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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ドラゴン怒りの鉄拳」 自分に喝を入れたい時に〔21〕 

ドラゴン怒りの鉄拳」 
ブルース・リーの完成。

 
 

【原題】精武門
【英題】FIST OF FURY
【公開年】1971年  【制作国】英領香港  【時間】100分  
【監督】羅維
【言語】中国語 イングランド語 一部日本語  
【出演】李小龍(陳真)  苗可秀(霍麗児)  ロバート・ベイカー(ペトロフ)  ジェームズ・ティエン(ファン)  橋本力(鈴木寛)  ティエン・ファン(霍元甲)  ハン・インチェ(フェン)

【成分】泣ける 悲しい 勇敢 切ない かっこいい カンフー 日帝 中国上海 20世紀初頭

【特徴】上半身裸・黒のカンフーズボン・ヌンチャク・怪鳥音、ブルース・リーのキャラが確立した作品である。本作からブルース・リーも制作に関わるようになる。格闘場面ばかりのブルース・リー映画だが、本作は彼の俳優生活で唯一ラブシーンを撮ったものとしても有名。相手ヒロインは苗可秀氏。

 20世紀初頭の中国上海が舞台。実在の中国武術家不審死事件がモデルとなっている。ブルース・リーはその武術家の愛弟子の役。
 内容は師匠の仇討ちだが、政治的背景は日本敵視。しかしそれにも関わらず日本でも高く評価されて根強いファンがいる。私もその1人だ。
 本作にはエキストラ時代の若きジャッキー・チェン氏が日本武術の手下役で出演している。袴を前後逆に履いているのが特徴。履き方を知らないのではなくワザと逆にしていたらしい。

 ラスト、銃列を組んで狙いを定める兵士たちに向かって最期の跳び蹴りを行う主人公の姿は映画史に残る。

【効能】頭が冴え渡り、興奮と感動で血行が良くなる。

【副作用】反日的内容で保守市民は嫌悪感を抱くかもしれない。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
カンフー映画の開祖。

 もちろん、それ以前にもカンフー映画はあった。しかし全世界に「カンフー映画」を認知させ定着させ模倣される作品は、この「怒りの鉄拳」である。もはや「香港映画」という枠組みではない。マーシャルアーツスターの宗祖ともいうべきブルース・リー氏が開山した「カンフー映画」である。この映画はアジアを中心に空前の大ヒット作となる。(余談1)

 日本版はマイク・レメディオス氏が歌う英語歌詞の主題曲だが、原版は同じ曲ではあるが歌詞は無く女性コーラスによる悲壮感漂う曲調になっている。如何にも孤高のヒーローが友人や恋人皆のために死地へ飛び込まんとする痛々しい場面を想起させるオープニングである。(余談2)
 物語の内容は極めて単純な勧善懲悪モノ。誰が悪役でどんな陰謀があって、主人公はなぜ激しい怒りを抱かねばならないのかが明々白々である。ブルース・リー氏はコメディの才能があることを思わせる場面もある(余談3)が、物語全体の重みと迫力とリー氏の存在感を前にすると突っ込みどころも神々しい場面に観えてくる。ファンにとってはリー氏唯一のラブシーンも見逃せない。(余談4)

 この映画で上半身裸・黒いカンフーズボン・ヌンチャク・怪鳥音が定着し、後年のブルース・リーのイメージが確定される。日本人の武道家や白人の格闘家を次々とヌンチャクや機敏な足技で倒し、ラストの場面は有名なジャンプシーンである。門の辺りで銃列をつくって待ち構える警官隊(軍隊か?)に向かって全速で駆け出し最期の奇声をあげて飛び上がりライダーキックのような体勢になる場面だ。徹底的に悪役にされた日本人だが、その日本人でも感涙の場面である。

(余談1)マーシャルアーツは、日本人学者が「武術」という単語を英訳した言葉。それが欧米で定着している。もっぱらカンフーや空手などの主に東アジアの拳法を指す。世間ではさらに狭い意味でカンフー映画などをイメージしている。
 物語の舞台であり原題でもある「精武門」は実在の団体で、その後もこれを題材にした映画はおおく創られている。最近では李連杰氏(ジェット・リー)の「スピリット」は有名。

 80年代だったか、大阪出身の大学生だった日本アドベンチャーサイクリングクラブの瀬戸圭祐氏がヒマラヤ中央アジア地域や北アフリカをサイクリングした。当時は現在と比べて牧歌的ではあるが冒険旅行にかわりはない。北アフリカでのエピソードで興味深いものがある。与太者らに絡まれると、カンフーの構えをしただけで退散してくれたというのだ。
 それだけブルース・リー氏の影響が凄かったことを物語っている。瀬戸氏の東アジア人的風貌と体脂肪の少ない体格は当時の中近東諸国では説得力があったのだ。映画では無駄に筋肉が付き過ぎている様な屈強な白人が小柄なブルース・リー氏に蹴り倒されていたので、中近東諸国の庶民にとっても溜飲の下がる物語だ。欧米列強の植民地支配に苦しめられてきた人々に共通する心情だ。

 残念ながら、いま瀬戸氏と同じコースを旅していたら個人の安全が保障されないどころか、即政治的問題へと発展してしまう拉致事件になる。瀬戸氏の時代なら拉致されるのは政府や企業の要人か明らかな金持ちだったのが、今では母国が経済大国であればたちまち誘拐価値が生じる。いやな世の中だ。

(余談2)ファンなら御存知のように日本人説がある。それだけ英語の発音がヒドイらしい。名前からして如何にもギリシア系なので、流暢な英語ではないと納得していたのだが。
 英語歌詞は私も子供のころ暗記した。

(余談3)変装になっていない変装は突っ込みどころだろう。「ドラゴンへの道」の冒頭は完全にコメディをやっていた。
 他の突っ込みどころで最も有名なのは、登場する日本人役の俳優が袴を前後逆に履いている場面である。これはワザとやっている。作品には日本人俳優も出演しており当然指摘したのだが、監督は視覚的にカッコいいとして奨励した。たしかに観ようによっては三国志の武将の腹回りに似ていなくも無い。その倒され役にはスタントマン時代のジャッキー・チェン氏が出ている。

(余談4)当時の苗可秀氏(ノラ・ミヤオ)は若い頃の森下愛子氏と現在の堀北真希氏を合わせたような可愛らしさである。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔





 
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