FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「素晴らしき日曜日」 カップルで癒されたい時に〔8〕

素晴らしき日曜日」 
平凡なカップルの波乱万丈の一日。

 

 
【原題】
【公開年】1947年  【制作国】日本国  【時間】108分  【監督】黒澤明
【原作】
【音楽】服部正
【脚本】植草圭之助
【出演】沼崎勲(雄造)  中北千枝子(昌子)  渡辺篤(与太者)  中村是好(饅頭屋)  内海突破(街頭写真屋)  並木一路(街頭写真屋)  菅井一郎(闇屋風の男)  小林十九二(アパートの受付の男)  水谷史朗(浮浪児)  日高あぐり(ダンサー)  有山緑(闇屋の連れの女)  堺左千夫(闇切符売り)  河崎堅男(ペーカリーの親爺)  森敏(アパートの主人)
    
【成分】泣ける 笑える 楽しい ファンタジー ロマンチック 切ない かわいい コミカル ラブコメ 1940年代後半 東京
         
【特徴】黒澤明監督が放つ癒し系ラブストーリー。廃墟が残る東京が舞台だが、終戦直後に撮影されたので当時はタイムリーでありふれた若者が主人公だ。だから今(2009年)リメイクするとしたら、無理に終戦直後に舞台を設定する必要はない。派遣切りで仕事と家を失った若い男女を主人公にすれば佳作になるかもしれない。
 何をやってもうまくいかない、そんな貧乏カップルのささやかな明るい未来を暗示する物語に癒される。
  
【効能】タイトルとは裏腹にツイていない日曜日、そんな日常からでも幸せを見出そうとするカップルに元気づけられる。
 
【副作用】ラストの場面は、クサイ演出と認識して些か背筋が痒くなるかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ささやかな明るい未来。
 
 公開は敗戦直後の1947年。だから作中に写っている焼け跡や廃墟のある東京の街並みはセットではない。当時の東京でロケが行われた。歴史的にも貴重な映像である。

 主人公は貧しくて若いカップルだった。駅前で少しくたびれた背広にオーバーコート姿の若い男が待っている。当時の感覚からいうと、そろそろ散髪しなければならない程度に髪が伸びている。暫くして他所行きの少し改まった服にトレンチコートを着た若い女性(余談1)がやってくる。雰囲気からして2人は所帯を持つことを前提に付き合っているようだ。2人は精一杯めかしこんで久しぶりに日曜日の楽しいデートを楽しもうとしているのがよく伝わる。持ち金は僅か35円。現在の感覚でいうと2・3千円くらいだろうか? もっと少ないのだろうか?

 ただでさえジリ貧なのに、デート20回くらい重ねないと体験しないような災難を一度に経験する。宝くじは外れる。子供らに混じって野球すれば打球が露店を直撃して弁償させられる。昔の友達を頼って行けばけんもほろろにあしらわれる。コンサートへ行こうとすればチケットはダフ屋に買い占められ、抗議すれば返り討ちにされる。寒い日なのに雨が降る。これでもかというほどついていない日曜日である。しかも男にとっては、恋人の前で格好の悪い姿を見せっぱなしで立つ瀬が無い。

 陰鬱な雰囲気のまま2人は男の下宿にたどり着く。下宿までついてきてくれた女を見て男はしがみつくように抱きつく。女は一度は拒んで出て行くが意を決して男の部屋に戻りコートを脱ぐが、泣き出してしまう。女の涙で我にかえった男は陰鬱にふさぎこんでいた自分を恥じる。
 雨がやみ、2人はもう一度明るくデートを仕切りなおす。将来開店させたい音楽喫茶の構想を楽しそうに話し合う。そして木枯らしが吹く誰も居ない野外劇場で、男は外套とジャケットを脱いでワイシャツ姿になり、空想の楽団の指揮者になったつもりでタクトを振る。女はカメラに向かって切実に拍手を求める。(余談2)

 きっと、2人はこのあと幸せになったんだろうな、と思いたいラストだった。当時も今もカップルは同じだと思いたい。生活の厳しさは当時のほうが凄まじいだろうが、現在は別の意味で混沌として明るい展望を抱きにくい世相である。(余談3)
 それにしても、前年の「わが青春に悔いなし」といい、黒澤監督が当時手掛けたヒロインは前向きで強い。

(余談1)役名わすれてしまった。
 ヒロインは日生のオバちゃんの若かりし頃?

(余談2)有名な場面である。映画を観ている視聴者に向かって拍手を求める新機軸だ。主人公と観客の思いを共有する演出のようだが、日本ではウケなかったらしい。黒澤監督談によると、フランスでは万雷の拍手喝采だったそうだ。
 この場面で、思い出すのは永島慎二氏の短編漫画集「漫画家残酷物語」のエピソードだ。漫画家への夢破れた青年が、たまたまジャズ喫茶で知り合った少女ととりとめのない話をしながら街を一晩中歩き通し、最後は河川敷の土手で2人並んで眠りこけて朝を迎える場面で終わる。

(余談3)私も銭が無かったので、連れ合いと知り合ったばかりのデートは無理して外食していたが、結婚を前提とした付き合いになると、連れ合いがつくってくれた弁当を持って、金剛山を登ったり、連れ合いの親戚の梅畑で花見をしたりした。傑作だったのは真冬のキャンプだった。手をかじかみながら鮭の酒糟汁をつくったのが楽しい。いま冬のキャンプ誘っても、連れ合いは二度と行かんと、けんもほろろだ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

   
晴雨堂関連書籍案内

 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://seiudomichael.blog103.fc2.com/tb.php/358-9ccdd07d

 | HOME | 

文字サイズの変更

映画処方箋一覧

晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。

下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。

メールフォーム

晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター

2007年10月29日設置

当ブログ注目記事ランキング

当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。

設置2013年6月13日

ブログランキング

下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。

  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
映画
155位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
79位
アクセスランキングを見る>>

タグランキング

晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。

訪問者閲覧記事

最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

ブログ内検索

晴雨堂ミカエルのtwitter

最近、ようやくツイッターの使い方が解ってきた。

FC2各種サービス

アフィリエイト・SEO対策

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ

晴雨堂お薦めツール 

   

提携サイト・・旅行

現在、工事中。

提携サイト・・映画・アニメ

提携サイト・・書店

 

提携サイト・・アウトドア

登山・旅行・チャリンコなど、関連グッズ販売のサイトを紹介します。

   

提携サイト・・健康用品

提携サイト・・雑貨

提携サイト・・和装

和服姿になれば、気分は時代劇ヒーロー・ヒロイン。

晴雨堂お薦めスタンダード麦酒

晴雨堂が薦める比較的手に入り易い麦酒です。

晴雨堂から、お知らせと呟き

諸君!また一年、生き残りましょうぞ!

ミカエル晴雨堂提携サイト案内

   

designed by たけやん