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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「鉄砲伝来記」 カップルで泣きたい時に〔17〕 

鉄砲伝来記」 蝶蝶夫人の戦国時代版。
 
(未ソフト化)

【原題】
【公開年】1968年  【制作国】日本国  【時間】108分  【監督】森一生
【原案】高野悦子
【音楽】林光
【脚本】長谷川公之
【出演】リック・ジェイソン(ピントオ)  若尾文子(若狭)  藤村志保(お種)  藤巻潤(織田信長)  東野英治郎(八板金兵衛)  小池朝雄(橘屋又三郎)  中谷一郎(作次)  戸浦六宏(五峰)  五味龍太郎(織部丞時貫)  内藤武敏(種子島時尭)  水原浩一(重臣)  伊達三郎(脇田徳之進)  木村玄(徳三)
   
【成分】泣ける 悲しい ロマンチック 勇敢 切ない かっこいい 時代劇 戦国時代
種子島 16世紀前半~中頃
                         
【特徴】コンバット!」の二枚目小隊長ヘンリー少尉役で有名なリック・ジェイソン氏と日本の正統派美女若尾文子が共演した貴重映画。
 物語の大筋は鉄砲が種子島に伝来した伝説を基にした喋喋夫人のパロディである。
    
【効能】二枚目リック・ジェイソン氏の純情さと若尾文子氏の美しさに癒される。
 
【副作用】史実デタラメ、時代考証にこだわる人には噴飯モノ。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。   
コンバット!」の
ヘンリー少尉が時代劇に主演!

 
 史実として随分デタラメな感はあるが、物語自体は種子島に鉄砲が伝来した当時の様子を記した「鉄炮記」を基にしている。(余談1)映画で登場する人物もこの歴史書に概ね記されている。世間一般の解釈では、鉄砲と引き換えに島の美女がポルトガル人の洋妾(らしゃめん)になったとされているようだが、映画では美しい恋愛モノに構成されていて展開は「蝶々夫人」に似ている。(余談2)

 ポルトガル人役はあの「コンバット!」でヘンリー少尉役で有名なリック・ジェイソン氏。16世紀の戦国時代なので南蛮服に長髪だ。名前はピントオだったか、蝶蝶夫人に登場するピンカートンに似ている。ピントオに恋する島の美女若狭に扮するのは、今では黒川紀章氏(余談3)の妻で知られている若尾文子氏だ。他に鉄砲生産に挑戦する刀鍛冶役に初代水戸黄門の東野英治郎氏、鉄砲を盗む小賢しい堺商人役に刑事コロンボの声で有名な小池朝雄氏が扮している。

 「蝶々夫人」と異なるのは、ピントオは若狭一途、ヘンリー少尉のイメージを壊さずゲイリー・クーパーばりの二枚目好青年で、いったんはポルトガルに帰るが再び迎えにやってくるのである。しかし若狭は亡くなっていた。ピントオは泣き崩れ、忘れ形見の子供を引き取りポルトガルへ帰って行く。

 リック・ジェイソン氏は「コンバット!」以後は悪役をするほうが多いような感がするが、日本では「人間の証明」や「小説吉田学校」などで結構おいしい役に扮している。日本の「コンバット!」人気は絶大だったことをあらわしているのかもしれない。

(余談1)但し、17世紀の慶長年間に記されているので、資料的価値に疑問がある。内容は領主の種子島家は中国人船員の筆談を介してポルトガル人と交渉して鉄砲を手に入れたとあるが、むかしNHKの特番では全く違う光景を紹介していた。
 そもそも種子島に伝来して日本各地に広まったとするよりも、ほぼ同じ時期に様々なルートから鉄砲が伝わったとする説が有力になっている。

(余談2)明治の日本を舞台にした恋愛悲劇のオペラで、没落士族の令嬢蝶々とアメリカ海軍士官ピンカートンの恋愛悲劇である。2人は長崎で結婚するが、軍の命令でピンカートンはアメリカに帰国する。蝶々は孤独で不安な日々をおくるが、ピンカートンは本国でアメリカ人女性と結婚してしまい、再会したときにその事実を知った蝶々は自刃する。
 この「蝶々夫人」をもっと純愛路線(米国士官は重婚しない。日本女性に一途)につくりかえたTVドラマが20年ほど前に放送されていて、海軍士官役に「ウエストサイド物語」のジョージ・チャキリス氏が扮していた。

(余談3)逝去されたようで、御冥福を祈ります。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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