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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「影武者」 ストレス解消活劇〔39〕 

影武者」 後期黒澤映画の始まり。
 

 
【公開年】1980年  【制作国】日本国  【時間】179分  【監督】黒澤明
【制作総指揮】田中友幸 黒澤明 フランシス・F・コッポラ  ジョージ・ルーカス
【音楽】池辺晋一郎
【脚本】黒澤明 井手雅人
【言語】日本語      
【出演】仲代達矢(武田信玄/影武者)  山崎努(武田信廉)  萩原健一(武田勝頼)  根津甚八(土屋宗八郎(近習))  大滝秀治(山県昌景(侍大将))  隆大介(織田信長)  油井昌由樹(徳川家康)  桃井かおり(お津弥の方(側室))  倍賞美津子(於ゆうの方(側室))  室田日出男(馬場信春(侍大将))  志浦隆之(内藤昌豊(侍大将))  清水紘治(跡部大炊助(侍大将))  清水のぼる(原昌胤(侍大将))  山本亘(小山田信茂(侍大将))  杉森修平(高坂弾正(侍大将))  油井孝太(武田竹丸)  山中康仁(森蘭丸)  音羽久米子(竹丸付き老女)  山下哲夫(丹波長秀)  阿藤海(雨宮善二郎(近習))  江幡高志(托鉢僧(乱波))  島香裕(原甚五郎(近習))  田辺年秋(傀儡子(乱波))  井口成人(温井平次)  山口芳満(塩売り(乱波))  金窪英一(甘利おくら(小姓))  杉崎昭彦(信玄を狙撃した足軽)  宮崎雄吾(友野又市(小姓))  栗山雅嗣(泥武者(野田城))  松井範雄(酒井忠次)  矢吹二朗(伝騎)  土信田泰史(石川数正)  曽根徳(本多平八郎)  フランシスコ・セルク(宣教師)  アレキサンダー・カイリス(宣教師)  加藤敏光(医師付きの小者)  清水利比古(上杉謙信)  志村喬(田口刑部)  藤原釜足(医師)  浦田保利(観世流)  金子有隣(鏑馬武田流司家)  伊藤栄八(鏑馬武田流司家)  梁瀬守弘(鏑馬武田流司家)  ポール大河(鏑馬武田流司家)  大村千吉(鏑馬武田流司家)   
 
【成分】笑える コミカル パニック 勇敢 かっこいい スペクタクル 戦国時代 16世紀 時代劇 
 
【特徴】時は戦国時代、飛ぶ鳥おとす勢いの武田信玄が急死した後、家臣団や周辺大名に悟られないよう主人公の影武者が信玄に成り済ます緊張感が面白い。撮影当初、勝新太郎氏が主役を務めていたが、黒澤明監督との関係が険悪となって降板したといういわくつきの作品でもある。

 なおこの作品は外国版があり、国内版よりカットされた部分が多い。外国版の制作者にはコッポラとルーカスが名を連ねている。
 
【効能】エキストラ術に長けた黒澤監督ならではのスペクタクルに大興奮、前半は影武者のコミカルさに笑える。
 
【副作用】ラストの長篠の合戦描写が退屈に思えるかもしれない。長い映画なので鑑賞には体力気力が入る。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
仲代達矢氏のほうが
実際の信玄像に近いかもしれない。
 
 
 晩年の黒澤映画しか知らない方々は、文学性・藝術性にこだわりすぎて万人には理解が難しい作品を撮る監督というイメージを強く持っていると思う。
 しかし、2007年に公開された織田裕二氏主演のリメイク「椿三十郎」を観れば判るように、もともとは痛快娯楽作を撮る監督でもあった。リメイクは前作の脚本を用い、節目節目のカメラワークも前作を踏襲し、ただ時間は前作のほうが20分ほど短いので、黒澤「椿三十郎」が如何にテンポが小気味良いか理解できよう。

 テンポの良さと迫力と痛快さ、万人が喜ぶエンタメ性、それでもって確かな主張と文学性がベースになっているからこそ、世界でもウケたし、ハリウッド映画人も倣った。ところが多くの黒澤ファンが指摘するように、1970年頃を境に作風が変わってしまう。(余談1)黒澤映画を前期と後期に分けるとしたら、多くのファンは「どですかでん」を前期の終わり、この「影武者」を後期の始まりに分けるのではないか。

 目に見える変化は、長年コンビといっても良いほど三船敏郎氏が出演していたのに、「どですかでん」あたりから出演されなくなった。次に作風から泥臭さが影をひそめ、豪華なシェイクスピア劇を連想しそうな雰囲気になった。あるいは、文学性が強調されすぎて万人には解り辛い、悪くいえば「黒澤ブランド」の力にまかせた作品づくりが行われるようになったと感じている。
 この「影武者」は後の「乱」と並び称される豪華サムライ劇である。たしか監督本人も「乱」のリハーサルとして「影武者」を撮ったと語ったそうだ。もはや、ギラギラとした汗、衣装が台無しになる雨と泥はなく、煌びやかな衣装が目立つ。節目節目の大群衆描写は依然優れているが、もはや庶民目線も無い。
 私自身は、日本趣味の欧米人の食指に訴えかけた作品のように感じた。日本人向けの観客に迎合したり気遣いをする意思は見受けられない。ひたすら欧米人向けに、監督自身が描きたいと思っている「日本の美」「サムライの美」を表現したように映った。

 残念ながら後期の黒澤映画は私の趣味ではない。もちろん、画面に広がる映像は素晴らしかったし、仲代達矢氏の信玄・影武者と山崎務氏の信廉は非常に良く似ていた。信廉は信玄の同腹の弟で容姿も似ていたから史実通りだ。近年になって勝新太郎氏にそっくりの有名な信玄肖像画は信玄ではないとの説が有力で、実際の信玄は細面らしいので勝新よりも仲代氏で良かったかもしれない。(余談2)

(余談1)私個人は、「赤ひげ」までは好きだが、「どですかでん」から急速に引いてしまった。

(余談2)当初の主役は勝新だったが監督と対立して降板した。伝え聞く話によると、黒澤監督は勝新のことを「勝さん」と呼んだ事に腹を立て、「俺は信玄だ、信玄と呼べ!」と言ったことから険悪になったとか。

 信玄像と伝えられる問題の肖像画は、後頭部に僅かな髷が見えていることや、脇差には武田菱ではなく足利家の紋である二つ引き(丸に白二本横線)がハッキリと描かれていることから、足利家の支族畠山某ではないかと言われている。
 信玄の容姿を伝えている可能性の高い肖像画は、直垂に侍烏帽子を被り知的に口髭を生やした白面の貴公子然とした面もちである。

 最近の研究では、大量の鉄砲での三段構え連射はやっておらず、視界の悪い土砂降りで陣地に誘い込まれ狙い撃ちされたらしい。武田騎馬隊が銃撃でなぎ倒されていく場面が間延びしてテンポが悪いとの苦情を映画館で聞いたことがある。 

 また、この映画で新人の隆大介氏が信長役に大抜擢され、その後「遠野物語」に主演、大河ドラマの常連になる。因みに「遠野物語」では役所浩司氏が主人公をいびる地主の坊ちゃん役で脚光を浴びる。
 
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影武者 3時間もの大作でまたまた取っ付きにくい作りなんだよな。 重厚っていうか、なかなかしんどいものがあるなあ。 今まで観た黒澤映画と今回は少し毛色が違うように感じました。 影武者をたてて、3年間、遺言どおり動かなかった間は、 織田信長、徳川家康を..
[2009/06/06 07:17] カフェビショップ
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