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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ランボー/怒りの脱出」 ストレス解消活劇〔37〕 

ランボー/怒りの脱出
賛否あるがエンタメとして秀作である。

 
 

【原題】Rambo: First Blood Part II
【公開年】1985年  【制作国】亜米利加  【時間】96分  
【監督】ジョルジ・パン・コスマトス
【原作】デヴィッド・マレル
【音楽】ジェリー・ゴールドスミス
【脚本】シルヴェスター・スタローン ジェームズ・キャメロン
【言語】イングランド語 一部ベトナム語      
【出演】シルヴェスター・スタローンジョン・ランボー)  リチャード・クレンナ(サミュエル・トラウトマン大佐)  チャールズ・ネイピア(マーシャル・マードック)  ジュリア・ニクソン(コー・バオ)  スティーヴン・バーコフ(ポドフスキー中佐)     
 
【成分】泣ける パニック 勇敢 切ない かっこいい ベトナム 戦争 80年代
 
【特徴】前作の好評を受けて、今回はアメリカンヒーローにアレンジして制作。無敵のランボーは当時のアメリカ世論も手伝って大ヒット作となり、日本でもミリタリーグッズ店は繁盛。ランボーのムキムキ上半身裸は定番スタイルとなり、装備品を身体にまとっていく戦仕度の場面は他の戦争映画や時代劇などに影響を与える。
 
 前作で日本公開時に日本側配給元は邦題をシンプルに「ランボー」として成功した事がスタローン氏ら制作者側にも評価され、本作からアメリカ側も日本に倣って原題に「Rambo」を冠するようになった。
 
【効能】ランボーの悲しみで感涙し、ランボーの活躍で胸がすく。
 
【副作用】前作のファンや、反戦、反米の志向の方々はおぞましさをおぼえる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
戦争の犠牲者から戦意高揚ヒーローへ
 
 初期のスタローン氏はどちらかといえば「イタリア系移民」「低所得労働者」「社会的マイノリティー」といったキーワードで映画を創っていた。その代表が盛りを過ぎたプロボクサーでイタリア系のロッキー・バルボア、もう1つの代表がアメリカ先住民の血を引くジョン・ランボーである。様々なキャラを演じてきたスタローン氏の俳優人生にとって、この2つのキャラは双璧であり、良くも悪くも当時のアメリカを代弁していた。

 スタローン氏がスター俳優へと出世するにしたがって、ロッキーもランボーも不遇な身の上から這い上がる泥臭いヒーローから、強いアメリカを象徴する垢抜けたスーパーマンへと変化していった。当時はタカ派のレーガン政権のただ中、時代の追い風も手伝った。奇しくも、ほぼ同時期に公開された「ロッキー4」のロッキーはアメリカの国旗を背負ってソ連のボクサーを叩きのめすし、「怒りの脱出」のランボーもたった一人でベトナム軍とソ連軍を蹴散らしてしまう。当初は社会派・反体制視点のヒューマンドラマが完全に国威発揚映画と化した。(余談1)

 作品の内容としては、私は前作の方が優れていると思っている。主人公を取り巻く冷たい視線、頑なまでに偏った正義感の保安官、実戦現場を知らない呑気な州兵たち、スタローン氏の運動神経や作中で披露するサバイバル技術、社会派反戦映画であると同時にエンターテイメントとしても観れる。(余談2)
 ただ、前作の陰鬱な作調を嫌うファンには「怒りの脱出」を選ぶだろう。これとてけっして明るい映画というわけではないが、アメリカらしくアクションが派手になり迫力ある機銃掃射や火薬の炸裂、日本の必殺仕置き人もビックリの殺人術の各種披露され、ストーリーも単純で解り易い。

 味方に見捨てられ捕虜となってソ連軍将校の尋問を受けている絶望的な状況にも関わらず、無線で不敵にもCIA官僚のマードック司令に「マードック、命はもらった!」と言い放ち、周囲の敵を蹴散らして脱走する。
 ヒロインが倒されスコールのなか亡骸を埋葬し上半身裸のまま暫く雨にうたれるにまかせ、やがて復讐の鬼と化したランボーは筋肉隆々の身体に弾帯を巻き付け腰に大型ナイフを差し頭を鉢巻でしめ首にはヒロインの形見のネックレスをつける、この戦の身支度場面は後のシュワ氏の「コマンドー」やドルフ・ラングレン氏の「レッド・スコーピオン」などでも模倣される名場面だ。
 
 このように魅力ある無敵のヒーローとなり日本や欧米先進諸国でミリタリーブームを巻き起こす人気キャラとなるが、逆に前作でランボーを支持していたベトナム帰還兵たちからは反発を受けることになる。

(余談1)アメリカ映画には個人的に反感を持ってはいるが、映画づくりの姿勢は素晴らしいと認めざるを得ない。特に「怒りの脱出」などはエンタメ映画として優れているだけでなく国策にも合致している上に興行成績も抜群に良かったにも関わらず、ラジー賞(最低映画賞)を授与されている。かつては反戦映画のキャラだったランボーが、ソ連と対決する好戦的キャラへと右旋回した事への反発だ。
 アメリカの映画ファンのバランス感覚が、アメリカ映画の活力を維持しているといえるかもしれない。決して大挙として付和雷同しない。

(余談2)ファンの方々は御存じだろうが、前作で「サバイバルナイフの柄の中に収納しているキットで腕の裂傷を縫う場面があるが、あれは本当に縫っていた」とされるが、本人のコメントによれば特殊メイクだったらしい。撮影中に大けがをしたのは事実で、そのため「ロッキー3」の制作が遅れてしまった。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
【受賞】1985年ラジー賞(最低作品賞、最低主演男優賞、最低脚本賞、最低主題歌賞)
 
晴雨堂関連作品案内
ランボーII 怒りの脱出 サントラ
ランボー [DVD] テッド・コッチェフ
ランボー3/怒りのアフガン [DVD] ピーター・マクドナルド
ランボー 最後の戦場 コレクターズ・エディション [DVD] シルベスター・スタローン
ロッキー4 [DVD] シルベスター・スタローン
 
晴雨堂関連書籍案内
ランボー―怒りの脱出 (ハヤカワ文庫 NV (385)) (ハヤカワ文庫 NV (385)) デイヴィッド・マレル




 
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