッシュで派手だし、ヒトラー暗殺事件を絡めたほうが劇的になるので、興行が期待できるとふんだのではないか、私が制作者ならそのように考える。

(余談1)記憶違いかもしれないが、P・オトール氏の髪はもともと茶色だったと思う。
 グラウ少佐役のシャリフ氏は、表情が刑事の役をしている寺田農氏の雰囲気だった。

(余談2)ミステリーとサスペンスの違いは、通常は犯人が不明で読者も考えながら読むのがミステリーで、最初から犯人が明らかで犯人が追い詰められていく或いは逃げ切る経緯をハラハラしながら楽しむのがサスペンスだと私は思う。

(余談3)漫画同人誌業界で、制服マニアの女の子たちがP・オトール氏のタンツをモデルにした漫画を描いているのをよく見かける。

(余談4)タンツが背広姿の伍長のネクタイを解き襟を開け、認識票を地面に放り投げる場面がある。初めて観たとき、ドイツ軍の認識票はでかくて丸いことに感心した。鬱陶しくなかったのかな、アメリカ軍のほうが肌ストレスが無いような感じがする。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作





 
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コメント

かなり昔観ました。
改造タイガー戦車が出ていたような記憶があります。戦後のシーンでナチス戦友会が開催されていたような・・・・

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