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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「コンバット!丘を血に染めて」 ストレス解消活劇〔30〕 

コンバット!丘を血に染めて」 
TV戦争ドラマの金字塔。

 

 
【原題】COMBAT!: HILLS ARE FOR HEROES
【公開年】1966年  【制作国】亜米利加  【時間】90分  
【監督】ヴィク・モロー
【原作】
【音楽】レナード・ローゼンマン
【脚本】ジーン・L・クーン
【言語】イングランド語 一部ドイツ語
【出演】ヴィク・モロー(チップ・サンダース軍曹)  リック・ジェイソン(ギル・ヘンリー少尉)  ジャック・ホーガン(ウィリアム・G・カービー)  ピエール・ジャベール(ケリー)  ディック・ピーボディ(リトルジョン)  コンラン・カーター(ドク)  ポール・カー(-)  ジョセフ・ウォルシュ(-)  マイケル・フォレスト(-)
  
【成分】悲しい スペクタクル パニック 恐怖 勇敢 絶望的 切ない かっこいい 第二次大戦 1944年 フランス 英語 独語 白黒映画  
                     
【特徴】戦争ドラマの金字塔。60年代70年代の男子小学生たちはこれを観て戦争ごっこをした。ドイツ兵はドイツ語を、フランス人はフランス語を話すよう台詞にも凝っていた。
 元ゼロ戦パイロットの坂井三郎氏は、このドラマを観てアメリカ軍の風通しの良さに感銘を受け、改めて旧日本軍の体質に憤った。

 本作は主人公サンダース軍曹役で有名なヴィク・モロー氏が監督を担当したエピソードを映画用に編集。TVシリーズを通じて本エピソードは評価が高い。ヴィク・モロー氏が監督をやっていたためなのか、作中のサンダース軍曹は負傷して前線にはあまり出ず、ヘンリー少尉が陣頭指揮を執っている。
    
【効能】戦争の無常さ、理不尽さ、上層部の非情さを痛感。
 
【副作用】本作は戦争を批判的に描写しているが、シリーズ自体はアメリカ軍を善玉に描いているため、戦争に対して誤った偏見を植え付ける可能性がある。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
TVシリーズ通じて評価が高いエピソード、
サンダース軍曹が監督!

  
 たぶん、「戦争モノ」という枠組みを外して単に「TVドラマ」としても、最も名が知られ人気のある作品だろうと思う。少し後に放送された「スタートレック」では10代後半から30代に人気があったのに対し、この「コンバット!」は幅広い年齢層で支持されていたからだ。1962年に始まり5年間放送された。日本でも主に40代の男性なら子供の頃に「コンバット!」を真似て戦争ゴッコをした経験のある人は少なくないだろう。

 舞台は第二次大戦下のフランス、1944年のノルマンディー上陸作戦から物語が始まり、最前線で行軍を続けるアメリカ軍の一個分隊を指揮するヘンリー少尉リック・ジェイソン)とサンダース軍曹ヴィク・モロー)の2人を主人公に、前線で命のやり取りをする兵士たちの視点で戦争の過酷さ虚しさや人間模様を描いている。(余談1)
 この物語の特徴は、アメリカ兵とドイツ兵をイーブンで描こうと努力しているあとがある。また、基本的にドイツ兵は独語、フランス人は仏語を話すよう台詞も凝っていた。私が初めて独語と仏語を聞いたのはこの「コンバット!」だった。(余談2)

 さて、この映画はTVドラマの中でも完成度が高いエピソードを映画化している。前編後編に分かれて放送されていたのを一つに編集しなおしたものだ。
 ハリウッドの戦争映画にありがちな演出として、敵兵がわざわざ撃たれる為に突進していく安易な描写がある。まるでボーリングのピンのように突っ立ってアメリカ軍の砲撃や銃撃を喜々として受けるという実際にはあり得ない光景もある。この「コンバット!」もそんな描写のオンパレードなのだが、この映画化されたエピソードは歩兵の肉弾戦の厳しさ激しさが比較的忠実に出ている。
 特に倒れる兵士の視線なのか、カメラがスローモーションで大きく傾き地面へ落ちていくアングルで映し出された駆け寄ろうとする戦友の悲痛な表情はドラマらしからぬ迫力映像だ。

 昔から城を攻撃する場合は篭城する兵より5倍から10倍の兵力が必要とされている。ところがハリウッド製はそれを無視することが多々ある。
 この作品については、10人弱程度の分隊規模のドイツ兵が守る機銃陣地をヘンリー少尉らは20人ほどの一個小隊弱の兵力で落とすよう命令され大苦戦する。いかに無茶な命令なのかがよく描写されており、予想通り味方はバタバタと倒れていく。少尉は戦車の支援を要請し、一台が応援にやってくるが、戦車兵がなぜか中から身を乗り出して敵の銃機関銃の餌食になってしまう。
 結局、歩兵だけで何とかトーチカを落とすのだが、サンダース軍曹は負傷して佳境には出演せず、部隊の半数以上を失いゲストスター1人といつものレギュラーしか残っていない。しかも無情にも作戦が変更され、せっかく落とした陣地を放棄しなければならない。兵士たちのこの虚無感と脱力感と無情感が漂うラストは作品を佳作に押し上げる。

(余談1)他にレギュラー出演者として以下の面々。
カービー・元兵長で、ある事情で降格。軍曹に代わって指揮する時がある。粗暴で反抗的なところがある。

ケリー・原版ではケイジ。フランス領だった歴史があるルイジアナ州出身。フランス系住民をケイジャンと呼称するので、ニックネームか? 仏語ができるので作中でも頻繁に通訳をする。現在でもルイジアナ州は英仏を公用語としている。仏語を母語とする人口は減少傾向だが教育は熱心だ。

リトルジョン・分隊内で最も大柄な兵士。ノンビリとした性格。

ビリー・最も年少らしき兵士。リトルジョンの弟分。

ドク・前半のレギュラー衛生兵。生真面目な二枚目。

カーター・後半のレギュラー衛生兵。生真面目だがひょうきんさがある。

 ヘンリー少尉以下全員20歳代の設定だが、ビリー以外は全員老けている。
 元ゼロ戦パイロット坂井三郎氏はアメリカ軍の良い点が描写されたドラマとして評価し、「だから日本は駄目なのだ」と扱き下ろしている。

(余談2)ただ、独語や仏語を話せる俳優に限りがあるのか、シリーズを通じ同じ人が役柄を変えて何度も出演している。ドイツ兵役だった人が軍曹になったり少尉になったりと。

 突込みどころとしてはこれも無数にあるが、代表的なのはサンダース軍曹がヘルメットにつけた迷彩ヘルメット、あれはあり得ない。
 ヘンリー少尉は第1話で一等軍曹の袖章をつけていたのに、いきなり少尉になっている。
 ドイツ軍の装備も第一次大戦時のものが使われている。ドイツ兵の肩章には廃止されているはずの連隊番号が縫い付けてある。

 あと、長期連続ドラマにはありがちだが、登場人物の性格設定がぶれる。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔
 
 
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