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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「明日よさらば」 社会を冷笑したい時に〔22〕 

明日よさらば」 
刑事コロンボがマフィアに扮している。

 
 (未ソフト化)

【原題】GLI INTOCCABILI
【公開年】1969年  【制作国】伊太利  【時間】119分  
【監督】ジュリアーノ・モンタルド
【原作】
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【脚本】ジュリアーノ・モンタルド ミーノ・ローリ
【言語】イタリア語
【出演】ジョン・カサヴェテス(ハンク・マッケイン)  ブリット・エクランド(アイリーン)  ピーター・フォーク(チャーリー・アダモ)  ガブリエル・フェルゼッティ(ドン・フランシスコ)  ジーナ・ローランズ(ローズマリー・スコット)  フロリンダ・ボルカン(ジョニー・アダモ)
    
【成分】ゴージャス パニック 勇敢 切ない かっこいい ギャング 
  
【特徴】刑事コロンボピーター・フォーク氏がマフィアのボスを演じている。ちょっとバイオレンスなピーター・フォークが観られる。
 ジョン・カサヴェテス氏との共演、かなり名作との評判が高いのだが、刑事コロンボのイメージで子供の頃から親しんできたせいか、私は違和感があって素直に作品を楽しめなかった。
 音楽は巨匠エンニオ・モリコーネ氏が担当。
  
【効能】組織の上下関係の悲哀が描かれている。仕事でちょっと成功したからといって浮かれていると痛い目にあう、そんな用心を促す効果がある。
 
【副作用】恐いピーター・フォーク。引くかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
コロンボ刑事が
凶暴なマフィアを演じるのは嫌だな。

 
 いわゆるギャング物・マフィア物である。刑事コロンボのとぼけていて親しみのある飄々としたイメージが強いせいか、悪役をするピーター・フォーク氏に違和感がある。(余談1)
 ここでのピーター・フォーク氏はマフィアの中堅若手のボスで組織全体を支配するドンに才覚を認められてラスベガスのカジノ経営を任されている立場だ。主人公は刑務所を出たばかりの伝説の強盗犯、その息子がまだ背広姿がぎこちない20歳前後の若者でピーター・フォーク氏に取り入り、父親を利用してマフィア内で出世しようと夢を見る。ピーター・フォーク氏も伝説の強盗犯を利用して更なる勢力拡大の野望を抱いていた。

 さて、いま一つよくわからないが、途中でピーター・フォーク氏の目論見が崩れてしまう。主人公の保釈金を捻出するのに、自分の管理下にあるカジノを主人公に襲わせて保釈金をくれてやるという、なんだかよく筋が呑みこめ難い計画だった。おそらく、ボスとはいっても独立した組織はまだ任せてもらってなく、組織の一部署に過ぎなかったのだろう。ポケットマネーから主人公に保釈金やギャラを払える余裕はなく、主人公に手を汚させて金をやる段取りだったのか。それがファミリーのドンにばれたのか、待ったがかかってしまう。

 この作品の醍醐味はマフィアの上下関係の悲哀だ。おそらくピーター・フォーク氏扮する中堅ボスは風を切る勢いで出世して、自身も組織への貢献度は誰にも負けないと自負していたのだろう。ドンから苦言されて思わず「俺が組織を大きくしたんだ!」という趣旨の身のほど知らずの暴言を吐き、ドンの不興をかって立場が急速に悪くなる。我にかえって謝り倒すが後の祭りだ。頭を冷やせば、所詮は駆け出しのリーダーに過ぎないことを思い知らされる場面である。
 そして、主人公の息子の立場も一気に悪くなる。主人公はカジノ襲撃のため潜伏して息子にも居場所を知らせていない。カジノが襲撃されると中堅ボスはドンからの制裁を受ける。息子は伝説の強盗犯の息子となので中堅ボスに面倒を見てもらい、周囲からチヤホヤされて、まるで新進気鋭の若手リーダーとして頭角を表したかのように錯覚していたのだろう。主人公の居場所がわからずイライラする中堅ボスの肩に馴れ馴れしく手をかけ「もうすぐ連絡がきますよ」と笑いかけた。中堅ボスはカチンときて息子をボコボコに殴りまくる。この姿に刑事コロンボの面影は無い。当たり前の話だが。
 血相変えて殴りまくる中堅ボスに、周りの側近たちは「おい、どうしたんだよ。子供にむかって」となだめる。主人公の息子は、まだ自分は子供扱いだったことを思い知らされてしまう場面だ。手下たちも一転して子供扱いする態度を隠さなくなった。もはや組織の一員ではなく人質の身分である。

 状況を把握した主人公は息子が心配になり呼び出す。息子には中堅ボス配下の刺客が同行していた。銃撃戦の末に息子は即死し、主人公は復讐のためカジノ襲撃を決行、今度は中堅ボスが責任をとらされ地下駐車場で銃殺刑にされる。主人公は組織全体を敵にまわすことになり、逃げおおせられず凶弾に倒れる。アンハッピーなラストだ。
 
 この作品の魅力は主人公ではない。たぶん、ピーター・フォーク氏が無名でも、この中堅ボスと主人公の息子の悲哀は印象に残る。因みに音楽は大家エンリエ・モリコーネ氏だ。

(余談1)既に2年ほど前「刑事コロンボ・殺人処方箋」でコロンボを演じていたが、この「殺人処方箋」はシリーズ化される前のパイロット版といってもよく、キャラが定着する前のコロンボなので身なりは整っていて鋭く容赦なく容疑者を追い込むので全体にシャープな感じがする。
 この映画ではイタリアン・マフィアのボス、コロンボもイタリア系。だからてっきりピーター・フォーク氏自身もイタリア系アメリカ人と思っていたら、実はロシア系だった。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 名作
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


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