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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「陰陽師」 ストレス解消活劇〔35〕 

陰陽師」 野村萬斎の飄々知的キャラ爆発



【公開年】2001年  【制作国】日本国  【時間】116分  【監督】滝田洋二郎  
【原作】夢枕獏   
【出演】野村萬斎(安倍晴明)  伊藤英明(源博雅)  今井絵理子(蜜虫)  宝生舞(瓜の女)  真田広之(道尊)  小泉今日子(青音)  
 
【成分】雅 不思議 パニック 知的 コミカル 和製オカルト 陰陽道 平安時代
 
【特徴】夢枕獏氏、岡野玲子氏のヒットによって、京都の晴明神社は女学生たちで賑わっているといふ。
 時は平安時代中期、オカルト聖地である京を舞台に、晴明と博雅のコンビが大活躍。さすが本職は狂言師だけあって野村萬斎氏の狩衣・立烏帽子姿はサマになっている。
 
【効能】雅とオカルトの世界とアクションの盛り沢山。
 
【副作用】陰陽道のうんちくを期待していた人には肩透かし。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
ヒーローアクションにして良いのか?

 夢枕漠氏の人気小説ではあるが、岡野玲子氏(余談1)の漫画「陰陽帥」のほうが有名かもしれない。私は原作小説は本屋で数ページ立ち読みした程度で、漫画からファンになり全巻そろえてしまった。NHKがドラマ化した稲垣吾郎氏主演の「陰陽帥」も全話ビデオに録画した。

 映画化の噂を聞いたとき、誰が安部晴明に扮するのか気になった。漫画に登場する安倍晴明の容姿では少年隊の東山紀之氏が適当だと思っていたが、制作者側は狂言師の野村萬斎氏を選んだ。たしかに着実に実力をつけた著名な狂言師であり、時代劇の所作に慣れている。
 世間ではNHK朝の連続テレビ小説「あぐり」で変わり者の夫を怪演して有名だが、私はその前の大河ドラマ「花の乱」(余談2)で室町幕府の若き管領細川右京大夫勝元に扮して狡猾ぶりを大袈裟とも思える所作で演じているのが印象に残っていた。室町時代の上級武士なので改まった席では立烏帽子に狩衣(つまりは陰陽帥の格好)を着る時があり、今みてもその仕草は後の「陰陽帥」を彷彿させる。当時は27・8の若造だったが、同じ歳頃の若手俳優には無い毒気と知性と貫禄があった。
 監督を担当するのは滝田洋二郎氏だ。下積み時代は痴漢モノのポルノで頭角をあらわし、「病院へ行こう」「僕らはみんな生きている」でユーモアセンス満開、最近では「お受験」「バッテリー」などの地味な佳作も手掛けている。
 
 長々と前置きを話してしまったが、何が言いたいのかといえば、それだけ映画化には多大な期待を持っていたということなのである。そしてその期待は、レビュータイトルでお察ししていただけると思うが、見事に裏切られた。
 だが、やむを得ないのかな、とも思う。私が期待したのは科学的推理で事件を解決するホームズと相棒のドクター・ワトソンのように、陰陽道で事件を解決する晴明と相棒の博雅の姿だった。異論が起こるかもしれないが、漫画の「陰陽道」は19世紀末のホームズとワトソンをそのまま10世紀末の平安京に移した様な感がしていた。ホームズは犯罪オタクぶりを発揮してウンチクをならべるが、漫画の晴明も陰陽道のウンチクを博雅に聞かせる場面が多い。ホームズは内面にトラウマがありドラッグに浸るときがあるが、晴明もトラウマがあり平素は酒浸りだ。
 もし陰陽道のウンチクを前面に出したら、たぶん観客には解りづらい退屈な映画になってしまうかもしれない。となると「帝都物語」の平安京版にして、真田広之氏の道尊とのアクション対決にしたほうが見栄えがあるだろう。真田広之氏はまるでイエスキリストのような風貌になり、不死身のモンスターと化して内裏を襲う。対する野村萬斎氏は立烏帽子に狩衣の動き難い姿(余談3)で軽快に走り回り、アクション俳優の真田氏の足を引っ張っていない。

 原作者の夢枕獏氏が脚本陣に参加しているので、映画の内容は納得済みだとは思うが、晴明が万人に判り易いアクションで敵を倒す魔法戦士に成り下がってしまったのは、やはり残念だ。ホームズも時折ボクシングや柔術のアクションを披露するが、殆どは頭脳で難問を解決している。晴明も頭脳で解決するヒーローでいてほしかった。

(余談1)夫は手塚眞氏。つまり、岡野玲子氏の義理父はあの手塚治虫大先生である。

(余談2)応仁の乱が舞台。この頃の武士はまだ露頂の風習は無く烏帽子を常に被っていた。頭を晒すことは裸を晒すのと同じくらい恥ずかしいことで、「陰陽帥」でもしばしばそのエピソードが登場する。
 しかし、戦国時代に入って武家の間で服装の簡略化が始まり烏帽子を被らなくなった。代わりに以前なら兜を被る際に蒸れないよう頭頂部を剃っていたのが、戦が頻繁に起こるために月代として常態化し髭を剃るのと同じ日常の身嗜みになってしまった。

(余談3)現在では宮司の衣装として残っている。本来は狩をするときに着る運動着。肩や脇を開けて風通しの良いデザインになっており、直垂(大相撲の行司の衣装として残っている)と同じように腕を動きやすくするため袖口を絞るようになっている。時代が下るとともに運動着が普段着になり上級武士の出仕着になり、江戸時代には礼服になった。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

  

 
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