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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

カップルで観に行こう 31 「感染列島」 

感染列島」 
新型インフル大流行前夜に公開された
タイムリー邦画。

 

 
【原題】
【公開年】2008年  【制作国】日本  【時間】138分  【監督】瀬々敬久
【原作】
【音楽】安川午朗
【脚本】瀬々敬久
【出演】妻夫木聡(松岡剛)  檀れい(小林栄子)  国仲涼子(三田多佳子)  田中裕二(三田英輔)  池脇千鶴(真鍋麻美)  カンニング竹山(鈴木浩介)  光石研(神倉章介)  キムラ緑子(池畑実和)  嶋田久作(立花修治)  金田明夫(高山良三)  正名僕蔵(田村道草)  ダンテ・カーヴァー(クラウス・デビッド)  小松彩夏(柏村杏子)  三浦アキフミ(小森幹夫)  夏緒(神倉茜)  太賀(本橋研一)  宮川一朗太(-)  馬渕英俚可(鈴木蘭子)  田山涼成(-)  三浦浩一(-)  武野功雄(-)  仁藤優子(-)  久ヶ沢徹(-)  佐藤恒治(-)  松本春姫(-)  山中敦史(-)  山中聡(-)  山本東(-)  吉川美代子(-)  山中秀樹(-)  下元史朗(-)  諏訪太朗(-)  梅田宏(-)  山梨ハナ(-)  佐藤浩市(安藤一馬)  藤竜也(仁志稔)
    
【成分】パニック 勇敢 知的 絶望的 切ない かっこいい パンデミック バイオハザード 終末的
  
【特徴】偶然なのか予言なのか? 新型インフルエンザが猛威を振るう2009年4月から遡って半年弱、2009年正月用に制作されたパニック映画。新型ウイルスが猛威を振るう日本列島で奔走する青年医師たちが描かれている。
 新型インフルエンザ蔓延をテーマにしたのは英断である。鳥インフル騒動以降、変異したウイルスが襲ってくるのは時間の問題という認識が定着しているとはいえ、映画化に着手した関係会社ならびにスタッフ・俳優の挑戦には敬意を表する。
  
【効能】まさにタイムリー邦画。インフルエンザ驚異について啓蒙効果がある。
 
【副作用】悪い意味でエンタメに走り過ぎ、ウイルスに誤った認識を植えつける恐れがある。医師たちに有り得ない行動や所作があり、リアリティが損なわれ不愉快。邦画の悪い部分が出てしまってガッカリ。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
そういえば、この映画はタイムリーだったな。
 
 2009年4月、メキシコで流行した豚インフルエンザが猛威を振るい、今日(4月29日)の段階で死者は150人を突破、感染者も千人単位。新型であることが確認され、既に世界中へ伝播されつつある状況を確認した世界保健機構はメキシコ封じ込めを断念、警戒ランクを引き上げた。これによって、日本の関係省庁も強力な権限を行使できるようになる。感染を疑われた人は安易に体調を「大丈夫」などと言えば、虚偽の申告で罰せられるので注意しよう。
 
 このニュースを聞いたとき、ふと思い浮かんだ映画が「復活の日」だった。生物兵器がインフルエンザを隠れ蓑に世界中で伝染し、人類は南極の基地職員を残して殆どが死滅するハルマゲドン的壮大な物語だった。
 この映画、今から観るとけっこう突っ込み所があるのだが、それ以上に「こんな邦画ばなれした力作だったんだ」と思う場面が多くて感動を新たにする。特に遺体の処理が間に合わず炎天下の市街地に放置されたままになり、それを自衛隊員が集め火炎放射器で焼いていく場面は凄かった。
 
 さて、今回の豚インフルを予見したともいえる作品は、70年代末に制作された「復活の日」ではなく、若手の妻夫木聡氏主演で2009年正月映画として公開された「感染列島」である。現在も地方の映画館では上映されていると思う。本来はタイムリーな作品として脚光を浴びるべき映画なのだが、何故か私はこの「感染列島」をなかなか連想しなかった。
 
 いま、大袈裟とも思える装備をつけ強い緊張感で検疫官が走り回っている。このニュース映像を見ると、映画に臨場感を感じなかった理由が判る。
 どう言ったら良いのか。欧米のパニック映画は素晴らしい臨場感がある。ところが邦画はイマイチだ。アメリカのパニック映画の佳作を日本語吹替で観た時も同じだ。ハリウッドの俳優は凄い演技をしているのに、吹替にすると「なにこれ?」と首を傾げるのだ。声優がステレオタイプの演技をするのでリアリティが無くなる。
 
 何度か作品レビューで指摘したが、日本の俳優たちはパニックや緊迫感を演じるのが苦手だ。大袈裟に劇的に演じすぎるので、逆にワザとらしく見えて白ける。俳優だけでない、スタッフにもいえる。映画的デフォルメして良いところと、絶対にやってはいけないリアルに表現しなければならないところがあるはずだ。草剛氏主演「日本沈没」のリメイクが好例だ。(余談1)

 予告編で、妻夫木聡氏と檀れい氏が雨にうたれながら議論している場面があるのを観て、非常に嫌な予感がしたものだ。激務で体力の消耗が激しい時にマスク無しで濡れ鼠、こんな演出は誰が考えたのだろうか? 俳優たちは反対しなかったのか? 誰も演出変更を意見できなかったのか?

 本編はそんな馬鹿げた場面がゴロゴロある。いや、オンパレードだ。妻夫木氏が演じるようなキャラが日本の医療を支えパンデミックを迎え撃とうとしているのであれば、日本は滅亡だ。劇的なラブロマンスの描写に視点が集中し過ぎてテーマとのバランスを崩している。この映画で何が言いたかったのか? 
 素晴らしい題材に目をつけ映画化したまでは良かったが、意義ある映画になったのに機会を活かせていない。
 
 この手の映画はリアリティが大事だ。残念だ。

(余談1)もちろん、俳優の場合はやむを得ない点も無くはない。表情豊かな欧米人と異なり起伏の少ない東アジア人の顔ではリアルに演じ過ぎると映画的には盛り上がりにかけるだろう。
 特に白人は大袈裟過ぎるほどわめく。本当にこんなにわめくのかな、と思うくらいだ。だが、戦場カメラマンとして名高いロバート・キャパ氏が日中戦争を取材した時に、顔や腕に包帯をまいた重傷の中国兵が平然と歩く様を見て驚いたそうだ。単に無表情で歩いているだけなのだが、キャパには平然に見えたのだろう。

 だが、高倉健氏の演技などは起伏が少ないし饒舌に台詞を並べる訳でもないから、工夫の問題だと思うのだが。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 

 
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