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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「椿三十郎」 

 
椿三十郎」 「続編」の成功例。
 

 
【公開年】1962年  【制作国】日本  【時間】98分  【監督】黒澤明
【原作】山本周五郎     
【出演】三船敏郎椿三十郎)  仲代達矢(室戸半兵衛)  加山雄三(井坂伊織)  団令子(千鳥)  志村喬(黒藤次席家老)  入江たか子(睦田夫人)  清水将夫(菊井大目付)  伊藤雄之助(睦田城代家老)   
 
【成分】笑える コミカル パニック 勇敢 かっこいい 江戸時代 時代劇
 
【特徴】時代劇の傑作「用心棒」の続編。但し、用心棒の「桑畑」キャラが時代や舞台を変えて活躍する別物語である。
 全編にわたって、コミカルな雰囲気の中で迫力とリアリティある殺陣が素晴らしい。観客を飽きさせない綺麗にまとめた時代劇だ。
 
【効能】椿三十郎の飄々としたアウトローに安心感がある。右往左往する青年侍たちの青臭さに親近感。物語のテンポに爽快感。
 
【副作用】血腥い殺陣に嫌悪感。台詞が聞き取りにくい。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。


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痛快・コミカル時代劇傑作
 
 リアリティーと娯楽性とを兼ね備えた伝説の大ヒット時代劇「用心棒」の続編といわれている。「前作」同様、飄々としながらも知能犯で剣の腕もたつ素浪人桑畑は、ここでは適当に椿三十郎と自称し相変わらずの中年風来坊、服装も前と全く同じ小汚く茶色に日焼けした黒紋付に袴、前作でヤクザグループにリンチを受けた時に失った脇差も補充されず太刀一本のまま、モミアゲを掻く癖も同じだ。
 ところが「前作」で桑畑に倒されたはずのピストル・マフラーの西洋かぶれヤクザ卯之助が室戸半兵衛なる切れ者侍に化けているではないか? (余談1)

 厳密にいうと「続編」なのだが続編ではない。もともと「椿三十郎」は全く性格の違う作品で、たしか山本周五郎氏の小説「日日平安」が基になっている。どんな作風かと簡単にいえば、むやみにチャンバラ・人斬りが出てこないNHK「木曜時代劇」のような感じだ。侍の日常生活に力点を置いた物語というべきだろう。
 黒澤監督らの間でこの「日日平安」映画化の話があがっていたのだが、映画会社は派手なチャンバラ時代劇を要求していたのでお蔵入りとなった。それが「用心棒」の大ヒットで映画会社が「続編」制作を求めた。黒澤監督は「日日平安」企画を痛快娯楽作として大幅に改編し三船用心棒キャラと仲代切れ者キャラを投入した。9人の青臭い藩士たちは元の雰囲気の残り香だ。つまり正確には、物語としては「用心棒」の続編ではない。「用心棒」風の第二弾というべきだろう。

 黒澤監督の構成力が冴える。映画会社の意向に従って、もともと性格の違う作品を強引に改編したのに不自然さがなく、原作の良さと「用心棒」のアウトローさが巧く融合している。世渡りが下手なのか巧いのか判らない椿三十郎と書生臭い侍たち、椿を要注意人物として力量を認める切れ者室戸、椿に意見する城代家老の奥方など、エンタメ作品としての要素がバランス良く配合されており、なにより三船・仲代のキャラの良さが最大限に引き出されており、痛快さは前作「用心棒」より上かもしれない。
 異なる作品を「続編」として巧妙につくりかえてヒットさせる、黒澤監督だからこそできた藝当だ。多くの監督は続編で不評をかう事を考えたら、どれだけ凄いことか解ろう。

 佳境のチャンバラや血飛沫は厳密には新機軸ではないのだが、その後の時代劇に強く影響を与えた。

(余談1)時代背景も異なる。「用心棒」では卯之助のような一介のヤクザが回転式拳銃を持っていた事から、幕末明治維新前後(1860年代)だろう。もしかしたら明治初期かもしれない。桑畑は20世紀まで存命していたことも考えられる。
 しかし「椿三十郎」は天保(1830年代)より以前と思われる。

 2007年にリメイクが創られた。織田裕二氏は好きな俳優だが、現代的風貌の素浪人は気に入らない。
 織田氏が演じてきたキャラの中で私が最も気に入っているのは、「振り向けばあいつがいる」で強烈なギョロ目の悪徳医師役だ。織田が室戸に扮するべきだと思う。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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初めまして。書き込み有難う御座いました。

昔の時代劇俳優を見渡すと、顔の大きな役者が多い。丁髷のヅラを乗せると、大きな顔の方が映える。若い役者は小顔が多いので、その意味でも時代劇映えしないという面は在るでしょうね。又、仰る様に発声法も時代劇的で無い若手俳優が少なくない。自分も織田氏は嫌いな俳優では無いのですが、このリメークは彼にとって失敗作だった様に感じています。

今後とも何卒宜しく御願い致します。
[ 2009/06/03 02:05 ] [ 編集 ]
giants-55氏
 
返信ありがとうございます。全く同感です。現在の若手俳優の中では、山本耕司氏に期待しています。
[ 2009/06/03 02:51 ] [ 編集 ]
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