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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ルパン三世 カリオストロの城」 家族と一緒に癒されよう〔16〕  

ルパン三世 カリオストロの城
シリーズ最高峰にして事実上のジブリ作品。

 

 
【公開年】1979年  【制作国】日本国  【時間】100分  【監督】宮崎駿
【原作】モンキー・パンチ
【音楽】大野雄二
【脚本】宮崎駿 山崎晴哉
【言語】日本語
【出演】山田康雄ルパン三世)  小林清志(次元大介)  増山江威子(峰不二子)  井上真樹夫(石川五右ヱ門)  納谷悟郎(銭形警部)  島本須美(クラリス)  石田太郎(カリオストロ伯爵)   
 
【成分】笑える ゴージャス ロマンチック 勇敢 かわいい かっこいい アニメ
 
【特徴】前作とは一転して再び子供を対象にした作風になっているが、子供に迎合していないところが良い。山田康雄氏のクイント・イーストウッド風の発声も良い。
 物語はグリーンジャケット旧シリーズの「七番目の橋が落ちるとき」と「ジャジャ馬娘を助けだせ!」に原型をみることができる。カリオストロ伯のゴージャスな食卓風景の書き込みは凄い。
 
【効能】頼もしいルパンの姿に安心感を抱く。可憐なクラリスの姿に萌え。
 
【副作用】原作ファンにはルパンの優しさに納得できない。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ルパン三世シリーズ最高峰だが・・。
 
 続編は第1作を超えないジンクスがある。続編で失敗する原因は大抵の場合1作目を踏襲しすぎるか、あるいはイメージを作り変えすぎるかだ。前者は1作目や原作のイメージを大事にし過ぎたためにかえってインパクトが無く、後者は内容を改編し過ぎてファンがイメージに付いていけなかったためである。

 ところが、第1作を超える続編の成功例もある。例えば「ターミネーター」は低予算の1作目が成功したことで潤沢な予算と高度な技術を駆使することができ、シュワルツェネッガー氏の人気急上昇を受けて前作のターミネーターを善玉キャラに改編し、新たに魅力ある敵キャラ創設に成功した事が功を奏した。
 「うる星やつら」の場合、原作イメージに則った佳作1作目が公開されてから連載中の原作と放映中のTVアニメのイメージ分離が始まり、2作目では押井監督色を存分に出せる環境が整ってきた点をあげることができる。

 この「カリオストロの城」(以下「カリ城」)は「うる星」に少し状況が似ている。70年代初頭の連続TVアニメ(以下「旧シリーズ」と称す)は原作に則って大人アニメとして放映された。当時はまだ大人アニメは受け入れられず視聴率低迷のため後半から宮崎監督らが制作に加わり徐々に対象年齢を下げる演出をしてテコ入れしたが予定より早く放送が打ち切られた。ところが再放送を重ねるたびに人気が上がり、70年代末から子供向きアニメとして新たなシリーズが始まった。
 私も含め古くからのファンは子供向けの道化のようなルパンではなく、「大人のルパン」を観たがっていて、制作陣も映画第1作は原作のハードな大人のイメージで制作したが、観客が小中学生が中心だったために続編は再び対象年齢を下げ、またしても宮崎監督が担当することになった。(余談1)

 「カリ城」は旧シリーズの中盤エピソードにある「七番目の橋が落ちるとき」や後半の「ジャジャ馬娘を助けだせ!」に展開がよく似ていて、峰不二子はヒロインではなく、代わりにか弱い小娘がヒロインになり、ルパンは優しいオジサンとしてヒロインを助ける構成だ。
 「七番目・・」制作時ではハードボイルド路線の大隅正秋氏が演出を降りようとしていて、宮崎氏らが入れ替わりだした頃だった。だから私が初めて観たときは、映画でもTVと同じような事が起こり、旧シリーズのエピソードを映画用豪華スケールに創り直したという印象が強い。

 物語の構成や作画、さすが宮崎駿監督だけあって完成度は高い。宮崎監督の作品でいつも思うのは料理や食事の場面の緻密な書き込みだ。カリオストロの実権を握る伯爵のゴージャスな食事風景は見事だ。またTVアニメでは狂言回しの役割が多い銭型警部だが、原作では敏腕警部でルパンと知恵比べをするキャラ(余談2)なので、ラストの粋な台詞はむしろ原作に近い。子供を対象にしているとはいっても、けっして子供に不必要な迎合はしておらず、どの年齢の人が観ても楽しめる内容になっている。なにより、山田康雄氏がクイント・イーストウッド風の声でルパンを演じてくれたのが嬉しい。
 公開当時は前作より興行成績が劣っていたようだったが、作品完成度の高さから次第にアニメファンだけでなく一般にも人気が高まり、宮崎監督やジブリの名声が定着するとともにルパン三世シリーズを代表する作品となった。

 しかし、原作からのファンである私にとっては、ルパンは優しいオジサンではなく、硝煙と血の臭いが仄かにするプレイボーイの悪党、犯罪組織の頂点に立つドンである。悪のイメージだからこそ、ワルサーP-38を愛用しているのだ。(余談3)

(余談1)ファンなら御存知のように、宮崎監督にとっては長編アニメ監督デビュー作である。現在では、宮崎ワールドの代表作として世間は「カリ城」を認識している。

(余談2)旧シリーズでは、F-1レースに出場するルパンから目を離さないために銭型警部もレースに出場し、A級ライセンスのルパンに伯仲する腕前を見せている。
 原作では謎の交響楽団指揮者タガニーゼに変装してプロなみにタクトを振ってルパンの前に登場する。「タガニーゼ」は「銭型(ゼニガタ)を逆さにしただけの偽名。

(余談3)ワルサーP-38は、日本ではルパン三世の拳銃として認識されているが、海外ではナチスドイツを象徴する銃だ。だから悪いイメージで捉えられている。第二次大戦直前に正式採用されたドイツ軍の強力な自動式軍用拳銃である。
 「七番目の橋が落ちるとき」や旧シリーズ後半のオープニングイメージでルパンが拳銃を撃つ場面がアップで登場する。発射時のスライドの動きや薬莢の跳び具合は正確である。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作



 

 
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