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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「殺人魚フライングキラー」 おバカになって愉快になろう〔16〕 

殺人魚フライングキラー」 
傑作の始まり。
 
 

 
【原題】PIRANHA II: FLYING KILLERS
【公開年】1981年  【制作国】亜米利加 伊太利  【時間】95分  
【監督】ジェームズ・キャメロン
【原作】
【音楽】スティーヴ・パウダー
【脚本】H・A・ミルトン
【言語】イングランド語
【出演】トリシア・オニール(アン)  スティーヴ・マラチャック(タイラー)  ランス・ヘンリクセン(ステーヴ)  リッキー・G・ポール(クリス)  レスリー・グレイヴス(アリソン)
  
【成分】笑える パニック 不気味 恐怖 勇敢 セクシー かっこいい 魚 海洋冒険 ホラー ビキニ女性 
                
【特徴】当時、動物が大挙して人間を襲うパニック物が流行ったが、これもその1つ。B級映画の典型的な駄作なのだが、後のジェームズ・キャメロン監督の片鱗を感じさせる演出がある。
 個人的にはヨットで沿岸を放浪しながらコソ泥を続けるビキニ美女2人組に興味がある。
    
【効能】一応ホラーなのだが、恐怖や不安を楽しむよりも稚拙な描写と演出に俳優の真面目な演技の落差を笑って楽しむ方が得策。
 
【副作用】とにかく、世間一般のいう駄作なので、キャメロン監督のファンやB級マニアでもないかぎり、金と時間を無駄にした喪失感を味わうかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ビキニ美女のコソドロが気になる。
  
 ジェームズ・キャメロン監督のトラウマとなった作品である。有力な説として2つある。1つは低予算B級映画という厳しい制約の下で映画を創らざるを得ないうえに製作スタッフの段取りの悪さ(余談1)などが重なり、監督自身にとって極めて不本意なデキになった事。2つ目はスポンサーたちの意向によって大幅に脚本を強制変更させられた事。

 彼は現在でも当時のスポンサーたちを非難しているようなので、後者の理由が大だろう。この映画を監督したときはまだ27歳だ。大学を出てからSFの話題作で美術や特撮のスタッフをしながら脚本を書き続け、念願叶ってB級映画とはいえ僅か数年でメガホンを取る機会を得られたのだ。けっして悪い話ではない。
 名実ともに巨匠となった今では、低予算の稚拙な映画は忌むべき恥部よりもむしろ懐かしくて楽しい思い出になるはずだ。予算を湯水のごとく使った「タイタニック」の大監督も、下積みの青年時代は低予算で涙ぐましい映画を撮っていたのだから、普通は微笑ましい笑い話として監督自ら紹介しても良いくらいなのである。

 しかし、クリエイターにとって身を斬られるほど不本意なのは作品の大幅な改編である。しかも形式的な承諾すら許されず一方的に担当作品を書き換えられるのは、強姦されたかのような恥辱である。(余談2)この出来事で高熱を出して倒れ、病床で浮かんだ光景があの出世作「ターミネーター」につながるというのはヤフー解説でも述べられるほど超有名なエピソードだ。キャメロン監督は今もなおトラウマとして思い出したくないエピソードであることは想像に難くない。

 さて作品内容だが、B級のパニック物としては、そこそこお薦め場面はあると思う。スキューバーダイビングのカップルが海中の沈没船で子づくりを始めるのは、さすがはキャメロン監督、大学で海洋生物を学んだだけある。
 ビキニがよく似合う黒髪美女と金髪美女が2人でこそ泥しながらヨットの放浪航海をやっているのも興味深い。洋上のヨットで全裸の2人が妄想の世界に浸っているのは妖しげで面白い。
 殺人魚に喰い殺された遺体がとても低予算とは思えぬほどリアルで、剥き出しの骨や赤黒く固まった血液の具合も理に適っている。後の「ターミネーター」で皮膚や筋肉に覆われた金属骨格の描写などに応用されたのか?
 遺体の中で生き残っている殺人魚が腹を突き破って看護婦を襲う場面はなかなかの迫力だ。「エイリアン」的描写を試してみたのか?
 このように殺され役の方々は実に魅力的なのである。ホラーやパニック映画の魅力は、殺され役の魅力と劇的な殺され方が作品の価値を決めるので、世間の駄作評価はご尤もだが、巨匠の片鱗を覗わせる作品ではないだろうか。

 この映画を観て、私はイタリアのジョー・ダマト監督と比較してしまう。もしダマト監督なら、やはり同程度のパニック映画を撮る実力はあったろうし、下手したら殺人魚に殺される人々の描写はダマト監督のほうが巧いかもしれない。また、沈没船での子づくり場面も、レズビアンを臭わせる2人組のこそ泥ヨットウーマンも、遺体を管理する看護婦も、ダマト監督の手にかかったらもっと艶っぽく刺激的に撮るはずで、この手の作品が意図することに合致するかもしれない。
 だが、ダマト監督は生涯を場末のポルノで過ごしクズ映画監督と蔑まれ、キャメロン監督は2年後の「ターミネーター」で花形監督へと出世した。この「殺人魚・・」でのエピソードは、人生の分かれ道かもしれない。

(余談1)人に喰らいつくピラニアの模型が1体しか出来上がっておらず、「宇宙の七人」「ニューヨーク1997」で美術・特撮スタッフを担当していたキャメロン監督自らピラニアを徹夜で制作し4体つくりあげた涙ぐましい逸話がある。

(余談2)漫画家デビューした学生時代の友人は、描きかけの作品を見られるのは下着姿を見られるような感じで嫌だと言っていた。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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殺人魚フライングキラー「ターミネーター」シリーズ、「タイタニック」「エイリアン2」で後に名をはせる大監督ジェームズ・キャメロンの長編デビュー作が、このパニック・ムービーだ。一応、ジョー・ダンテ監督の動物パニック映画「ピラニア」の続編という扱いだが、全く...
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